◎なぜ不安障害になるのか?

 その原因にはいろいろある。例えば、家庭の不和、事業の失敗、失恋、職場での人間関係などだ。

 これらの原因によって不安感や恐怖感にとらわれ、不眠などの状態に陥り、体の変調をも招く〝気の病〞になるようだ。

 不安障害になりやすい人には、〝気の弱い人〞〝小心な人〞が多い。

 

◎心の原因を取り除く。

 不安障害は、いずれも心の原因を取り除いてやることによって良くなる場合が多い。

 古い話だが、面白いものがある。

 江戸時代の末期、ある有名な医者が、京都の公家の病気治療に向かう途中、宿をとったところ、宿帳(やどちょう)を見て、主人があいさつにきた。

 主人は、やせ細り「世の中のことが気になるうえ、大地震は起こらぬか、疫病(えきびょう)で一家みな死なぬかと考え出すと、夜も眠れないのです」という。

 医師は、「ハハア」と思い、主人に「この膝(ひざ)は腐るぞ。2カ月以内に切らねばならなぬ」と言った。真っ青になった主人を後に、医師は京へ向かった。

 京の帰りにその宿に再び立ち寄った医師に、主人はカンカンになって「このニセ医者め。膝など腐りはせぬ。あれから私は、膝のことばかり気に病み、苦しんだぞ」と言った。

 そこで医師は、「心配のほうはどうした?」と尋ねた。主人は、「膝のことに気をとられ、他の心配はしなくなりました」と答えた。

医師は、「ワハハ。では全快したか。それは結構、結構」と言ったそうである。

 薬ひとつ用いず、重い不安障害を治したのは、さすが名医というべきであろう。

 この名医は、心の原因を取り除くために少々荒療法をしたようであるが、的を射ている。