お役所が動かない=合法……ではない | 北奥のドライバー

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思いついた事をつらつらと書いて行こうと思います。

最近ほとほと疲れました。このコロナ騒ぎの折の景気の悪さに疲れたというばかりではありません。タクシー事業者の、いや、もっと言えば、その下で働くドライバー達の遵法意識や権利意識の希薄さに疲れたと申しますか……。

 

数年前、あるドライバー氏が自らが勤める会社の労基法違反、道運法違反、道交法違反を指摘し、批判的な言葉を口にすると、なんと会社からではなく、同僚のドライバー達から反論を受けたというのです。

 

曰く「知った風な口をきいて波風を立てるな。現にお役人も警察も見て見ぬふりを決めてくれていて、それで事がスムーズに進んで来たではないか。何故、今更になって正義ぶった事を語って波風を起こすのだ」と。

 

意外に思われる方もいるかもしれませんが、世の中には基本給(正真正銘の保障給)を嫌い、保障の全く存在しない出来高制や、場合によっては度の過ぎた長時間拘束すらも良しとする労働者が存在します。

 

また、往々にしてそういったドライバーは道交法その他の遵法意識の面に於いても認識がいい加減だったりするケースが多い。

 

これは恐らくですが、「法令順守がシッカリした状態だと、かえって仕事の自由度が下がって働きづらくなるし、また下手に基本給を設定されたり福利厚生を改善されれば、それと引き換えに売り上げのノルマが厳しくなるから嫌だ」と、まあ、こういった考え方だと思われます。

 

私は常々思うのですが、こういった「労働基準法なんて邪魔くさい。それよりも自分の思った通りに自由に働きたい」という人間は、会社組織などに所属するべきではなく、自ら会社を立ち上げて自営業にでもなるべきでしょう。

 

「法の庇護を求めるなんて青臭い。それに俺はもっと自由に働きたいんだ」などと、会社組織に所属する事でしか得られない特典を得ているくせに、その口で若手のドライバーが不満を語れば自立自尊の無頼漢を気取った物言いをするなど、これはもうタチの悪い自家撞着と言わざるを得ません。

 

その人が独りで棘の道を歩むのならば個人の自由といえます。しかし、会社の組織に所属しながら自ら違法行為や脱法行為を是とし、あまつさえ、その価値観を周囲の人間にまで広めようとするのは言語道断でそれこそ「まともな社会人にあるまじき行為」といえます。

 

そして、その会社の経営や法令順守がいい加減なのは、煎じ詰めれば、この様に職業意識、遵法意識の面で問題を抱えたドライバー達との『悪しき共依存関係』に陥っているからだと思われます。

 

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さて、世の中には困った事に、『役所・警察が動かなければ合法も同然』とばかりに法律違反を放置する手合いがいます。

 

しかし、こういった「動かなければ無いも同然」といった認識は根本的に間違いです。

 

単に役所や警察は「仕事が忙しすぎて小さな法令違反に一々構っていられず、ハッキリした現行犯か、或いは高い事件性が無い限り民間の良心に任せて見逃している」に過ぎません。

 

彼らの「都合」が変わり、取り締まろうと思えば何時でも法律違反を調べ上げて指摘し、取り締まれる「スタンバイ状態」でしかないのです。

 

しかし、ああいった組織やそこに所属する人間は、ハッキリ言って、これ関する意識や緊張感が余りにも無さすぎる。

 

あと、日本の法律は民法であれ刑法であれ、原則的に申告制をベースにしています。

 

ですから、被害者が「このように困った事がある(または被害を受けた)ので、このような形で助けてください」と自ら声を上げないと、なかなか法律が動き出さない仕掛けになっている事が多い。

 

「お役所・警察が今まで動かなかったから合法も同然」、或いは「合法だと思った」などというのは、まあ、トンデモナイ話で不勉強どころの話ではなく言い訳にもなりません。

 

……もう私は疲れました。アドバイスしても徒労に終わる。まっとうな事を言うドライバーが「青臭い理想主義者」とばかりに経営者どころか同僚たちにすら嘲笑され、業界に絶望して去ってゆく。

 

だから、私はもう話は聞くけど積極的に誰かを助けたり、深く相談に乗ったり、といった事は金輪際しないようにします。私独りで私の身を守り、独りで自分専用の防御陣地を構築し、そこに引き籠って戦う。そうやって生きてゆこうと思います。