再演ものですからアレなんですけど、もし、未見でネタバレ嫌だというお方は、スルーでお願いします。

一回こっきりの本公演観劇(新公を先に観てしまった……)。
まさかのSS!
うわ、ちっかー!
3列前にかいちゃん(七海ひろき)、ガッツ(壱城あずさ)と、もう一人娘役ちゃんが。
二人挟んだ隣にまこっちゃん(礼真琴)やひーろー(ひろ香祐)はじめ、星組の皆さんが座ってるって位、前方席!

集中出来るかちと不安……って感じ(笑)
実は私、「ファントム」って作品があまり好きでないのです。
ヒロインのクリスティーヌの言動に納得がいかず、感情移入出来ないってことと、諸悪の根源キャリエールが、シレッと「お父さんだよー」って感動の場面があるって所が(笑)
エリックが、生きていくために秘密を守るために、人を殺めたり法に触れる事をしている……という設定が濁されている所。
後、綺麗に終わるけど全く救いがないって所が。
でもね!これだけ歌唱力と演技力のある主演コンビだと、その力でねじ伏せられるって事を知りました(笑)
星組のスター様と並び席にいようがいまいが、めちゃくちゃ世界に入り込めました!
後、素直にエリック・だいもん(望海風斗)に感情移入したら良いと。エリック目線で観たら、全編泣きそうになりました!そう、自分が女性だからってヒロインに感情移入しないといけないって法はないんだと。
エリックは、自分の不幸は自覚して嘆くけど、それが他人のせいだとは思ってなくて、キャリエール・さきな(彩風咲奈)が父親だとわかったら時も、責めるどころか「天涯孤独ではない」という喜びしかなくて。
クリスティーヌ・きーちゃん(真彩希帆)に頼まれて、死ぬほど勇気振り絞って外した仮面の内側に、見るも無残なリアクションで走り去った彼女に対しても、「酷い」とは思わずに「そりゃそーだよなー」な諦めがあって。
そんな見方したら、許せはしないけど「所詮他人だからな」となんというか突き放した感じで観られて、今までイラッとしていた場面も見やすくなりました(笑)
でも、やっぱりキャリエール……酷いわ。
結局自分の保身の為に、子まで成した彼女(ベラドーヴァ)と結婚せず人生狂わせて←てか、結婚出来ないなら何故子供作った
、生まれた子供を無かったことにする為にこんな所に閉じ込めてるんだから←どう考えても虐待だよね。

エリックの顔に対する言い方も……仮にもあんたの、息子だろ?と言ってやりたい(笑)
ま。そもそも、宝塚ででのエリックのお顔(の特殊メイク)が綺麗すぎるってのがこの話を嘘くさくしている最大の原因だと思いますがね。
今回も期待したのに、全然酷くなかった。髪でほぼ隠れてるし。だいもん美しいし。
え?あれぐらいの顔で、「海の怪物」と思ったの?
人前に出せないって、地下に閉じ込めたの?
自分から「見せて」と言ったくせに血相変えて逃げ出したの?
見た途端びっくりして足滑らせて死んだの?←ブケーくん
納得出来ないのよー。
え?なに?心の目で見ろって事?(笑)
それはともかく、だいもんの演技が素晴らしかった。クリスティーヌは、足首丈のドレスだから、15歳位?なんですよね(16歳からフルレングスになるんだそうで)。それに対してエリックって結構大人だと思ってたんだけど。よく良く考えたら、年齢は上でも彼、キャリエール(と母)以外の人と会話どころか接点無かったんですよね。……大人の男性として、他人……特に女性……に対するコミュニケーションの取り方がわかってない……というか……知らないんですよね(笑)そんな一寸コミュ障な感じが……すごくピュアというか、子供っぽいなと……そんな風に思いました。
そもそも一人称が「僕」ってのがたまらない(笑)キャリエールに対する話し方だったり、クリスティーヌの前に初めて現れた時の言動だったり、団員のオーディションに合格した彼女に花束用意してたのに渡せなかった所とか、彼女が毒を飲まされたと知った時の怒りとか、自分のものにするとさらって行くところとか、眠ってる彼女にキスした直後の戸惑いとか、自分の住んでる所をウキウキ案内する所とか、彼女の言葉に、受け入れてくれる(多分愛してくれる)人が現れた喜びを感じて泣きながら、震えながら仮面を外す所とか、そしてその喜びは自分にはやっぱり持ってはいけないものだったと、絶望した慟哭とか。
キャリエールが父親だと確信した時の喜びとか、逃げなきゃなのに、彼女見たら何ふり構わず求めようとする所とか、彼女の腕の中で死を迎えようとしている時、仮面を外そうとする彼女に「やめてくれ」と言いつつ、されるがままにキスを受け入れる所とか。
めちゃくちゃ可愛い!
なんだろう……源太(子供時代)@星逢一夜……彷彿としました(笑)
エリックは、クリスティーヌを「天使(の声)」って言うけど、あんたの方がよっぽど天使だよっ!と思いましたよ(笑)
ピュアな、子供のままのエリック。
そして、心で芝居をしつつめちゃくちゃ計算して感情の動きを表現しているだいもんに、唸るほど感動しました。
だいもん……本当に凄い役者だわと思いました。
本当に、エリック演じたかったんだねと……。
なんだかエリックの事ばかり書いてますけど……。
だって良かったから……

クリスティーヌのきーちゃんは、本当に可愛くて歌が上手くて一生懸命で、本当に良かった。
最初から「オペラ座で歌えるレベル」だったと思う程に(笑)
そして、音が出るのと、歌えるのは天と地ほども違うという事を身をもって知りました(笑)マジ、天使の歌声!
エリックの顔を見た時のリアクションと、毒飲まされて声が出なくなった時のリアクションが最高でした!
「夢見る少女」から、「愛を知った女性」にさり気なく成長してる過程が上手いなぁと。
彼女の人生も狂ってしまったから、あの後どうするのか心配……。←キャリエール!責任とれ!(笑)
キャリエールのさきなは……おヒゲ……似合うようになったねぇ
タダのおじ様でなくて、一寸モテそうなおじ様ってのが良かった(笑)チャラい訳ではないけど、昔そういう事があったろうなあって感じ(笑)

エリックを撃ってしまった後の芝居が好きです。
シャンドン伯爵は今回、あーさ(朝美絢)。
思った通りのピッタリ感。爽やかお坊ちゃんで可愛かったです。
女の子たちにコナかけて回るってタイプではなく、純粋に女の子の方が「気になっちゃう」青年なんだろうなぁと。立ち回りが意外にイケてて良かったです。
ショレの翔くん(彩凪翔)は!これまた期待通りのショレで(笑)
私的にマリオ(@ローマの休日)と、武田観柳(@るろうに剣心)の経験が上手いこと生かされてるなと感じました。
嫁の尻に敷かれてる安っぽい野心家で終わらず、結構やり手なんじゃないかなと思わせる目つきとか、良かったです。
今回初めて「ショレってめちゃくちゃ美味しい役なんや」と思いました。今まで専科様(と組長)がやってたのは、路線スター多い組ではもったいなかったなぁと。蘭とむ(蘭寿とむ)の時から路線スターがやってましたがね←
カルロッタ!カルロッタ(笑)ひめ(舞咲りん)!流石です!
もっと迫力おばさんで来るかなと思ってたんですけど、なんとも……可愛いオバチャンでしたね。やる事えげつないけど(笑)
いちいち面白かったです。
ファントムのキャラでこの人が一番わかりやすいと思います。演じるならこの役やりたい……(笑)
後、気になったのは、ソレリのちるちる(彩みちる)!可愛い!押しが強いのにイヤミがない!あの塩梅はどういう事だ?!って位。バッスルしっかりのあの時代のドレスがめちゃくちゃお似合いで!赤いドレスも映えてましたねー。
クリスティーヌに振られたシャンドン伯爵をしっかり慰めて上げてください(笑)
回想のベラドーヴァ・ひらめちゃん(朝月希和)も、可愛かった。高音がんばってた!
エリックときーちゃんとひらめちゃんが踊ってる所観て、「……花組やな……」って思いました。一寸複雑……(笑)
そして、回想のキャリエールと、劇団員のひとこちゃん(永久輝せあ)。
なんだろうね、「回想シーンと言うとひとこちゃん」みたいな感じ(笑)
似合ってました。
団員の時は、めちゃくちゃ楽しそうで観ていたこっちも楽しかったです。
エリックにめちゃくちゃされたのが笑えました(笑)
そして、従者たち!
あゆみちゃん(沙月愛奈)、ひーこちゃん(笙乃茅桜)はじめ、選りすぐりの踊れるメンバーをキャスティングしているだけあって……。
めちゃくちゃ凄かったです。
エリザベートの黒天使と比較されがちだけど、従者の子たちは「人間」なのよね。それぞれなにもいわないけど感情があって、自分を救ってくれたエリックに忠誠を誓っているのよね。
細々とそういう個性がチラ見していて、面白かったです。
クリスティーヌに対する感情が、それぞれで違う気がして……そこら辺、聞いてみたいなと思いました。
エリック死んだ後、彼らはどうするのかなぁ?
あ、フィナーレ!
下手スッポンから翔くん出てきた時には、ごめん、一瞬笑っちゃいました(笑)「あれ?イケコ3番手使った……違う、イケコちゃうわ!」って(笑)
翔くんの2枚目ごちそうさまでした(笑)
ロケットは……久しぶりにビビりました(笑)なんだろう……男役ちゃん達の似合わなさっぷりに……(笑)てか、めちゃくちゃ太く見えて……デザインが良くなかったのかなぁ?
あがちん(縣千)……男役が板についてきたのかな?怖かったですよ(笑)ミニスカート(笑)
娘役群舞、男役群舞、デュエダンと、しっかりたっぷり楽しめました。(チラチラと、おこぼれの視線も頂きましたし(笑))
きーちゃんのデュエダンの時のドレス、ケープ付いてて、可愛かったー。
お芝居中でも、だいもん赤のお衣装多かったけど……意外と似合って良かったです。←寒色系のがいいと思ってたので。
そして、エトワールのあいみちゃん(愛すみれ)!なんか、本当に嬉しかったよー!
実力派ばかりの95期の中でも、本当にバランス良く何でもできる娘役ちゃん。彼女のエトワールを観ることが出来て、本当に嬉しかったです。
いつか彼女にカルロッタやって欲しいなぁと思いました(笑)
一回こっきりの観劇でしたから、本当に集中して観られて良かったです。
本当はもう一度観たいと思いましたが……仕方ないですね。
本当に。
だいきほの「ファントム」は、今までの私のイメージを払拭してくれた……凄い作品でした!