※(いつもの様に)盛大にネタバレしております!ご注意くださいませ※














「義経」の話と聞いて、私がまず思い出したのは、歌舞伎の「義経千本桜」でした。
早変わりやアクロバティックな……所謂「ケレン」で有名な「狐忠信」……源九郎狐が出てくるお話しです。

昔……何故かやたら観に行ってまして(笑)

もぉ、義経といえば、狐位に思ってました。

ので、今回のもそんな系の話かな?と思ってました(狐、女の子になっちゃってたけど)。


ので(笑)
よもやあんなストーリーで、あんなセンスの……あんなお芝居になるなんて……本当にびっくりしました!

前回も書きましたが、ノリが本当に「いのうえ歌舞伎」で……´艸`*ハート②
めちゃくちゃ面白い!


現代語と武家ことばが、程よい塩梅でミックスされた、「耳馴染みとテンポの良い」セリフ。

宝塚らしいといえば、らしい「和装にブーツ」「和洋折衷なお衣装」。

ノリの良い「ロック系」音楽。

歌舞伎で馴染みのセットと、モダンなセットの心地よい混在。

和物の雪組だからこその「和風ロックファンタジー」になっていたと思います。



「和風」「ファンタジー」と、ガッツリ和物ではありませんよーとアピールしつつ、虚の中に巧みに実を取り入れて、なんとも「ありそうでなさそうな」お話になっておりました。


雪の結晶雪の結晶雪の結晶雪の結晶雪の結晶

現代語と武家ことばの塩梅は。
本当に絶妙で……。本当に「いのうえ歌舞伎」みたい´艸`
あんなフットワーク軽くて口の達者な弁慶……ベンケイ(まなはる・真那春人)初めて見ました(笑)
「主従」って線は外さず(ちゃんと敬語)に、それでも「仲の良い友人」の様な……。
ベンケイは義経……ヨシツネ(あーさ・朝美絢)が大好きで、ヨシツネもベンケイが大好きで(笑)
例えて言うなら、「乳兄弟」的な気安さに見えました。
それがまた良し!´艸`*ハート②
テンポよく話が展開していって、ちゃんと導入部として観客に基本情報を知らせる役目を果たしてて。
ついでに笑わせて(笑)
そして。結構びっくりして爆笑したのは、お兄ちゃんの頼朝……ヨリトモさん(ひとこちゃん・永久輝せあ)ファミリーで(笑)
まさかヨリトモを、部下たちに「ボス」って呼ばせるなんて……(笑)
そして、一族を「ファミリー」と言わせるなんて……。
まさか、ヨリトモがあんな軽い口調だなんて(笑)
現代語……いや、むしろべらんめえというか、江戸弁というか……。畳み掛けるような……リズミカルなセリフのやり取りで、とにかく小気味いい!
なんて言うのかな……。
歴史上での頼朝と義経の関係って、複雑な兄弟の愛憎って感じあるじゃないですか。
重たくて、本人達にした分からないドロドロしたものとかありそうで……。
このヨリトモさんの話だと、「あー、そういう事ね。」って軽く納得してしまう(笑)
決して正義ではないけど、そうするしかない感じ。
ヨシツネは、「夢想家」だけど自分は「リアル主義者」だと。
どちらがより良く自分の利になるか、目に見えるものしか信じない。……徹底的にリアル主義。
「あー、鎌倉幕府作った人だわ」って思いました(笑)

他のキャラももちろん現代語とミックスで。基本、時代物とかで現代語(カタカナ語)とか使われるの、嫌なタイプなんです、私。「簡単にしないと分からないだろう」的に見下されてる気がして(はい。バカにされるの嫌いな負けず嫌いです水)。
……もちろん、今まで時代物で「言葉を理解しづらい」と思った事はないですけど、現代語多めだと……なんというか……キャラの思いとか、考えとか、ダイレクトに入ってきますね。
新鮮でした。


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宝塚らしいといえばらしい、お衣装の和洋折衷さ加減は。
昔、はじめて見た時(「あかねさす」)はびっくりしたんですよ。「和装にブーツ」って……。
でも、見慣れてしまうと、「まぁ、王朝もの(当時は草履ではなかった)だし」的な「脚絆と一体型と思えば」とか思って普通に見られるようになりました(笑)
ま、江戸時代の袴でブーツは今でも「バランス悪いなぁ」って思いますけど。

で、本題(笑)
今回のは、「和装にブーツ」どころではなく(笑)
あの時代のお衣装をちゃんと着付けている人は1人もいなくて(笑)
ベースは着物だけど、着付け(短く着付けたり、下がスカートだったり)や装飾(ベルトだったりネックレスだったり革手袋だったり)が洋物だったり。
なのにちゃんと太刀帯いてたり。
履物がバレーシューズだったり足袋に草履だったりブーツだったり。
髪型が(男役は)短髪だったり(娘役は)ポニテだったり金髪カツラだったり。
迷い込んだムラの住民なんて、モンゴル?なお衣装だったり、キョンシーみたいなのだったり、メガネくんだったり。全員山伏の結袈裟のふさみたいなの付いてたり、ヒメ(舞咲りん)のトキワは頭襟付けてたり。←ま、これらは伏線だったり若谷(谷貴矢)先生のこだわりだったりするんでしょうけど。
このミックス具合が絶妙なんですよね。
加藤(真美)先生、GJです!



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音楽がね。ロックなんですよ。
ここが一番「いのうえ歌舞伎」っぽかった。前にタクジー(大野拓史先生)が「NOBUNAGA」でやった手法なんですけど(てか、方向性は一緒ですよね?)、ガンガンにビート効かせて、ノリの良い音楽で、パワフルに進めていく感じ。
なんせ、「ヨリトモファミリー YO! YO!(←ニュアンス汗)」ですもんね。爆笑しました(笑)
それに伴ってみんなが踊るナンバーも、ガチ和物とはいえない振り付けで(笑)大きめのお袖で、ブーツとはいえ袴付けて、難しかろうなぁと思ったんですけど(フィナーレナンバーなんて、本当に格好よかった!)。
……これは、後にもう少し突っ込んで書こうと思ってますけど……雪組の底力……というか、基本がなっているからこそ「和物」として観られるのだと思いました。



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歌舞伎で馴染みのセット……は、桜の釣り枝です。
宝塚でももちろん使いますけど、舞台中ほどのバトンと、ホリゾントに近い奥に二段構えで配し、薄ピンクの照明を当てたり、赤めのを当てたり(最初の方で一寸赤でしたよね?)と変化を持たせて。花びら自体は、白っぽかったと思います。
又、オブジェ的なひし形?な柱が2本あって2面が、ステンドグラスの枠みたいな骨組みみたいなもので出来ていて(裏面に当たる2面は、別場面で立派な柱に)中が見えるように作られていて……。これは、桜の大木を表現したセットの様でした。
その内部が、薄ピンクの照明に照らされているんですけど、雪かご(←これもお馴染み)が内蔵されていて(笑)柱(木の幹)の中に桜が舞い散るんです!……後ろで大道具さんが操作してるのが見切れたのは、ご愛嬌(笑)
舞台上にも、雪かごで桜、降らせてました。
柱の作りや、使い方は新しいというか、面白いと思います。ちゃんと昔からの手法とミックスさせてる所がまたいいなと。

一寸話外れますが、「阿弖流為」でタクジーがやった「100%新しいもの(プロジェクター多用)」も、面白かったし、演劇に新たな可能性も感じました(大袈裟?)が、こういうセット的な「昔からある手法」「定番の表現」も、塩梅次第で古く感じないんだなと、思いました。
昔からの手法に頼りすぎの植爺作品は、失笑ものですからね。
あ、「銀二貫」なんて、本当に「定番の表現」でしたけど、作風にぴったりで違和感なかったですね。逆に斬新なの入れてたら失敗していたと思う程に。

話を戻します……。
今回は、なにせ「ファンタジー」ですので、その定番ばかりでは表現し切れないと。ので、雪はホリゾントに投影、丸い輪になった電飾付きの(役者がデハケさせる)セットが出てきたり。それを点滅させて演出したり(役者の「ピンポン、ピンポーン」に合わせてチカチカしたのは、爆笑でした)。



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和物の雪組だからこその「和風ロックファンタジー」になり得たと……。
そう思えたのは、どんなお衣装着ようが、どんな楽曲で踊ろうが、和物であるとした時の、雪組のスキルと意識の高さあっての事だと思います。
ヒールのある履物でもちゃんとお腰落ちた立ち姿だし、殺陣もそうだし。スカートであっても物腰は和のそれだし。躍っている時も手の形とか腰の落とし方とか、足運びとか……いちいち「」だから、ファンタジーだけど、ちゃんと「日本」って分かる。
ちゃんと義経と弁慶が、逃避行の最中にこんな不思議な体験したのかもって、思える。

基本中の基本に説得力があるから、ぶっちゃけどんな荒唐無稽の設定持ってきても、キチンと「和物」の話だと納得出来る。
本当に素晴らしい!


演者のそのプライドと、心意気と、熱量が、キャラクターそれぞれの生き様、信念をして、この素敵な作品を更に良いものに押し上げたと思います。

(和物にしては)軽いタッチなのになぁ……。感動しましたよ。

ラスト、泣きました。



ああああああ……叶うならもう一度観たしっ!
でも、無理だからCS放送首を長くして待ってます。
でも。
好評に付き、再演っ!て事もあるかもしれない。
まぁ、そうなると東京だろうけど。



キャスト的なことほぼ書けてません……(笑)

ポツポツ書けたらと思います。







ただ……本当に私個人の意見ですけど……ツネがヒロインである意味はあったのか……。
異世界に義経を誘う静に恩を受けた狐(妖狐)」だけでよかったかもと思いました。
イマイチ義経がツネに惹かれる理由が分からなかったです。ツネに魅力を感じなかった……↓↓
むしろ、頼朝との兄弟愛(や、愛憎)にもっと比重置いて(や、充分比重高かったけど(笑))ヒロインなしの、ハリー(正塚晴彦先生)系でやってもよかったんじゃないかと思いました。だって、2人ともよかったし、2人のやり取りに泣けたから(笑)

ま。これは、本当に個人的な意見です。