小学5年だったと記憶しているが、いっとき友達の間で万引きが流行った。

 近所の店“トウフ屋”(昔は豆腐を作っていたのでそう呼んでいた。)でも実行された。トウフ屋はおばさんとおんさんの二人でやっていた(当時、70歳くらいだと思う)。OSは、両手いっぱいにガムを持って、いまでいうドヤ顔で前かがみに腰を落として、小走りにでてきた。待っていたみんな(3、4人)は「スゲー!」と声をあげて、分けてもらった。

 Bは、学校の近くのH口堂(学用品、事務商品も販売)でサザエさんのコミックスをやった。「とったぞ!」って、Bの笑い顔を思い出す。読ませてもらったが、テレビでみるのとちがって、ラフな感じの絵をみて変な感じがした。正直、おもしろくないと思った。


 じゃーおまえはって話しになるが、横でみていただけて、やれなかった。正義感ではない。当時の気持ちとしては臆病なだけである。

 

 みんな一種のゲームとしてやっていたと思う。ガムもサザエさんも特別ほしいものではなかったはずだ。


 話は多少変わるが、ワイ(当時、自分のことをそういっていた)は向かいの家のガラスを2回割った。最初は小学校低学年のとき、夕方、道端の石を拾って投げていた。道の真ん中に投げたつもりが、向かいの家の離れ建物の2階の窓を割ってしまった。一目散に家の中に入った。心臓がバクバクしていた。

2回目は中学生のときだったと思う。雪が積もっていたが、月が出ていた夜だった。昔、便所は外にあった。用をすませて、隣の家の2階をみると1年上のSSの部屋の電気がついていた。びっくりさせようとして雪だまをおもいっきり投げた。距離にして30mくらいだった。ドン!と音をたててばっちり当った。あくる日に窓を見た。ひびが入っていた。石で割ったときのことを思い出して、二回目や・・・と胸のあたりでつぶやいた。

 

 今の家に越してきて、18年近くになるが、何年か前に流しの窓にひびが入っているのに気がついた。たぶん近所のガキがサッカーボールでもぶつけて割ったのだろうと思った。同時に、昔の自分のことを思い出した。


 トウフ屋のおばさんから、何日か後に、フツウに店に行ったとき「ガム取ったの知っとたで」と聞かされた。そのあとも何か話していたような気がするが覚えていない。なにか子どもを戒めるようなことを言ってくれたのかもしれない。ただ、おばさんはSの親には万引きしたことを言わなかったような気がする。その後、しばらくして(たぶん数ヶ月あと)ブームは去った。


 

 H口堂のおばさんは、いつも着物を着て、頭を日本髪風にきちんとまとめていた。色白で少しつりあがったようなメガネをしていた。“ザーマス”言葉を使っていなかったが、子ども心になんとなくイヤミな感じの人だと勝手に思っていた。そのH口堂に飾ってあった白いスポーツバック。いいなーと思ってみていた。メーカー品(有名ブランドのことを当時そういった)だと思った。店の中でじーっと見ていたらメガネから「人気あるんやでこれ」と声をかけられた。その声で買いたいという気持ちが沸騰した。ちょうど中一の遠足の前でバッグを買う必要があったから、親にたのんで金をもらって2、3日あとに買った。うれしくて、うれしくて、遠足の前の日にはふとんの横において寝た。夜中にも目が覚めて、暗闇の中に浮かぶ白いバックを眺めた。

 遠足に持っていった。クラスの男子から「そのバックどうしたん?」と半分バカにしたような声をかけられた。最初は意味が分からなかった。しばらくして、バックを見て気がついた“Cheetah”(実際はこのように書いてなかったかも知れないが、記憶とイメージがあうのでこのようにした)と書いてあった。違う!心の中で叫んだ。一人静かに、顔がすこし赤くなったように感じた。以後、そのスポーツバックをどのように使ったか、最後はどうなったかは全くわからない



エキサイティング

おわり