ご機嫌いかがですか?


さて、本日は下記の通り

今日は用件のみでお願いします

 

▪️知識編

⚫︎行政法16

審査請求が原則として処分庁の最上級行政庁に対して行われることから(行審法44号)、その後に行われる再審査庁は、処分庁の上級行政庁などの指揮監督権を有している行政庁であることが通常想定できません。そのため、一般的指揮監督権が認められる場合に可能な処分である処分の変更は、再審査庁にはできないと考えられます(行審法651項)。


⚫︎行政法2

※ 判例は、医師会が人工妊娠中絶を行うことができる医師の指定をした後、当該指定医師について、「法秩序遵守等の面において指定医師としての適格性を欠くことが明らか」となり、当該指定を「存続させることが公益に適合しない状態が生じた」ことを認定したうえで、「指定医師の指定の撤回によって被る不利益を考慮しても、なおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるから、法令上その撤回について直接明文の規定がなくとも、指定医師の指定の権限を付与されている医師会は、その権限において右指定を撤回することができる」としています(最判S63.6.17)。

したがって、記述ウは、撤回について明文の規定がある場合に限って撤回が認められるとしている点で誤っています。

※判例は、「処分をした行政庁その他正当な権限を有する行政庁においては、自らその違法または不当を認めて、処分の取消によつて生ずる不利益と、取消をしないことによつてかかる処分に基づきすでに生じた効果をそのまま維持することの不利益とを比較考量し、しかも該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当であると認められるときに限り、これを取り消すことができる」としています(最判S43.11.7)。

したがって、記述イは誤っています。


⚫︎民法5

※ 債務者が消滅時効の完成後に承認した場合、債務者は信義則上、その完成した消滅時効を援用することができなくなります(最大判S41.4.20)。

ただし、その承認以後は新たに時効期間が進行し、消滅時効の期間が経過した場合には、新たに完成した消滅時効を援用することが許されます(最判S45.5.21)。

※特定物売買の目的物が契約の内容に適合しない場合、買主は追完請求などをすることができます(5621項)。また、それにより損害が生じた場合、損害賠償請求をすることができます(564条、415条)。

ここで、種類又は品質に関する不適合については、1年以内に通知をしなければ、原則として請求することができなくなります(566条)。しかし、同条には数量が挙げられていないため(5621項と比較)、数量不足の場合566条の適用はありません。結果として、数量不足の場合は一般の損害賠償に関する消滅時効の規定に従うこととなり、その不適合により損害賠償請求をすることができることを知った時から5年の時効消滅にかかることになります(16611号)。



⚫︎行政法27

検察官の公訴提起について、判例は、結論として責任を否定したものの、国賠法11項の問題として判断しています(最判S53.10.20)。そのため、公権力の行使に当たると判断しているといえます。

また、裁判官による裁判について、判例は、当該裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したような特別の事情がある場合には国賠法11項にいう違法な行為があったといえるとしているため(最判S57.3.12)、公権力の行使に当たると判断しているといえます。


⚫︎民訴法2

※ 意思能力とは、自己の行為の結果を弁識するに足る精神的能力をいいます。意思能力が無い者の法律行為は無効とされます(3条の2)。

これに対し、行為能力とは、自らの行為により、法律行為の効果を確定的に帰属させる能力をいい、未成年者や被後見人・被保佐人・被補助人はこれが制限された、制限行為能力者と呼ばれます。行為能力が無い者の法律行為は無効とはされず、取り消すことができるにとどまります(52項など参照)。そして取り消されることで、初めから無効であったものとみなされます(121条)。

※設問のとおり、処分権主義とは、実体法上の「私的自治の原則」を、手続法上の訴訟物のレベルにおいて実現する法の建前をいうと説明されています。

処分権主義の内容は①訴訟の開始(1341項)、②審判対象の特定(246条)、③訴訟の終了(261条以下)の場面において機能すると解されています。

当事者に、これらそれぞれ3つの場面における権限を認める建前とも説明されます。


⚫︎刑訴法22

42912号は、勾留等に対して裁判官に不服を申し立てる準抗告を定めていますが、逮捕については規定がないため、準抗告の対象とはならないと解されています(最決S57.8.27)。そのため、逮捕の違法は勾留に対する不服の際に併せて主張することになります。


⚫︎民訴法27

裁判上の自白は、裁判所を拘束するため(弁論主義第2テーゼ)、裁判所は自白された事実を基礎に判断しなければなりません。ここで、「事実」が何を指すのかが問題となります。

判例は、設問と同様の事案において、「間接事実についての自白は、裁判所を拘束しないのはもちろん、自白した当事者を拘束するものでもない」としたうえで、Yの抗弁の主要事実は「債権の譲渡」であるから、売買契約の存在は間接事実に過ぎないため、取消しは許されるとしました(最判S41.9.22)。すなわち、裁判上の自白の対象となる事実は、主要事実に限られるといえます。

なお、学説においては、間接事実や補助事実は、主要事実との関係では証拠と同様の機能を持つのであるから、自由心証主義(247条)に反しかねないため、これらの事実についての自白は裁判所を拘束しないと説明されています。

したがって、裁判所は、AB間の売買契約が無かったことをXが証明できなかったとしても、Xの売買契約の事実を認める旨の自白を取消しを認めることができます。


⚫︎民訴法36

 Zに対する訴訟では、Zの敗訴が確定しています。しかしその後、Yに対する訴訟ではXが敗訴したことから、XYに対しては主債務の強制執行ができないのに、Zに対してはその保証債務の強制執行ができることになってしまいます。このような場合に、Zが、XY訴訟の確定判決を援用し、強制執行を防ぐことができるかが問題となり得ます。

当事者と実体法上の依存関係がある第三者に対して、一定の拘束力を及ぼす理論を反射効理論などと呼びます。反射効理論は、実体法上の不都合を修正しようとするものではありますが、明文(1151項)に反することから、判例は認めていません。

判例は、「保証人がすでに保証人敗訴の確定判決を受けているときは、保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定しても、同判決が保証人敗訴の確定判決の基礎となつた事実審口頭弁論終結の時までに生じた事実を理由としてされている以上、保証人は右主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にする余地はない」とし、その援用を否定しました(最判S51.10.21)。援用を否定する理由としては、「実質的には前記保証人敗訴の確定判決の効力により保証人が主張することのできない事実に基づいて再び債権者の権利を争うことを容認するのとなんら異なるところがないといえるから」と述べ、自己に生ずる既判力に抵触することを挙げています。

※既判力は、口頭弁論終結時(基準時と呼ばれることもあります)に存在していた事由について、遮断効(失権効)が生じると解されています。

遮断効は、実際に前訴で主張されていたか否かは問いません。

判例は、「売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が係属した場合に、当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる」として、前訴口頭弁論終結前の詐欺を理由とする取消権を行使できなくなるとしています。

したがって、第1訴訟の既判力(遮断効)が第2訴訟のYの主張に及ぶ結果、Yの主張は認められないことになります。


⚫︎商法30

判例は、「非公開会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合、その発行手続には重大な法令違反があり、この瑕疵は上記株式発行の無効原因になると解する」としています(最判H24.4.24)。


⚫︎刑法66

盗品関与罪の成立には、当該物が盗品等に該当することの認識(盗品性の認識)が必要です。盗品性の認識は、未必的認識で足りると解されています。

甲は買い取った物が盗品ではないかと思っていることから、盗品性の未必的認識があったといえます。そしてそれを有償で買い取っていることから、盗品有償譲り受け罪が成立します。

 判例 最判昭和23316

「賍物故買罪は賍物であることを知りなからこれを買受けることによつて成立するものであるが、その故意が成立する為めには必すしも買受くべき物が賍物であることを確定的に知つて居ることを必要としない或は賍物であるかも知れないと思いながらしかも敢てこれを買受ける意思(いわゆる未必の故意)があれば足りるものと解すべきである故にたとえ買受人が売渡人から賍物であることを明に告けられた事実が無くても苛くも買受物品の性質、数量、売渡人の属性態度等諸般の事情から「或は賍物ではないか」との疑を持ちながらこれを買受けた事実が認められれば賍物故買罪が成立する」



▪️疑問編

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