かつて。


私は呟いた。


強くありたいと。


あのひとを支えて立つ足を。揺るがない腕を。


崖から引き上げる力を。笑って受け入れられるしなやかさを。



いや、いまもそれは同じだけれど。



最近少し価値観が変わった。


我慢すること、弱音を吐かないこと、笑顔を作ること、安請け合いすること。


強さだと思っていた諸々が、そうでないことを気付かされた。



いや、別に負けないこと投げ出さないこと逃げ出さないこと信じぬくこと……ってわけじゃないけど。



少しは駄々もこねるし、わがままを言うし、嫌なことを断って、好きなことをして。


前より確実に敵は増えたし、侮られるし、馬鹿にされて陰口をたたかれる機会が増えただろうけど。


でも少しずつ許し始めたそれらで、少しずつ生きやすくはなっていると思う。



まだ時折不安になる。


いつか、と想像して。


いつか、うしなうひが、きたら。



そんな、鳩尾深くたまった黒いかたまりを吐きだしてしまう。


それを右耳ひとつで受け止めて流してしまう。


つよさ、


に思うのは、救われている私だけかもしれないかも。



とにかく


教えてくれたのはあなた。


探すなら彼方西の国でなく、左手、と。