ま、一言で言うと・・・。


よかった。


鳥肌モノで。


観るポイントも、沢山あるんだけども・・・イナバ的には、やっぱりセットでしょうね。


美しくて、重厚で、斬新。


そんな印象。


最初に現れる中割幕の天使。

白と黒。

ペンで「A ANDRE CHENIER」って書いてるのね。

・・・一寸脱線するんだけど、フランス人なのに「アンドレア」とか、「マッダレーナ」とか、いやにイタリア名前だなぁと思っていたんだけど、「イタリアオペラ」原作だからなのね。

このスペルだったら、「アンドレ」だものね。

ただ、ヅカで「アンドレ」っつーと、片眼黒髪の永遠の恋人が出てくるからね(笑)

あえて、そのままにしたのかな。


そこら辺の違和感最後まで引きずったけど。


話戻して・・・。


ものすごい柔らかい素材に描かれた天使は、本当に柔らかくて、なんていうか・・・いい雰囲気だった。


そして、それが割れて、出てきた羽根のセット。

びっくりした。


「オグリ」の馬の次くらいに(笑)

盆の真ん中に鎮座ましましたそれは、最後までハケる事無く、様々に角度を変えて場面を表現していた。



いやいやいやいや・・・。

素晴らしかった。

正直、最初は、「大劇の奥行き半分殺してるじゃん」って思ったんだけど、あの後ろでも、芝居が続いていたし、むしろ、狭い中の閉塞感っていうか、そんなものと、あの時代のパリの視野の狭さとか煮詰まり具合が良く表現できていたんじゃないかなって思った。


コワニー伯爵邸の扉の時もキレイだったんだけど、くるっと逆を向いた時の教会の場面とか、その後の二人の場面のとことか、本当に効果的でよかった。


羽根の隙間に電飾仕込んでて、うっすら明かりが漏れているのが・・・。

木材のセットなのに、なんと柔らかい羽根に感じられたことか・・・。


裏の板の貼り具合と、程々の陰影、人が乗れる太い柱。

そこに揺らめくロウソクの光・・・。

なんて詩的・・・。


本当に感動した。


あ、その前の二人が手紙をやりとりする場面の、マッダレーナ側のカーテン(てかしかりの布)も、もの凄く効果的だった。

たったあれだけで、ちゃんと区切られた空間で、それもあんまし裕福でない家に見えた(部屋数がないから、アレで仕切っている・・・みたいな)。


移動式の描き割りも、なんか、プリントされてるみたいな、所謂「描き割り」然としていないというか・・・。

こう・・・リアルに「こういう所です」的なのではなくて、ニュアンスっていうか、抽象的っていうか・・・そんな感じで、ものすごく美しいモノを観たって気持ちになった。


セットというか、空間作りは、今回宝塚的に新しい試みが大成功したんじゃないかな。


セリとか、スッポンも、面白い使い方していたし(みりおが、セリから階段で出てきた時思わず「オトカー?」って思ってしまったけど・笑)。

スッポンを井戸にするなんて、なかなか思いつかないと思うわー。



本当、すごくよかった。



ま、作品としては、重かったよね。

スカピンみたく「勧善懲悪」っていうか、「正義のヒーロー」って出てこないし、「時代がそんなんだから」って思うしかない悲劇だし。

ある意味救われてないし。


結構どぎついセリフとかあって、正直ドキドキしながら観ていた。

でも、アレかな、女性の脚本家だからか、「寸止め効いていた」ってか、「ギリOK」ってか・・・。

あれを男性の脚本家が書いちゃうと、下品になるってか、生々しくなるんだろうなぁ・・・。


革命前にあったおぞましい事件とか、革命後にマッダレーナが受けた辱め(虐待?)とか、二人の愛の一夜とか・・・。


寸止めでよかったよ・・・(笑)


作品が重いだけに、二人の幸せだった時と、アンドレアを追って詩を選ぶマッダレーナの一途さとか、あの革命を生き延びて、新たな命を生み育てた侯爵夫妻とかの、少しの幸せが際立つよね。


で、死ぬほど報われなかった、カルロも。

可哀想で仕方なかったよ。


アンドレアなしに生きていけないってマッダレーナが、とある娘と入れ替わって死を選んだ時(なんか、二都物語な感じやなぁ)、マッダレーナに「貴方の胸にある、愛しい人を失う苦しみを今まで沢山の人が味わってきたのです」的な事いわれて、カルロ、本当に辛そうってか、可哀想・・・。


報われなさハンパないっ!


結構、私、カルロに感情移入したかも。


少なくとも、ショーヴランよかいい人と思うんだけど(笑)




本当、色々考えさせられて、色々勉強になった作品でした。


やっぱり、けーこちゃん先生は、すごいや。



とっても、とってもよかったよぉぉぉ。



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