ご機嫌いかがですか?

択一六法、民訴法

▫️民訴法第54条訴訟代理人の資格

1)法令により裁判所の行為をすることができる。代理人のほか弁護士でなければ訴訟代理人となることができない

2)簡易裁判所において、その許可を得て、弁護士でないものを、訴訟代理人とすることができる


▫️第58条訴訟代理人の不消滅

▫️第60条補佐人

 当事者又は訴訟代理人は、裁判所許可を得て、保佐人と共に出頭することができる



さて、本日は下記の通り

 

▪️知識編

⚫︎刑法3

※ 緊急避難の成立要件として、「やむを得ずにした行為」(37条1項)であることが必要であり、これは一般に、避難行為が「唯一の方法」であったことと解されています(補充性)。そして、「ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」(37条1項ただし書き)として、法益権衡の要件を欠いたときは過剰避難になるとされています。

本事例は、生命身体に対する危険は無い監禁状態から逃れるため、現住建造物へ放火した事例であり、法益権衡の要件を欠く事例だといえます。

A説は、補充性が認められなくても、当該行為が避難行為の一つであれば、法益権衡の要件を欠くとき過剰避難が成立するとする見解です。

B説は、補充性・法益権衡の要件のどちらか一方のみを欠く場合に限り、過剰避難となるとする見解です。

C説は、緊急避難、過剰避難ともに補充性を要求する見解です。法益権衡の要件を欠く場合、過剰避難となります。

記述1は、脱出可能であったため、補充性が認められません。しかし監禁状態から逃れるための行為であるとはいえます。A説からはこのような場合であっても過剰避難が成立するとするので、記述1は正しいといえます。

記述2は、脱出手段が他に無かったため、補充性が認められます。そうすると、B説からは過剰避難が成立することになるので、記述2は正しいといえます。

記述3は、脱出可能であったため、補充性が認められません。C説からは緊急避難・過剰避難ともに補充性を要求する見解であるため、甲に過剰避難は成立しません。したがって、記述3は誤っています。

記述4は、脱出可能であったため、補充性が認められません。B説からは緊急避難も過剰避難も成立しないので、記述4は正しいといえます。

記述5は、脱出手段が他に無かったため、補充性が認められます。C説からは過剰避難が成立することになるので、記述5は正しいといえます。

※判例は、「公益ないし国家的法益の防衛が正当防衛として認められ得るか否かについては、…公共の福祉を最高の指導原理とする新憲法の理念から言つても、公共の福祉をも含めてすべての法益は防衛せらるべきであるとする刑法の理念から言つても、国家的、国民的、公共的法益についても正当防衛の許さるべき場合が存することを認むべきである。」としています(最判S24.8.18)。
したがって、判例によれば国家的法益を防衛するための正当防衛が成立する余地があるといえます。


⚫︎民訴法39

※ 判例は、建物が原告の単独所有であることを確認する訴えは、共有名義人全員に合一確定すべき必要は無く、それぞれ独立した訴えであるとして、(必要的)共同訴訟ではないとしています(最判S34.7.3)。土地も同様であるといえるため、XはB・Cの2人を共同被告としなければならないわけではありません。

なお、逆に、共有者が原告となり、建物を共同所有していること(共有権)の確認をする場合、固有必要的共同訴訟となると解されています(最判S46.10.7)。「共有者全員の有する一個の所有権そのものが紛争の対象となつているのであつて、共有者全員が共同して訴訟追行権を有し、その紛争の解決いかんについては共有者全員が法律上利害関係を有するから、その判決による解決は全員に矛盾なくなされることが要請され、かつ、紛争の合理的解決をはかるべき訴訟制度のたてまえからするも、共有者全員につき合一に確定する必要があるというべき」ということが理由とされています。

※ 共同相続人間での遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、共同相続人全員について矛盾のない判断がされるべきであることから、固有必要的共同訴訟と解されます(最判S61.3.13、最判H1.3.28)。

もっとも、相続開始後であれば自己の相続分は譲渡でき(明文はありませんが、民905条は譲渡可能なことを前提としています)、相続分の譲渡は相続財産に対する包括的な持分を一括して譲渡するもので、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転すると解されます(最判H13.7.10参照)。

その結果、「遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり、遺産分割・・・を求めることはできないのであるから、その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性はないというべきである。そうすると、共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しない」ことになります(最判H26.2.14)。

Bは自己の相続分全てをCに譲渡していることから、Eが遺産確認の訴えを提起する場合、他の共同相続人であるC・Dのみを被告とすれば足り、Bを被告とせずとも、固有必要的共同訴訟の要請に反しないことになります。

※隣接する土地の境界確定の訴えは、隣接する土地の所有者・共有者の間で合一にのみ確定すべきで、訴訟共同の必要がある固有必要的共同訴訟と解されます。

そのため、共有者の1人でも当事者となっていない場合、当該訴訟は不適法却下されます(最判S46.12.9)。設問のように、共有者の1人が行方不明であっても同様であり、このような場合は、必ずしも甲土地側が原告、乙土地側が被告とならなければならないわけではなく、いずれかの立場で訴訟に関与していればよいと解されるため、Cも被告として(行方不明であるため公示送達によることになるでしょう)訴えを提起すればよいことになります(最判H11.11.9参照)。

このように、固有必要的共同訴訟であるのに、原告が足並みをそろえることができないような場合、その者を被告とする手法が考えられ、入会権の確認訴訟においても同様に考えることができます(最判H20.7.17)。


⚫︎民訴法38 

共同訴訟の主観的併合要件も訴訟要件のひとつではありますが、これを欠いたからといって直ちに訴えが全て不適法となるのではなく、弁論を分離して審理することとなります(大判S10.4.30)。(もちろん、そのうえでその他の訴訟要件を欠く場合には不適法却下となり得ます。)

⚫︎民訴法37

※ 一般に、債権者代位訴訟においては、債権者は他人のために原告となった者であるとして、債務者には既判力が及びます(115条1項2号、大判S15.3.15)。

しかし、このような訴訟担当において、既判力が及ぶのは、第三債務者の応訴の煩と、債権者が、被代位債権の行使に強い利害関係を有していることから、債務者にも代替的な手続保障が図られていたといえるためであると解されます。

そして、この代替的な手続保障が図られているといえるためには、被保全債権が存在することが必要であると考えられ、存在しないのであれば強い利害関係を有していたとはいえないことから、債務者には既判力が及ばないと解されます。

Xの訴訟において甲債権が無いとの認定であった場合、その既判力はZには及ばないと解され、Zの訴訟においては、乙債権が存在するとの認定になる可能性もあり得ます。

※ Zは、XY間の訴訟の判決後に、Yから乙建物を賃貸しています。乙建物をZが占有していることから、Xが強制執行するためには、XY間の訴訟の既判力(執行力)がZにも及ぶ必要があります。

判決は、設問同様の訴訟において、訴訟上の和解によりYが明渡義務を負った後、建物を借り受けたZは、「建物賃借人の敷地に對する占有は賃貸人の敷地に對する占有と無関係に原始的に取得せられるものではなく、賃貸人の敷地に對する占有に基き取得せられるものであるから占有の関係からみると一種の承繼があるとみることができる」として、Zが口頭弁論終結後の承継人(現115条1項3号)に当たるとしています。

したがっ

※ 既判力は、訴訟当事者にのみ及ぶのが原則であり(115条1項1号参照)、その他は当事者や係争物と特別な関係にある者に及ぶこととされています(115条1項2号~4号)。

第三者Zはこれらに該当しないため、第1訴訟の既判力は第2訴訟には及びません。そのため、審理の結果Zの請求が認められ、XZ間では甲土地の所有権はZにあるとの結論になる可能性もあり得ます。

⚫︎民訴法36

※ 既判力は、口頭弁論終結時(基準時と呼ばれることもあります)に存在していた事由について、遮断効(失権効)が生じると解されています。

遮断効は、実際に前訴で主張されていたか否かは問いません。

判例は、「売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が係属した場合に、当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が終結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる」として、前訴口頭弁論終結前の詐欺を理由とする取消権を行使できなくなるとしています。

したがって、第1訴訟の既判力(遮断効)が第2訴訟のYの主張に及ぶ結果、Yの主張は認められないことになります。


なお、遮断効が及ぶか否かにつき、前訴で主張しなかったことに過失の有無を問わない(無過失であっても遮断効が及ぶ)とするのが通説とされていますが、既判力の正当化根拠を制度的効力と手続保障と捉えたうえで、また、上記判例が「行使することができたのに」としている点などから、前訴で行使することが期待できた場合に限り、遮断効が及ぶとする見解も有力です。

※ 確定判決の既判力は、判決主文中の判断に限って生じるのが原則であり、判決理由中の判断には生じないと解されています。もっとも、相殺の主張については、明文で既判力が生じるとされています(114条2項)。これは、相殺の抗弁の成否は判決理由中の判断ではあるものの、この判断を既判力で確定しておかなければ、後日、その相殺に供した債権を再度請求することが可能となり、紛争の蒸し返しとなり得ることから、例外的に既判力が及ぶとされたと解されています。

第1訴訟においては、Xの主張も、Yの相殺の抗弁も認められています。相殺に供された結果、Yの30万円の売掛代金債権が、基準時において不存在であることに既判力が生じることになります(債権の存在と消滅に既判力が生じるとする見解もあります)。

そして、第2訴訟のYの主張に、この既判力が及ぶことになります。

※ 確定判決の既判力は、判決主文中の判断に限って生じるのが原則であり、判決理由中の判断には生じないと解されています。

第1訴訟の判決主文中の判断は、Xに甲土地の移転登記手続請求権があることであり、甲土地の所有権そのものは判決理由中の判断であるため既判力は生じません(最判S30.12.1)。

そのため、Yが甲土地の所有権を確認する第2訴訟を提起しても、第1訴訟の既判力は及ばないことになります。

⚫︎民法5

※ 無権代理人の責任(117条1項)は、不法行為による賠償責任ではないと解されているため、3年の時効消滅にはかかりません(最判S32.12.5)。

⚫︎刑法6

共犯の処罰根拠に関する因果的共犯論とは、共犯も、正犯を介して又は他の共同者と共に、構成要件的結果を惹起したことに基づく共犯固有の違法・責任を根拠に処罰されると理解する見解です。因果的共犯論からは、共犯固有の違法・責任が処罰根拠となるため、一個の犯罪を共同して行うという考えとは相容れないことになります。


⚫︎刑法66

盗品関与罪の成立には、当該物が盗品等に該当することの認識(盗品性の認識)が必要です。盗品性の認識は、未必的認識で足りると解されています。

甲は買い取った物が盗品ではないかと思っていることから、盗品性の未必的認識があったといえます。そしてそれを有償で買い取っていることから、盗品有償譲り受け罪が成立します。


▪️疑問編

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