あっ!少々ネタバレです!ご注意くださいませ!
あ、幕が上がって数分。
いつも「面白い」か「つまらない」か判断出来てしまう位の時間……「私、なに組を観に来たんだっけ?」と思いました。
じっくり芝居が始まると「あ、いつもの雪組だわ」となりましたけど(笑)
それ位、新生雪組になってました。
「グランドロマン」でも「痛快アクション」でも「スペクタクル」でもない、「ひかりふる路」は、現実のフランス革命の物語でした。
現実の物語って、どっちやねんって感じですね(笑)
ロベスピエールが主人公ってだけで、今まで(のフランス革命もの)とは違う切り口だとわかりますけど。
どれよりも政治色が強いというか……生身の人間が苦悩して迷って、より良い方向に向かおうともがいてる話だと感じました。
観ている私達は、この顛末を知っているので、彼らがどんな最期を迎えるか知っているので……。
切ない……。
それにしても、その……革命家としてのロベスピエールって人は、理想を掲げて、理想に向かって邁進して失敗してしまうんだけど、なんとも「夢想家だったんだ。」と、思いました。
んー、机上の空論?並べて、甘い見立てで見切り発車しちゃったみたいな……。
批判出来ても、国王や貴族追い落として自分達がその位置に立っても、同じ事(仕事)は出来ない。
未熟な……国を引っ張って支えていくには、あまりなも未熟な人(たち)だったんだと、思いました。
一寸違うけど、十二国記の「華胥の幽夢」思い出しました。
なんというか……ナマタ(生田大和)先生の演出意図とは違うかもですけど、今までロベスピエールという人物に持っていたイメージ……「悪役」とか「冷酷」とか……は払拭されて……確かに人間っぽいんですけど「青臭い」人だったんだ……と、感じました。
まぁ、これが現実って奴かもねーとかも感じました。
完璧なヒーローはいない。
自分の「良い」が必ずしも他者の「良い」とは限らない。
理想と現実は、違う。
そんなものを感じました。
これって、宝塚の主人公としてどうなん?って感じ……なのに、一生懸命悩んで、ぶつかって、から回って、人の為に頑張ってるこの、不器用な人がたまらなく愛おしく、可哀想になりました。
一生独身だったというロベスピエール。何故彼が一生独身だったのか……。
そこから湧いたナマタ先生の着想。
やー、良かった。
ありそう……こんな出会いと愛……。
これ、ポイントなんですけど、「ありがち」と「ありそう」は、違います。
それすらも、厳しい現実だけど……。
自分を殺そうとしている人を知らずに愛し、殺そうと決めた相手を愛してしまった。
そんな皮肉……(はっ!剣心と巴じゃん!)。
革命によって生み出された、加害者と被害者。
革命が無ければ出会うことすらなかった、愛し合う二人。
革命の名の元に、貴族に生まれたというだけで恐ろしい不幸を味わったマリー・アンヌ。
革命を恨むのは当然。「革命そのもの」なロベスピエールを殺そうと思うのもよく分かる(でも普通の貴族の姫が、クロスソード(ダガー?)の二刀流どこで覚えた(笑))。
そして……ロベスピエールの本当の心を知り、惹かれていくのも……。
路を見誤って迷走するロベスピエールを、なんとか元の彼に戻そうとして失敗し、殺そうとしたのも。
そして、捕えられ、処刑を待つばかりになった最後の最後に、やはり彼への愛だけが残って……彼の愛を受けて、生きる路に進む決心をしたのも……本当によく分かる。
……ロベスピエールが主人公だけど、マリー・アンヌ中心に観ると、本当に話がスッと入ってきて……涙が止まらないッス!

ロベスピエールの、「なんでこんなに一生懸命やってんのに、みんな分かってくれないの?」的な孤独感というか、悲しさ……苛立ちより悲しさ……が切なくて、可哀想なんだけど。
心酔者のサン・ジュストは、本当のところ分かってたのかなぁ?(それにしても、キレイな顔して怖い事言うよね、この人)。
そして、革命同志との友情……。
命を賭して、戒めようとしてくれる友人なんて、一生に何人も巡り会えるもんじゃない。現代でなんて、出会えない方が多いと思うわ。
その友人を、何人ももっていたロベスピエール。
そして、自分の理想にしか目が向かなかった愚かな彼は、その有り難い友人を断頭台に送る。
彼が苦悩したのは分かる。でも、思い直せなかった。
命をかけてロベスピエールを説得して、結局失敗したダントン・さきな(彩風咲奈)と、デムーラン・コマ(沙央くらま)の最期の会話が……。
なんて、達観したやり取りなんだ……と、涙が止まらなかったです。こんなに、ロベスピエールの事好きで、大切に思ってる彼らなのに。
自分たちが、今のロベスピエールを説得出来なかったのは、自分たちの徳のなさだと言わんばかりの諦め……や、思い切りっぷりが、本当に切ない。
どうしてこうなった?!って感じも、本当に「それが現実だよ」って感じですね。
ロベスピエールの最期が、失策を糾弾されて処刑されたって方向でなかったのが……ある意味救いでした。
や、最期こうでないと、マリー・アンヌが愛する男ではないと思うから。
そう。途中途中で、「新選組的な滅びの美学」的な香りも感じました。
……え?……私だけ……?
……本当に、脚本と演出、素晴らしかったです!
舞台機構も本当に上手く使ってて。
盆回し+場転(場面転換)、暗転最小限ってところが、本当にイケコ(小池修一郎先生)イズムやなぁと(笑)
果てしなく、現実で、でもちゃんと宝塚らしい愛がある作品で……本当に良かったです。
ロベちゃん……見方変わったわぁ(笑)
あぁ、書き足りない……。
またちょぼちょぼ書くかも知れません……。
それにしも……なんで月組全ツと日程被るわけ?
