「11月16日

 なんだか、距離を感じる。どうすればいいんだろう。君だけじゃなくて、もっと大きく苦しくなっている気がする。」


私の母はとても心配性な人だった。

常日頃何かと私に関してだけでなく、自分自身にも気を配り、気を張り、少し生きづらそうだった。その性質は私も持ち合わせているようだった。


母は悲しいニュース、特に訃報や事故、

災害なんかのニュースについて見ることは

もちろんだが話をされると、

胸を痛めてしまい、目を背けたくなるそうだ。


辛いのは私も同じだった。人が怒られる様を見ると気が滅入り、どうしても力が抜ける。


「11月17日

 来週あたりに、精神科に行こうと思う。少しじゃなくて、かなり人間的にも体力的にも、精神的にも、しんどい。」


「11月19日

 保険管理の人は「おそらく、お薬飲まないと行けないかもね…しんどいけど、頑張ろうね。」

だそうだ。このこと君に話そうかな…」


「11月20日

 病院に行った。

「あのねぇ…あなた自身が変わらないといけないと思うよ。これはお薬じゃなくて君自身の考えを変えていくべきだと思う。」だそうだ。時間返してくれ…なんなんだよ。」


結果からして、私が思うものは何一つ得ることはできなかった。辛くて病院からの帰り道喉が張り裂けそうなほど声を荒げて泣いた。涙は止まらなかった。自分の辛さをありったけ伝えたのに。

そのあと、学校にはもういけなかった。


私は病院に行く前、少しばかり"君"に相談をしていた。あの時君は

「あんた、HSPでしょ?苦しい理由。」


こんなにも吐き捨てられるとは思いもしなかった多少そうだとはしても、なにか優しさで包んで欲しかった。


ぶしつけに投げられた言葉を受けた時、

私は何か君に対する考えが変わった気がした。


君が大きな原因なのも知らずに、

君は寝息を立てて眠っている。


自分の意思でこうなったことは

理解している。しかし、

その日は君のことを本気では

好きではいられなかった。

抱きしめてはあげられなかった。