かよっていた弥美(みみ)小学校のちかくに小倉山(おぐらやま)という小さな山がある。
小六の秋、「小倉山にはアケビがいっぱいある」というウワサをきいて、ツレのヤスハルとヨツヤの3人でアケビを食いにいこうということで登った。「あの山で首つり自殺した人がいる」という“や”な話もあったがオヤツ欲しさに向かった。山はゆるやかで息があがらなかった。
ところどころに日がさしている森の中にアケビの実がたれさがっているのみつけた。半透明の白いゼリー状のものの中に黒いタネがつまっている実を口の中に入れた。あっさりしたというか“うすい”という感じの甘みが口の中に広がった。タネを口から出すときに甘いものもいっしょに出てしまうようでじれったい感じがした。マンゾクできる数を食べることができた。
アケビをさがしているときにクリもみつけた。どれくらいとったかよく憶えていないが大人一人分よりもかなりたくさんとれた。
山を降りて担任の荒川先生の官舎へ行った。地元生まれでない独身の男の先生が引継いで住んでいた木造平屋の古びた“家”だ。先生はおられた。「差し入れです。」って持っていった。クリをわたすことで別のお菓子をもらえるだろうとかなり期待していた。
雑誌が山になっていて窮屈な短い廊下をまたいで部屋に入れてもらった。散らかっているというほどでもなかったが、片づいているともいえない部屋だった。
「カップラーメンしかないわ」とそっけないことば。少しがっかりしたが、ありがたくいただいた。「男の先生って女の先生とちがって愛想ないわ~」と心の中でおもった。
後日、荒川先生から「クリ、全部食べたぞ。うまかった。」と聞かされた。
”おぐらやま”というと「小倉山~ふりさけみれば~・・・」って歌をなぜかおもいだす(しかもちがっているし)。
おわり