一昨日 から読み始めたLeading Changeですが、非常に内容が濃いです。半分強(100ページ位)読みましたが、重要(と思われる)箇所に、沢山の下線を引いてしまいました。本自体は薄くて読みやすいのですが、一度読んだ位では内容を咀嚼できないので、二度・三度と読むことになると思います。


本書は、企業の変革プロセスにおける8つの間違い(errors)を特定し、この間違いを回避するため、8つのステップを通じて、企業の変革を推進すべきであると提唱しています。(しかも、8つのステップの順番がとても重要だと説いています。)とりわけ、初期段階のステップを疎かにして先に進むと、後になって大きな困難に直面し、変革プロセスが失敗に帰する可能性が高いとも指摘しています。


Never underestimate the mangnitude of the forces that reinforce complacency and that help maintain the status quo. (p42)


何故変わらなくてはいけないのか? 現状維持(status quo)ではダメなのか?企業(組織)の変革を推進する際には様々な抵抗に直面します。自ら進んで変わりたい・・・などと殊勝な人はそうはいないものです。組織には個人の利害、部門の利害をはじめとする様々な既得権益があります。我々はこういったものをできる限り維持しようとする傾向があります。とりわけ、過去に成功体験がある組織やその中で働く個人にとっては、自ら進んで変革に参画しようという機運はなかなか生じないと思います。


こうした状況を打開する一つの方策として、危機レべルを高める(raise the urgency level)ことが提唱されています。危機レベルを高めるといっても、いたずらに危機感を煽るということではありません。例としては、より詳細な顧客や財務関連情報の従業員への提供、真摯な議論、高い目標設定、豪華な施設などの処分や財務上の損失計上などが挙げられていました。(ちなみに、この「危機レベルを高める」というステップは8つのステップのうち最初のステップになります。)


個人的にちょっと興味を覚えたのが、豪華な施設処分や財務損失の計上という部分です。こうした豪華な施設というのは、通常、役員としての特権と密接に関わっています。そこで、まず、こうした特権を最初に放棄し、全社に向けて危機意識をアピールするとともに、(目に見える形で)経営者としての本気度をアピールすることも(パフォーマンスとして)非常に有効だと私自身感じていたからです。同様に、役員報酬大幅カットなども、社内に危機意識を醸成する上で有効な方法と考えられます。


しかし、残念ながら、これとは全く反対のことを行ってしまうケースが案外多いようです。例えば、度重なる経費節減策、(従業員の)給与や賞与のカットをする一方で、肝心の経営責任者である役員に関する部分が後回しになってしまうようなケースです。こうなると、本当の意味での社内における危機意識などは醸成されず、「形だけの組織変革」に留まってしまうと思われます。もちろん、経費節減策や従業員の賞与カットも場合によっては必要になると思います。しかし、順番が大切なのだと思います。(蛇足ですが、この順番は先に述べた「8つのステップの順番」とはまったく違う話です。)