曇った、曇った
日曜日の朝、電話が鳴った。時計を見たら8時20分だった。うー、真夜中じゃ。宇都宮に住んでるYからの電話だった。Yは上京して土曜日の朝まで新宿のP飲んでいて、とうとうこの時間になって店を追い出されそうになっているらしい。行く所がないならIが近所に住んでいるから、そこへ行けば、とPの店主のL言われたらしい。みんな日曜日を潰されたくないのだ。Yは画家であり、舞台制作なども手掛けているが、舞踏や芝居などの論客でもあり、特に酒が入っている時は舌鋒が鋭くなる。
悪い予感がしたのだが、会うのは最低でも5年ぶりぐらいなので、朝の爽やかな空気を吸いながら大久保通りまで出かけることにしたんだ。初めて知った、この時間帯はジョギングしている人が多いんだ。大久保通りと明治通りの交差点で待ち合わせ。その場所に近づくと向こうから手を振ってきた。Yは目がいいのだ。酒の匂いも遠くからする。酒飲みはきらいなのだ。 「じゃあ、お茶でも」と言いながら、目は飲み屋を探している。しかも、あるんだなー、これが。韓国料理屋で24時間営業というのが。なくてもいいんだが。「マッコリ、にっこり」という意味不明の駄洒落を無視して、フレッシュバーガーに見事連れ込んだ。そしたら、あるんだなー、これが。意味なくビールが置いてあるし。しかも、「大と中があります」なんても言う。当然のごとくYは、大を注文。Iは流石にこらえて、「コーヒーのM」。えらい。
話が始まった。去年行った中東の話から始まって、やっぱし映画、芝居、舞踏の話をひとしきり。やたらと声が大きいのが南天のど飴。その後、よせばいいのに、偶然、近所に住むJ劇場の初期を支えた役者のO氏まで、今日は本番があるというのに呼び出し、またまた芝居談義。自分を大声で紹介したり、夜討ち朝駆けの本来の意味を噛み締める。
Iは既にこうした場所からずっと遠いところにいることを分かってもらえない。講演の依頼をほのめかされたのだが、今やIは、とにかくらもさん一筋の小市民なのであった。永遠も半ばを過ぎたのだ。そうは言っても、また会いましょう。
閑話休題
今月は何かを貰える権利のある月なのだ。多分、誰にでも巡ってくる。で、今年はある傾向が見くっきりと見えた。キーワードはアートのようだ。順不同でいうと、ハーフとスクエアのふた通りのサイズが選べるカメラをいただいた。久し振りに聞くアナログカメラのシャッター音。みんな、これで大きくなったんだ。豪華な写真集入りで、それを見ながらさまざまなイメージを膨らませる。
続いていただいたのは、彫刻刀一式に版木。わだばゴッホになりたい、だ。なんでも来年の年賀状はこれで作れという意味らしいが、版木は1枚、しかも来年は辰年だし、むずいことこの上ない。龍が飛んでいれば写真に撮れるのだが。頑張れ筆ぐるめ。
もう一つはスケッチブックに水彩絵具セット。ちい散歩で使われているものだ。これで公園をスケッチしろということらしい。むーん、わだばピカソになりたい、かもしれない。シュールにも逃げるのだ。がんばれキュビズム。
意表を衝いたのがコロンだ。なんとかという樹木の香りがする。これで、少しはもてるだろうか。な、わけないか。実はコロンは先月も貰った。こっちは柑橘系。お腹がすいている時に嗅ぐと、お腹が鳴る。今がちょうどそれ。困ったことだ。ビーサンとTシャツ姿にコロンはとびきり合う。その上、アートが混じったら、最強のコンビネーションだ。頑張れ失楽園。
「失楽園」の作者は、ワタナベジュンイチという人らしく、その作家はらもさんの「ガダラの豚」の直木賞受賞を阻んだそうな。その模様はらもさんの盟友、鈴木創士がそのへんのいきさつを著書で書いていた。それを裏付けるように五木寛之が、自らのエッセイで投票結果をつまびらかにしている。それにしても「失楽園」はつまらん映画だった。多分、原作も。こういうのを返す刀で人を斬るというのだろう。
“ごねされせ”、とはらもさんの最初のバンド名だった。意味は、書けませんがごねさらせ!
写真はアート系道具の授与式に立ち会ってくれたビオ君=神奈川県川崎在住無職(4歳)、特技=盗み食いとおねしょといじけ。


