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顕微鏡画像処理解析システム設計者のブログ

 目視検査などの自動化装置をシステム設計・製作エンジニアです。

 光学機器や画像処理解析装置、アルゴリズムについて、徒然なるままに記述していきたいと思いますので、ぜひご覧ください。

前回は「カメラの選定方法 (その3)」について触れました。
 今回は「カメラの選定方法 (その4)」について述べたいと思います。
 顕微鏡用途に限りませんが、カメラの選定で有用なファクターがいくつかあります。
1. 画素数
2. 感度
3. 輝度分解能(諧調)
4. カラーかモノクロか
5. カラーの取得方法
6. 画像転送方式
7. マウント方式
8. 価格
 自動システム設計に限りませんが、カメラは適切なものを選ばないと、かなり損をします。
4.カラーカメラとモノクロカメラ
 蛍光用には「モノクロ」、それ以外は「カラー」と、一般的に認識されています。
 結果としてはその通りなのですが、ではなぜそうなるのでしょうか?
 カラーカメラは、RGBのそれぞれの波長域に感度ピークが来るように「減光」します。
 「減光手段は」フィルターを透過させるタイプとプリズムで分ける方式(3CCD)があります。
 減光しているわけですので、例えば同一種類のCCDだったらモノクロカメラとして採用された方が、感度が高いものとなるのです。
 光量が少ない蛍光現象を撮像するには高感度カメラの方が有利です。
 また蛍光現象は特定の波長で発光しますので、カラーで見なくとも蛍光色は予め判明しています。
 蛍光観察以外ではカラーカメラがよい理由は、観察されるべき光の波長が不特定だからです。
 しかしここで落とし穴があります。
 カラーカメラは、カラー画像を取得するためにRGBそれぞれの波長に感度ピークをもつスペクトルの「減光」を施されているわけですが、画素数をも犠牲にしています。
 3CCDカメラだけが画素数を犠牲にしない撮像装置です。
 しかしながら、可視光観察の限界に挑めるはずの光学顕微鏡用途向けでの3CCDカメラを見かけません。
 各顕微鏡メーカーは「1000万画素カメラ」などを製造販売していますが、3CCDカメラは存在しません。
 私の考えですが、おそらく「3CCDカメラに特有な現象の解決」を怠っているからでしょう。
 3CCDカメラは、撮像画面の上方および下方に赤と緑の収差を発生させます。
 もちろん、「色収差補正光学系」を設計製作すればよいだけですが、それをしないわけです。光学製品メーカーなのに。
 アメリカ製品ですが、昔から補正光学系を製造販売している会社あり、私は何度も購入しました。

Diagnostic Instruments Coupler Systems
 
さらに、カメラ側でも補正回路が組み込まれているのが普通であり、弊社ではソニー製品を採用しています。日立国際電気製品も採用予定です。
「顕微鏡メーカーが勧めるから」とか「顕微鏡メーカーの製品だから」という理由では、目的に合ったカメラを購入できないばかりか選択の余地が狭まり、結果として高価なカメラを購入してしまうことになります。