『007 ムーンレイカー』(1979年、イギリス)


地球に毒ガスをまいて人類を滅亡に追い込み、選ばれた人間だけで新世界を創造しようとするドラックス
スペースシャトルをめぐる怪事件から悪事を知ったボンドがベニス、アマゾン、そして宇宙を舞台に闘う物語

第10作『私を愛したスパイ』に続いて、第11作『ムーンレイカー』です



ボンドがスペースシャトルに乗って宇宙まで行ってしまう突飛な作品だけど結構好き

1979年製作で、スペースシャトル打ち上げは1981年、映画の方が早かったのですね
劇中では武装したシャトルが6、7台も出てきますけど


この映画のスペースシャトルムーンレイカー号打ち上げのシーンには、NASAの技術者をアドバイサーに招き、実際の打ち上げマニュアルやシミュレーション データなども使用して、本物のシャトルの打ち上げの模様に限りなく近いものに仕上げたそぉです
その出来栄えは、2年後実際にスペースシャトル・コロンビアの初打ち上げを見届けたあるNASAのスタッフをして、「まるでムーンレイカーの打ち上げみたいだ」と軽口を叩かせるほどのものだったらしい(笑)



前作ではエスプリが大活躍したけど、『ムーンレイカー』はボンドカーが登場しないのね
その代わりボンドカー並みの特殊装備を備えたベニスのゴンドラが登場
ゴンドラなのに、エンジンとスクリューを装備して高速航行が可能で、さらにボバークラフトに変形して、サン・マルコ広場に上陸して暴走しちゃう



前作ラストの字幕では、次回作は『ユア・アイズ・オンリー』と表示されていたけど、当時のSFブームに便乗してこの作品に変更されたそぉ

SFつーことで『未知との遭遇』のあの音階まで登場させてしまう悪ノリ振り
何故だか『荒野の7人』のテーマも出てきます
レーザー銃の攻防は『スターウォーズ』っぽいです

ラスト30分で「エスエフ絵巻」になってしまい、それはそれで個人的にはオモシロイのだけど、生粋の「ボンド映画」ファン的には、どうなんでしょ?

 当時の『スター・ウォーズ』の成功が、これほどまでに映画界に旋風をまきおこした、というよい見本


『私を愛したスパイ』で海に向って泳ぎ去っていくジョーズに、思わすゴジラかっ!と突っ込みたくなってしまったけど、大人気で本作にも再登場
何度もボンドに挑戦しては酷い目に遭い、それでも無傷で平然としている姿は、敵ながらちょっと間抜けで憎めないキャラ
同じ殺し屋がシリーズ二作に連続して登場するのは後にも先にもこのキールだけだそぉです


冒頭のジョーズ対ボンドの空中アクションは、とにかく理屈抜きでかっちょええのよ

ボンドがパラシュート無しで飛行機から突き落とされ、敵のパラシュートを奪い、ジョーズから逃げるシーンはCGはおろかVFXすら使用しておらず、全て実写で撮影!
1回に撮影出来るのはたった1分で、ダイビングを92回行い、5週間かけて撮影されたとか



その後のジョーズの不死身振りにはもう笑うしかない

ロープウェイのあのド太いロープを噛んで止めてしまう
その後のロープの微調整が何か可愛い
ロープウェイの猛スピードの激突からも、大瀑布への落下からも難なく生還してしまうから凄い
ボンドは秘密兵器を駆使して難局を乗り越えるのに、ジョーズは策なしの強靭な肉体のみでやり過ごしてしまうのが魅力

何度も対決するボンドの、またお前かというような表情も愉快
2人の間には、何か敵同士以上の感情が芽生えていそう
見た目は大男で怖い役柄だけど、この作品の後半ではボンドを助ける役回り
ついに彼女までみつけてしまう。なんか微笑ましくていい

ジョーズは一切しゃべらなかったはずが……



ボンドガールのコリンヌ・クレリーと言えば、『O情の物語』
不必要に胸元を露出した姿がセクシー
ロイス・チャイルズはなかなかボンドになびかず、焦らしてくれるCIA捜査官
救急車からの脱出時、横たわっておじさんを見つめる表情がキュート
ボンドに負けず劣らず、様々な秘密兵器を隠し持っていて、これがやはり役に立つ


ドラックスの部下の和服を着たオカッパ頭の、見るからに弱そうなチャン
剣道着姿で竹刀でボンドに襲いかかるのは失笑もの
ジョーズが最強最高の敵キャラなら、チャンは最低最弱の敵キャラ





「さあ、これはぼくらに(Well, here's to us.)」