物心ついたころには、テレビの世界の中心にジャニーズがいた。
学年に1人以上は必ずジャニオタがいたし、オタクまでいかなくても所属タレントの名前と顔をきちんと一致させて認識している人の方が多かった。
つまり、わたしの知る範囲でジャニーズを知らない子はいなかった。
わたしたちが小学生のころにはジャニーズジュニア黄金時代なるものが訪れ、「タッキー派か翼派か」なんて会話で盛り上がったりもしたものだ。
Myojoの切り抜きを下敷きに入れてる子たちもいたし、コンサートに行ったなんて言ってる子たちもいたし、発売されるCDが同じ曲なのに数種類あって買うのが大変だなんて愚痴をこぼしながらしっかり全種類買ってる子たちもいた。
たぶんこれまでの人生でテレビをつけて所属タレントを一人も見ない日なんてなかっただろうし、あらゆるメディアで曲が流れすぎていてCDを買ってもいないのにカラオケで歌えてしまったりした。
個人的なことを言えば、正直言って、他人の顔を見て「きゃー!」という気持ちはちょっとよくわからないのだけれど、それでも「顔の整った人だなぁ」という感想を抱くタレントさんもいた。
全然ジャニオタじゃないわたしでも、「ジャニーズって青春の一部だったな」と思うほどには身近な存在だったのだ。
だから最近の性加害云々のあれこれに、各方面の言うことそれぞれに「うん、うん
そうだよね」という気持ちもありつつも、正直ちょっと、楽しかった思い出に泥を塗られてしまったような気持ちもなくはない。
「強い光のあるところには深い闇ができる」なんて言葉のとおりのことが起こっていたということなんだけど、田舎に暮らす芋っ子だったわたしでさえ性加害の噂は聞いたことがあった。
でもそれはよくある芸能界の噂にすぎず、そんなのはドラマの中の出来事と同じくらい遠いことで確かめようがなかったし、ニュースになったりしないならデマなんだろうなとピュアなわたしは思っていた。
所属タレントたちもトーク番組でにっこにこの笑顔でジャニーさんの話をしていたし、慕われてるおじさんなんだなぁという印象だった。
今になって思えばどういうメンタルでその話をしてたのかなぁという気もする。(責めているのではなく純粋な疑問)
「それおかしいよ」っていうことを、内側から発信してぶち破るのはとても難しいことなんだろう。
だからこその外圧なんだろうけど、「なんで今なんだBBC」という気持ちもなくはない。
せめて主犯存命時にこの報道ができれば、これほどまでに各所が右往左往することはなかったかもしれない。
それともこの時代の波をも押さえつけられるほどの何か力を持ったおじさんだったのだろうか?
わたしも過去に痴漢や変質者に遭遇したことがあり、性被害の衝撃は知っているつもりだ。
けれど、今回の被害者の方に「性加害を受けて嫌だったけど、ジャニーさんの能力は尊敬してます(意訳)」とおっしゃってる方がいて、「は?」と思った。
例えばわたしが会社の尊敬する上司から被害を受けたら、どんなに能力がある人だろうが「キモい、人間のクズ、虫けら以下」としか思えないだろうと思うから。
これは性別の差からくる認識のちがいなのか。
それともやはり一般人にはわからないとんでもない何かを持ったおじさんだったということなのか。
その何かは本当におじさんが持っていたものなのか、周りが与えていたものなのか。
年頃のわたしたちにとって、「ジャニーズ」はブランドだった。
バーバリーやアナスイやナイキと同じ、ジャニーズで提供されるエンタテインメントに対する、安心と信頼。
あのちょいダサの、スマートなかっこよさではないからこそ見た者の感性にひっかかりを残す独特の世界観(と、わたしは思っていた)。
その表だけでなく裏までも目の前に並べられて、大人になったわたしが唯一よかったなと思うことは、「こんなことされて嫌だった」ということが、「我慢しろ」とか「男なんだから」とかで黙殺される時代ではなくなったんだなということが視覚聴覚で確認できたこと。
これもまたおじさんの仕組んだエンタテインメントなのだろうか。