ご機嫌いかがですか?


さて、本日は下記の通り

 

▪️知識編

⚫︎民法5

判例は、「譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に譲渡担保権の目的物を譲り受けた第三者は、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対して有する清算金支払請求権につき、消滅時効を援用することができる」としています(最判H11.2.26)。


⚫︎行政法3

※ 執行罰とは、一定の期間を定め、その期間内に義務を履行しないときには一定額の過料に処する、ということを前もって予告して、その予告によって心理上の圧迫を加えることにより、間接的に履行を強制する方法をいいます。

※ 行政罰とは、過去における行政上の義務違反に対する制裁として科されるものであり、過料は秩序罰に分類されます。

⚫︎民法78

保佐人は一定の事項についての同意権を有していますが(131項)、代理権を付与する旨の審判(876条の41項)がなければ、代理権は有しません。

補助開始の審判は、一定の事項についての同意権を付与する審判か、代理権の付与の審判とともにしなければなりませんが(153項)、代理権を付与する旨の審判(876条の91項)がなければ、代理権は有しません。


⚫︎刑訴法49

判例(最判S38.10.17、白鳥事件)は、第三者が、検察官に対し、『被告人が「Sはもう殺してもいいやつだな」と言った』と述べ、それを録取した供述録取書が伝聞証拠に当たるかが争われた事件において、「伝聞供述となるかどうかは、要証事実と当該供述者の知覚との関係により決せられる」としたうえで、当該供述録取書の記載は「右のような内容の発言をしたこと自体を要証事実としているものと解せられる」として、伝聞供述であるとはいえないとしています。

これに対し、設問は、要証事実を殺害計画の内容としています。そうすると、Aの発言内容である殺害計画の真実性が問題となるため、伝聞証拠に当たることになります。

要証事実の違いによって伝聞・非伝聞も異なってくるため、注意が必要です。


⚫︎行政法24

差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に、その処分又は裁決を事前に禁止することを目的とする訴訟です。そのため、訴訟係属中に処分がされてしまった場合、訴えの利益が失われるため、裁判所は請求を却下することになります。


⚫︎刑訴法53

3241項は「被告人以外の者の公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第322条の規定を準用する。」と定め、3221項は「被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第319条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。」と定めています。

条文をそのまま読めば、322条の規定が準用される結果、被告人の署名若しくは押印が無ければ証拠能力が認められないとも思えます。しかし他方で、そのように解してしまうと、324条が死文化してしまいかねません。

そこで、反対尋問等で署名押印に代わる信用性の情況的保障が担保できる場合は証拠とすることができるとか、そもそも準用されるのは3221項ただし書きのみとか、見解の相違はありますが、少なくとも、被告人の署名押印が無いことを理由に証拠能力を否定する見解はありません。


⚫︎民訴法34

控訴は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければなりません(2861項)。控訴の提起によって、判決の確定は遮断されます(1162項)。


⚫︎刑訴法49

要証事実とは、訴訟の中で、その証拠が証明する事実のことをいい、立証趣旨とは、当事者(※多くの場合、検察官)が、その証拠によって立証しようとする事実をいいます。立証趣旨は取調べ請求の際に提出される証拠等関係カードに簡潔に記載されるのが通常です。

立証趣旨と要証事実とは一致することが多いと考えられますが、裁判官が当該証拠から立証趣旨とは異なる事実が証明されたと考える場合や、立証趣旨を前提とするとおよそ証拠としては無意味になるような場合、立証趣旨と要証事実とは異なるものになり得ます。例えば最決H17.9.27は、「立証趣旨が「被害再現状況」、「犯行再現状況」とされていても、実質においては、再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実になるものと解される。」と判示しており、検察官の立証趣旨の記載とは異なる要証事実を認定しています。


⚫︎刑訴法59

公訴棄却の決定に対して、被告人・弁護人から上訴することはできないと解されています(最決S53.10.31)。

なお、免訴判決に対しても、公訴事実が存在せず又は罪とならないことを主張して上訴することはできないと解されています(最大判S23.5.26、最判H20.3.14)。


▪️キーワード編

⚫︎刑訴法59 公訴棄却