釣りで買った
あの棒切れが、
煙となって冬の夜空へと薄まっていく。
煙は消えゆくその合間に、
苦い催涙と感情を吸い上げ
暗夜への招待状を唆し、
結露し、膨らんでいく。
しがらみを吸った真っ暗な世界は
鬱蒼とした広大な、深い闇である。
また一本と灯すその時には、
君がいた頃の快感は含んでいない。
その次に灯すその時には、
もう君自身をも含まない。
登りゆく煙に身を任せ、
流れる風に背中を預ける。
きっといつの日かと追憶を重ね
煙にとともに帰路を変える。
ふわりと香るあの日の思い出は
もう出会うことはありえない。
紙が生み出す空白の空間
愛がない無慈悲な心情
早く気がつけば、今もなお
君の隣は。