◎ちからだけでは人は掌握できない。
関白となった豊臣秀吉は、邸内に鶴を飼って、朝・夕、庭へ出ては、その美しい姿を眺めて楽しんでいた。あるとき、飼育係の不手際から、鶴は空高く舞い上がり飛び去ってしまった。当の飼育係たちは、関白の怒りに触れ、当然手討ちになるだろうと思って、恐る恐る関白の前にひれ伏したのである。
秀吉はしばらく黙っていたが、開口一番「鶴は唐(から)・天竺(てんじく)(中国とインド)まで飛んで行くか?」と聞いた。飼育係が質問の意味がわからないまま「いえ、海の向こうへは、とうてい飛んで参れません」というと、「フム、ではよい。わが国内にいるならば、わしの庭も同じことよ。鶴め、狭い庭に飽きて広い庭へ飛んで行きおったか。アハハ・・・」と秀吉は一笑(いっしょう)に付した。
飼育係たちは、命が助かったと安心すると同時に、秀吉の心の広さに感動したという。
日本国中を、わが庭だというのである。秀吉は、苦労と努力をしてあの地位まで出世した人でだけに、「飼育係を切腹させたり、手討ちにしても、鶴は戻っては来ぬ。ここはひと芝居打って、逆にみなを感心させてやろう」と、演技をしたと思う。人々は彼に心服し、大いに信望が高まったのである。
門閥(もんばつ)も家系も父祖重代の家臣もない成り上がりの彼にとって、人を支配するには、「心の広さと知恵」によるしかないことを、秀吉はよく知っていた。
あなたが、人の上に立ち、人を支配していこうとするなら、まず、あなた自身が、人々にとって魅力のある人間であらねばならない。力だけでは人を掌握したり、地位を保ち続けることはできない。
政治家や宗教の指導者、あるいは企業の経営者など、人々の上に立って仕事をする人は、できるだけ多くの人々を集めて、従わせていかなければならない。
<お金のちからや圧力だけで人がついて来ると思ったら、大間違いである>
人々を引きつけて離さないようにするには、どうすれば良いか?
「人に尽くす人は、人から尽くされる」
中国の古い書物、史記に次のようなことが書いてある。
「桃李(とうり)もの言わざれども下(した)自(おのずか)ら蹊(みち)を成す」
立派な桃や李(すもも)の木は何も言わないが、人々が集まってきて、木の下には自然に小さな道ができてしまうという意味だ。立派な人には黙っていても、人々がその徳を募(つの)って集まり、従うようになることの例えである。
多くの人々の信頼を得ようとするならば、まず、利己心や傲慢な心を捨て、誠心誠意、奉仕の心を持って尽くすことである。
そうすればあなたは、多くの人々に慕(した)われ、指導的な立場に立つことができる。
・人を動かすためには?
https://ameblo.jp/nam100/entry-12413279938.html
・敵対する者に勝つ
https://ameblo.jp/nam100/entry-12412398990.html
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