宙組「ベルサイユのばら」。
今までの「ベルばら」とは、一寸違うアプローチと、鬼気迫るテルの演技に、びっくりした。
・・・結局は植爺作品なんで、全く「イライラ」しなかったかといえば、そんな訳はなかったんですが、てか、失笑も何度かあったんですけど、以前の「石投げてやりたい」って思うほどの「イライラ」に比べたら、本当に、ささいな位の「イライラ」で・・・。
第一に、テルの、命を懸けてんなって勢いのオスカルの憑依具合。
・・・テルって、こんな役作りする人だったっけ?とか思いながら、本当に、目が離せなかった。
一幕は、ほとんど絶叫劇って感じで。
オスカルぱぱと、二人して叫ぶわ怒鳴るわ・・・。
あ、アランも結構恫喝してたな。
こんなに叫んでるベルばらって初めてなんじゃない?
原作通りのやりとりが続いたり、・・・まぁ、華やかなりし近衛隊時代を、アントワネット、フェルゼンの存在と共にすっぱりすっ飛ばしたのには、びっくりしたけど、衛兵隊時代(原作ベルばら的に)物語後半に主軸を置いたのは、とっても良かったと思う。
まさしく「オスカル編」になっていたよね。
まぁ、正直書くべき所、削るべき所はあったとは思うんだけど(ベガちゃんの出の意味がまったく私には理解できないので・笑)、フェルゼンへの思慕すら飛ばして(てか、ジェロちゃん美味しすぎ)、「貴族としてではなく、お飾り人形でもなく、一個の人間としての」オスカルの人生をちゃんと観られたって気分になった。
本当は、アランの比重をもっと多くして、昔かなめちゃんが演った月組のオスカル編にあった、ディアンヌのくんだりを、入れて欲しかったなぁとか思ってもみたんだけどね。
豪華なドレスも軍服もそして、アントワネットやオスカルの愛でさえこの作品のほんの一部分でしかないとさえ思う。
被支配階級の人々の苦しみ、悲しみ。生きていくことの辛さ、大切さ、そして幸せ。
革命という大きな動乱の渦の中で、人々は、新しい世の中を生み出す苦しみに耐え、未来を信じて生きていこうとする。
「ベルばら」の本質はここにある。
私は、元々そう思っているし。
「豪華絢爛な、目もくらまんばかりの作品」「とにかくきれいだった」
・・・芝居として、そんな感想しか出てこない作品を、創立100年も経ってまだ続けるなんて、観客を馬鹿にしているのか、劇団自体を潰す気なのかと真剣に危惧した物だけど。
支配階級のくびきから結局、逃れられなかったアントワネットと違って、広い視野で物事を見る事の出来たオスカルの、決して豪華絢爛ではない後世(人生の後半)を描くという、今回の意図は良かったと思った。
しつこいですけど、もっと書くべきところ、削るべきところはあったと思うけどね。
キャストの作り込みも、なんだか地に足着いていたように感じたのは、気のせいかな?
組のカラーなのかもしれないけど、「ベルばら」らしい「ベルばら」じゃなかった様に感じた。
や、良い意味で。
私、「植爺歌舞伎」嫌いだから(笑)
比較的普通の芝居に見えたから。
ま、アレなところもあったけど。
前回の雪組ででも感じたんだけど、演じ手によってこうも雰囲気が変わるのかと、うなった所が多かった。
オスカルはもちろん、アンドレも、アランも、ベルナールも、ジェローデルも。
私の呼吸で心地よかったってだけなので、皆さんがどう感じるかは分からないですけど、とてもいいと感じたから。
初日開けて数日で、ここまで出来てるってのもいいなと。
あ、台詞何人か噛んでいたけどね(笑)
とにかく。
悪くなかったと思う。
認めたくないけど・・・作品としても(笑)
観る前に、「テル、最後までオスカルやってさ」と聞いた。
どーゆー意味だと思ったんだけど・・・なるほどああいう意味だったのか。
思わず、膝を打った。
や、一寸ウケたけどね(笑)
ここ、伏せた方がいいのかな。
私的に、テルの(か演出の、かは知らないけど)あの拘りは気に入りました。
かなりツボってしまいましたさ。
細かい事は、また後日・・・書くかも知れません・・・。
とにかく、「すごいもの観た」と驚いた事だけ、書いておきます。