ご機嫌いかがですか?

おはようございます。


さて、本日は下記の通り

 

▪️知識編

⚫︎民法9

 9条は「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」と定めていますが、未成年者についての同様の規定はありません。そのため、日常生活に関する売買契約であっても、親権者は取り消すことができます。

 126条は「取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」と定めています。すなわち、取消権の消滅時効の起算点は、追認をすることができる時ということになります。

まず、成年被後見人が行為能力者となった場合、自ら追認することができるようになりますが、その追認は、単に行為能力者となっただけでは足りず、取消権を有することを知った後でなければ無効です(1241項)。成年被後見人は事理弁識能力を欠いていることから、当該法律行為が行われたこと自体を知らないのが通常であるためです。そのため、成年被後見人であった者自身による、成年被後見人の行為であることを理由とする取消権の消滅時効の起算点は、成年被後見人が行為能力者となり、かつ、取消権を有することを知ったときです。

次に、成年後見人による追認も、成年被後見人の行為の存在を知らなければ追認のしようがないため、その取消権の消滅時効の起算点は、成年後見人が、成年被後見人の行為を知ったときです。

⚫︎商法19

登録株式質権者は、剰余金の配当としての金銭を、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができます(1541項)。これはすなわち、直接に金銭の交付を受けられるということになります。

なお、略式株式質権者の場合は、通常の物上代位と同様、質権設定者への払渡しに先立つ差押えが必要となります(民法350条、3041項ただし書き)。


⚫︎刑法9

行為者が認識した事実と、発生した結果とが異なる場合、そのような結果との関係で故意が認められるかという問題は、事実の錯誤とよばれます。そのうち、同じ構成要件内の事実の錯誤を具体的事実の錯誤、違う構成要件間の事実の錯誤を抽象的事実の錯誤と呼びます。

設問は、狙った客体とは別の客体に結果が生じており、このような場合を方法の錯誤(打撃の錯誤)といいます。


事実の錯誤については、判例は、(抽象的)法定符合説を採っていると言われています。すなわち、構成要件の範囲内で主観と客観が一致していれば、規範に直面したといえるため、故意が認められるとする見解です。

この見解からすると、設問において、XAに対して傷害を負わせようとして拳銃を発射していますが、実際はBに対して傷害結果が発生しています。したがって、構成要件の範囲内で主観と客観が一致しているといえ、Bに発生した傷害結果についての故意が認められます。


他方で、事実の錯誤についての有力説として、(具体的)法定符合説があります。この見解は、(抽象的)法定符合説に加え、法的主体の個別・具体性を重視します。規範に直面したといえるのは、あくまで対象とされた客体に対する行為であるということを理由とします。

この見解からすると、設問において、Xは「目の前に立っている人物である」Aに対して傷害を負わせようとして拳銃を発射し、実際は「近くにいた人物である」Bに対して傷害結果を発生させています。したがって、この見解からは、「近くにいた人物B」については規範に直面したとはいえないことになるため、Bに対する故意は認められないことになります。(Bに対しては過失致傷罪の問題となります)

したがって、見解によって結論が異なるため、設問は正しいといえます。


★民法6

即時取得

AAB間の売買契約をBの強迫を理由として取り消した場合、詐欺と異なり第三者保護規定が無い(963項参照)ことから、Cは善意であっても保護されないため、BC間売買契約を理由として宝石の所有権を取得することはありません。

しかし、Aの取消しにより、AB間の売買契約は初めから無効であったものとみなされ(121条)、その結果、BC間の売買契約時にBは宝石の所有権を有していなかったことになります。そのため、即時取得(192条)の要件を満たせば、Cは即時取得により宝石の所有権を取得することができます。


⚫︎民法11

取消しうる行為は、実際に取り消されるまでは一応有効とされます。そして、取消しの意思表示がされると、初めから無効とみなされます(121条本文)。

取消しにより行為が無効となった結果、既に授受されたものがあった場合には相互に返還義務(原状回復義務)を負うことになります(121条の21項)。


⚫︎憲法47

個人根保証契約は、極度額を定めなければ無効となります(465条の22項)。したがって、公正証書により意思表示をしたとしても、極度額を定めない個人根保証契約は無効です。

(なお、公正証書による意思表示が必要なのは、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約や、主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の場合です(465条の61項)。)


⚫︎憲法39

※ 最高裁は、「国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たる」としたうえで、国民健康保険の保険料は保険給付の反対給付であるため、租税ではない、としました。

しかし、国民健康保険が強制加入であることや、保険料が強制徴収されること、賦課徴収の強制の度合いにおいて租税に類似する性質を有すため、84条の趣旨が及ぶとしています。したがって、設問は正しいといえます。

 判例 最大判平成1831日 旭川市国民健康保険条例事件

国民健康保険の一般被保険者であるXが、旭川市長から、所定の減免事由に該当しないとして、保険料を減免しない旨の通知を受けたため、その取消しを請求した事件。

「国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たる」

「国民健康保険の保険料は、これと異なり、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである。・・・したがって、上記保険料に憲法84条の規定が直接に適用されることはない」

「もっとも、・・・租税以外の公課であっても、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては、憲法84条の趣旨が及ぶと解すべき」

「国民健康保険は、・・・強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても憲法84条の趣旨が及ぶ」


※我が国の国会においては、「会期不継続の原則」と「一事不再議の原則」が採られています。

「会期不継続の原則」は、会期制を前提として、前の会期と後の会期との間には意思の継続がないとされるもので、憲法には定められておらず、国会法68条に定められています。

「一事不再議の原則」は、いったん議決した案件については同一の会期中に再度審理しないとするものですが、憲法にも国会法にも定められておらず、解釈によって採用されています。


⚫︎基礎法学2

あらゆる事象を法文にすることは不可能であるため,ある程度抽象的な表現にならざるを得ないといえます。そのため,法を当てはめるためには法を解釈する必要があります。

解釈の方法には大きく分けて文理解釈と論理解釈とがあり,論理解釈は拡大解釈・縮小解釈・類推解釈・反対解釈などがあります。

 補足-刑法199

「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」

直接的に人を殺した者に刑法199条が適用されることは間違いありません。しかし,たとえばAが他者Bを脅迫することで,BにCを殺させた場合,AがCを「殺した」と言えるかどうかが問題となります。

文理解釈のみによれば,人であるCを「殺した」のはBであるから,Aに刑法199条は適用されないことになります。しかしそれでは結論として妥当でないのは明らかであって,「殺した」という部分を解釈することが必要となります。


▪️疑問編

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