これについても、下記の論文に説明をれています。
フランスの国立疫学研究チームのMe´lanie Deschasauxさんたちの研究です。
Prospective Association between Dietary Fiber Intakeand Breast Cancer Risk
PLOS ONE November 2013 | Volume 8 | Issue 11
まず、腸肝循環という体の働きが大きくかかわっています。
肝臓は栄養の代謝・吸収や毒素を解毒(げどく)する働きがあります。
また、胆汁を作って、十二指腸に分泌します。
胆汁は、腸内で栄養の消化や吸収のために働きます。
体内の生体物質や薬物も胆汁とともに肝臓から十二指腸に分泌されます。
そして、腸から再吸収されて、門脈という肝臓に流れる血液に溶けて肝臓にもどります。
これを腸肝循環と呼びます。
エストロゲンは、この腸肝循環にそって代謝されています。
エストロゲンの再吸収が多いと、血液中のエストロゲン濃度を上げてしまうということです。
腸肝循環では、腸内細菌と食物繊維が大きな役割をもっています。
食物繊維は、エストロゲンの再吸収を抑えて、便に排泄するように働きます。
でも、なぜ野菜の食物繊維が、乳がんのリスクを下げるのでしょうか?
食物繊維は、2つに分けられます。
水にとける可溶性線維と不溶性線維です。
それぞれ次のような特徴があります。
食物繊維 | 水溶性 | 不溶性 |
腸内pH | 低下する | 変化しない |
胆汁酸との結合 | 結合しない | 結合する |
腸内細菌の栄養 | 栄養になる | 栄養にならない |
便の重量 | 増えない | 増える |
血清コレステロール | 低下する | 変化しない |
大腸癌 | 変化しない | 予防する |
食後の血糖値 | 上昇を抑える | 変化しない |
論文の著者らは、野菜の食物繊維が可溶性と不溶性の線維が、1:1で含まれており、このバランスが良いとしています。