うっすら目を空けると、彼女はまだ傍に居た。
「まだ居てくれたんだ」という僕の問いかけに、彼女は優しく微笑みながら、僕の頬に手を置いた。
すべすべした手の感触を感じながら、彼女の手に自分の手を重ねた。
僕はまたゆっくりと目を閉じて、彼女の指一本一本の感触を確かめながらなぞっていく。
彼女の指は、まるで血の通っている彫刻のように素敵だ。
僕はそんな彼女の指を撫でることが大好きだ。
その真っ白ですらっとした手の中で、きちんとあるべき場所に納まっているというか、とても言葉では表現出来ない美しさがある。
触っているだけで、すごく僕を幸せな気分にさせてくれる。
ひととおり指の感触を楽しんだ後に、いつもの様に彼女の手を壊れものでも触るように握りしめる。
彼女は何も言わずに指を絡めてくる。
「ねぇ」
彼女はさらさらの髪を耳にかけながら僕に話しかける。
「んっ」
僕はゆっくりと目を開けて彼女の顔を見た。
彼女は笑って「なんでもない」と首を振った。
僕は笑いながら、握りしめている指が6本ある彼女の手を離し、窓の外を見る。
彼女の肩越しには、3つの月がくっきりと浮かんでいた・・・