医師から両胸全摘の手術の説明に、
私の「手術はしたくない」との返答に
少し困った様子で、
「がんが進行して、手術もできない人もいるのに…」と言った。
でも、若い柔和な印象の医師の眼鏡の奥の目は優しく微笑んでいたように見えた。
私の言い分を理解しながらも、もう他の方法はないんだよと
言いたそうな口ぶりで、医師はその後の検査の日程を決め、その日の診察は終了した。
その日の夜、息子に私が両胸乳がんになったこと、手術のこと
を電話で話した。
「乳がんが見つかって驚いているけど、今の時点では痛みも何もないから、知らないでいれば今までの生活を続けていた
手術をして、もしその後の抗がん剤治療をしていく生活で、体力的、精神的にも辛い時に、一人暮らしで傍に誰もいない、頼る人もいない。今の平穏の生活を維持するには治療をしない方法もあるよね…お母さんは一人で頑張る自信がない…」と
息子は黙って聞いてくれた
「お母さんの気持ちはわかるけど、手術はした方がいい
できることはやってほしいよ・・・」と、
私には身内は息子しかおらず、私にとって一大事なことを、
気持ちを話せる相手がいることが有り難かった。