4日目の朝。

それまでのゲストハウスとは打って変わって静か。

ぐっすり眠れる。

前日、ゲストハウスの紹介してくれたブニーと今日の計画を立てていた。


ベンメリアヘ行く。

3日目でアンコールワットのチケットが切れたので、行ける所は限られていたし、ガイドブックや前評判で、ベンメリアには絶対行きたかったから。

ブニーに「ベンメリアだけ連れて行ってくれ。」と言うと、「わかった。何時に出発?」

「明日はベンメリアにしか行かないからゆっくりしたい。昼からでもいいか?」と言うと、「ベンメリアはすっげえ遠い。それに暑い。だから午前中に行くべきだ。」と言われ、何度か押し問答。

仕方なく、「わかった。じゃあ、9時に出発だ!」と言う。ちなみに25ドル。

ここで、ブニーが「あなた英語聞くのもしゃべるのも上手ね。仕事で他の日本人と話すこと多いけど、あまり上手くない。彼らは会話が無理だから、紙に書いて伝えようとする。でも、私は書いたり読んだりするの得意じゃない。」とカンボジア人の英語力について少し教えてくれた。


というわけで、8時に起きて、前夜コンビニで買ったパン(コンビにパンと言えども結構美味い!)と、ぬるいミネラルウォーターを飲む。

9時ちょうどにロビーへ行くと、既にブニーが待ってる。

軽く挨拶を済ませると早速出発。

サンよりは綺麗なバイク。スピードメーターは壊れていたが。乗り心地はサンのとあまり変わらない。握るバーが横についている分、サンのより乗ってて疲れる。

しかし、遠い。

ケツが痛い。サングラスをなくしたので、眼も痛い(風と砂埃で)。

だけど、道中の景色はとても綺麗。一面に広がる草原。黒いものや灰色のものなど人工的なものが何一つない。草木の緑と、水の青、土の赤茶色、空の青。そして雲の白色だけ。本当に綺麗。


さて、途中のチェックポイントでチケット(5ドル)を買ってベンメリアの入場口まで行く。

ここで降りる。

ブニーが「ここの近くに俺のブラザーの家があるんだ、後でそこに行こう!」と言ってくれる。

しかし、よく聞こえなかったために、「後でそこに行こう」という部分を「そこにいって待ってる」と聞こえたので、「お前はどこで待ってるんだ?」と聞くと、「?。ここで待ってるよ?」という。「お前は何時間後に戻ってくるのだ?俺はいつ戻ればいい?」と聞くと「?。1時間でも2時間でもあなたが好きなだけ居ればいい。」という。そこで、「?。なんだ、お前はずっとここで待っててくれるのか?」というと「そうだよ。」

完全に会話がかみ合ってなかった。すごい恥ずかしい。

この時点で、「ここの近くに俺のブラザーの家があるんだ、後でそこに行こう!」といったのを理解する。

しかし、まだ会って数時間。会話もそんなに交わしていないので、どうも信頼しきれず、閉ざされた空間に連れて行かれるのには抵抗があった。

でも、これはめったにできない経験だとも思って、少し悩む。

とりあえず、「OK!後でブニーのブラザーの家へ行こう!ちゃんと待っててくれよ!」という。


そして、遺跡を目の当たりにする。

神秘的だ。綺麗だ。

ラピュタのモデルになったというガセが飛び交うのも頷けるほどの世界観。

あまり整備されていないので、とても神秘的。いい。

ところどころ板による歩道が作られていたこと、他はほとんど整備されていないことなどから、板の上以外は進入禁止だと思い込んで、少し気を落として座っていると。

小さな兄弟が目の前に現れて。「こっち」「こっち」と言って、板のない場所、石の上を歩き出した。

何かのアニメに出てきそうなシーン。

思わず兄弟についていく。

すると、遺跡を案内してくれている。

この時点で「やばい。勝手にガイドして金取る気だ!」とおもうが、「まあ、いいか。」なんかこの遺跡の雰囲気にあっているガイドのされ方だ。

ということで、付いていく。

「こっち」「こっち」

たまに、遺跡の神のレリーフを名前で教えてくれたり、戦争のレリーフをアクションで教えてくれたり。地雷の埋まっていた穴を擬音とアクションで教えてくれたり。結構かわいらしくてよかった。

名前も教えてもらったけど、すぐに忘れた。というかそもそも覚えてない。

まあ、ガイドのスピードも尺もすごい短くてすぐ終わったけど。

そして、「finish.4dollars」というので、「OK!」という。

しかし、そんなにあげたくなかったので、ポケットに突っ込んでいるお金を全部だした。

多分、3000リエル位(1ドル=4000リエル)。

そして「ごめんよ。今はこれしか持ってないんだ」というと、兄がクメール語でなにやら半笑いで弟に話しかけている。多分、「ぜってーウソだよ!」とか「ケチだなー!」的なことをいってたんだろう。

さすがに、申し訳なかったので、日本から持ってきたTOPPOとキャンディーをあるだけくれてやった。

あまり喜んでなかったけど。

とにかく、板場のみならずどこでも行けることを知ったので、徘徊する。以外にでかいことに驚き、また、地雷があるかもしれないとビビリ、今日までの疲れもあって、すぐにへばる。

遺跡の前の石に座って、しばし遺跡を見つめる。

森の中の朽ちた城。今まで感じたことのない心地。いい。

ジョンレノンが日本で「侘びしい」と言う言葉に感動し、理解しようとしたように、私もベンメリアに感動し、理解しようとする。日本風にいえばこれが侘びしいってやつだろう。ジョンレノンに教えてやりたい。


そんなわけで、ベンメリアを満喫して、ブニーの元へ戻る。

ブニーへ「トイレ行きたい」というと、「あそこにある」というので、指差した方へ行く。

しかし、それらしきものはない。迷っていると、ブニーが来て、近くの食堂の奥を指差す。

どうやら、そこらしい。

トイレ借りるだけでいいのかなぁ。なんかくわないとだめなんじゃないか。と思いながら店内を勝手に突き進む。するとトイレがある。工事現場の簡易トイレみたいのが3つ。

そして真中のドアに「5000RIEL」と書いてある。

左のドアを開ける。和式便器ひとつ。水洗ではある。レバーはない。個室の奥に水がためてあって、ひしゃくがある。これで流すッぽい。

そして便器の後ろにはかご。その中には使用済みの紙。

小便をして、ながして、サッサと出る。金も払わず出る。

食堂のおばちゃんが、ブニーになんか言ってる。


さて、これから本当にブニーのブラザーの家へ行くのか?

実際のところ、かなりの不安と恐怖を抱いている。

おまけに非常に疲れていた。

仮に、普通に家に招待してもらったとしても、何をすればいいかわからないし、言葉も不自由なのでかなり大変そうだ。

そう考えると、なんだかとても面倒だ。

というわけで、行く気がないことを遠まわしに告げて、それでも連れて行かれたら腹を決めて行こう。

ということで、バイクに乗るとき、「あー疲れた。さあ!帰ろう!」と言う。

するとブニーは空気を読んだらしく、「帰る・・・。そうか、OK。」と残念そうに言った。

すまん。ブニー。

そして、再び長いツーリングが始まる。


ゲストハウスへ着いたのが1時過ぎくらい。本当に疲れていたので昼飯も食わず、サッサと部屋へ戻って横になる。

3時頃、腹が減ったので、飯を食いに外へ出ることにする。

ロビーへ行くと、なぜかまだブニーが居る。

軽く挨拶して出ようとすると、「どこへ行くんだ?」と聞いてくる。

てっきり、今から出かけるならバイクに乗れと言う意味だと思い、「ちょっと町を歩くだけだ。お前のバイクは不要だ」と言う。

するとブニーは不安と苛立ちを覚えた顔で、「お前がどこに言ってもいいけど、ベンメリアのツアー代払ってくれよ!」と言う。

前のゲストハウスでは、チェックアウト時にツアー代と部屋代をまとめて払っていたので、ここも同様にチェックアウト時に払うものと思っていた。

しかし、このゲストハウスとドライバーは別に雇用関係等があるわけじゃないみたいだ。

これを理解して、やっとブニーへツアー代25ドルを支払う。無駄に待たせてごめんよブニー。


それから町へ出る。

ゲストハウスを探したときに、町は通ったがちゃんと散策するのは初。

建物も屋台もたくさんある。

おしゃれな建物や店も結構多い。ショッピングセンターのようなものもある。

とりあえず、腹が減ったのでレストランを探す。

カンボジア料理はあまり口に合わないし、時間も3時過ぎなので軽くパスタでも食べようと、ガイドブックを片手にそれらしき店を探し、ガイドブックにも載っている「blue pumpkin」というおしゃれな店に入る。

とてもおしゃれ、ベッドみたいにばかでかいソファーがあり、そこで寝そべってコーヒー飲んでいる人が居る。

そのなかで、下品にくっちゃべっている若者がいた。中国人だ。

この度を通じて思ったのだが、中国人は最低だ。

自分の国でもそうなのかわからないが、自然や物などに対する敬意がまったくない。モラルがない。下品だ。

とにかく、そこでパスタ(4.5ドル)とバナナシェイク(2ドル)を注文。結構高い。

もちろん現地人なんか居ない。外人ばかり。

バナナシェイクは早く出てきたが、パスタは出てこない。

この国は食べ物を注文してから出てくるのが実に遅い。

味は普通だ。

食事をしながら、今後の予定を立てる。

帰り際、段差を踏み外し、店員に大声で笑われる。失礼なやつだ。日本なら「大丈夫ですか?」と言ってくれるだろうし、アメリカならなぜこんなところに段差があるんだと言って訴訟だ。やはり日本国は、日本人は素晴しい。


カフェを出て、店の配置などを見ながら町を歩く。

途中トゥクトゥクドライバーに、「オオサカ!オオサカ!トウキョウ!ハマサキ!ハマサキ!」と声を掛けられる。

ちょっと面白かったので、日本語で「いや俺大阪でも東京でもないし、浜崎って誰だよ!」と言ったら、まったく通じなかった。


途中センターマーケットで、Tシャツを見かけ少し見ていると、女の子が寄ってきた。

最初10ドルと言われて「買わない。せいぜい2ドルだな」とか「クオリティが低すぎる」「色がない。サイズがない」など言うと、おくから大量に持ってきて最後には2.5ドルで買った。

買ってやったのにものすごい不機嫌な顔。「バイバイ」と言っても無視。日本なら笑顔で「ありがとうございました」って言ってくれるのに。


日も暮れて、腹も減ったので晩飯を食うところを考えながら歩く。

しかし、おしゃれなレストランはとても一人で入れるような雰囲気ではない。高いし。

そこで、また屋台に入る。今度は焼きそば的なものとビール。2ドル。

呼び込みの少年が可愛かった。タイガービアを頼むと、無かったらしく、「タイガーは無い。だけどアンカービアは良く冷えてるよ。お母さんはいつもアンカーが一番美味いって言ってるよ!アンカーでいい?」と言ってくる。

「じゃあそれで」と答える。

屋台には日本人女性と名乗る2人組みが話しかけてきた。すでに3週間もいるらしい。

歳は30後半~40前半くらいか。真っ黒なんでよくわからなかった。

面倒くさそうなのであまり相手にしなかった。

会計時再び4ドルといわれるが、今回は2ドルちょうど持っていたので、それを払って帰る。


コンビニで牛乳とキャンディを買って帰る。

いよいよ最後の夜。名残惜しくなるかなとも思ったけど、まったくならず。

むしろテンションがあがる。

シャワーを浴びていたら、シャワーの電灯だけ消える。なぜだろう。

電球が切れたのかとも思ったけど、数分後また点いた。そしてまた消えた。

心霊的なものか?その類はまったく信じていないが、怖い。

早めにシャワーを切り上げて、英会話の勉強をする。

歯を磨くとき再度シャワールームにはいるが、やはり電灯がおかしい。


こうして4日目の夜は更けていった。