とかなんとか、まー様扮するヨハネスが言っていたと思うのですが。

私もです・・・てな状態で・・・(涙)


ここ数日・・・というか、この十日近く、「翼ある人びと」の感想を書こうとパソコンの前に座っても、まったく筆が進まない・・・いやいや指がキーを叩かないのです。


あ、決して、面白くなかったからではありません。


ものすごく久しぶりに、「初見」の作品で感動しすぎて、どこからどういう切り口で感想を書いて良いやら、途方に暮れていたのです。


いま、こうしてぐだぐだと前置きを書きながらも、どこから書こうか考えあぐねているのですが・・・。


プログラムをぺらぺらめくりながら、箇条書きの切れ切れ感想を書いていこうと思います。





ええと・・・。

この作品で一番よかったというか、感動したのは、全てのモノが美しかった事です。


演者のビジュアルはもちろん、舞台セット、演出、音楽、台詞(言葉)、お衣装、そして、キャラクター一人一人の生き様や心がとても美しかった。


第一に、この作品のヒロインであるところのクララ・シューマンと、彼女の夫で主人公(ヨハネス)の師匠、ロベルトとの夫婦愛は、美しく、絆の強いモノでなければ文字通り「話にならない」。

芸術家にしては穏やかな性格で、妻と子供達をこよなく愛するロベルトと、ピアニストでもあるクララの間には、3人の子供がいてあんまり裕福ではないけど、とても幸せに暮らしている。


クララが演奏旅行から戻ってくる日に合わせて、彼女の誕生日プレゼント(グランドピアノ)を、わいわい飾り付け、彼女を驚かそうとみんなしてピアノの下に隠れる姿が微笑ましいったらありゃしない(笑)


その後の、誕生日パーティーでの二人のダンス。

クララはロベルトの首に腕を回して、ロベルトは、両手で彼女を抱きしめて静かに曲に合わせて揺れているの。

この・・・なんていうか、二人の距離感というか、お互いの身体に寄りかかっている感じが、「とっても信頼しきった、それなりに年数を重ねた夫婦」って感じで・・・なんていうか、お互いをこれ以上ないくらい愛し合っているというか・・・でも、若いカップルみたいに激しくないのが感じられて・・・。


「まー様とうららちゃんが主演なんだから、この二人が恋に落ちるんだ・・・よねぇ・・・。宝塚だし・・・。」

と、冒頭は自信がなくなるほど、シューマン夫妻は円満だった(笑)


ここから二人が恋に落ちたら、かなりの泥沼か、ロベルト、ルイ16世状態か・・・って思ってしまったんだけど(笑)


そう行かなかったところが、美しかった!!


シューマン夫妻が円満でいるのが、彼女に思いを寄せつつも、住み込みの弟子であるヨハネスにとっても幸せで。

てか、師匠の事ものすごく敬愛しているから、二人のためになら自分の事は二の次って感じで。


クララに対する想いを「プラトニック」と言ってしまえばそれまでなんだけど、切ないんだよねぇ。


彼女を好きなんだろうなぁって、観ているだけで分かるのに、言葉にも態度にも出さなくて、辛抱強く、音楽家としてスランプな上に深刻な病を発病した師匠と、倒れた夫の代わりに働く彼女を、一生懸命支え続ける。


一度だけ、「愛している」と伝えるんだけど、クララは、夫いる女性として、気持ちいいほどの拒絶をみせる。

彼女のその態度も、(ヨハネスは一寸可哀想だけど)美しいっ。

凜としていて。大人の女で。


ヨハネスとしても、きっとその時「私も実は」なんて言われていたら、幻滅していたと思うんだよね。


だから、「もう家にいてくれるな」って言われても、「もう二度とあんな事は口にしない」と誓って、支え続けたんだよね。



ロベルトの病状が抜き差しならない状態になって、家計を支えるために演奏旅行に出ているクララの代わりに看病していたヨハネスが、ロベルトの枕元でその気持ちを告白したんだけど。

その時、ロベルトはとても静かにそれを聞いて、ヨハネスをびっくりさせる。

ヨハネスが、自分の妻に恋心を感じているのを、もしかしたら知っていたのかも知れない。

のに、怒ったりしないの。


彼は、ヨハネスの才能をとても愛していたし、自分たちのために自らを犠牲にして尽くしてくれているのもわかっているから。

そして、クララが女性として自分を裏切るとは思っていないからだと思うんだけど。



そんなこなんのくんだりも、二人がとっても美しくて・・・。



ロベルトの死後、クララが引っ越しを決め、ヨハネスは一人になる。

「一緒に来ませんか」って聞くヨハネスに、「あなたは自分の道を歩みなさい(みたいなこと)」と、まるで親鳥が子供の巣立ちを促すかのように、やさしく言うクララ。


別れの抱擁を交わし、初めて唇を重ねる二人。


ああ、ヨハネスの想いは届いたんだなって思いつつ・・・。


クララ・・・ヨハネスの事、男と思ってないよね・・・多分。


それでも、ヨハネスはその思いを持って、一生独身で過ごす。



ずっと独りだけど、寂しいとか悲しいとかなかったはず。

クララへの想いと、ロベルトの薫陶と、シューマン一家と過ごした思い出があるから。


みたいなっ!


一事が万事、美しいの。


この3人の全てが、美しくて、途中から涙が止まらなかった。




演出とか舞台機構(セットとか)結構テッパンな感じで、特に目新しいモノは、実はなかったりする。

でも、それが、奇をてらわない実直な手法と、私には映った。


ものすごく、丁寧に、良心的に・・・っていったら違うかな・・・、愛を込めて作られた作品なんだと感じた。


本当に、よかった。



奈穂子ちゃん先生とはまた違ったベクトルで、宝塚をもり立ててくれる脚本家が出たと、本当に思った。



ああ・・・でも、文章に書くと、平べったいな。

語彙が少なくてすみません。


キャストの感想は、次回に送りたいと思います。




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このドレス、良すぎて近くで見てみたい・・・(笑)