【関西の議論】
滋賀県湖南市の谷畑英吾市長(45)が約9カ月間のキャベツダイエットで体重を12キロ、ウエストを12・6センチ減らして話題になっている。測定結果を毎月、市のホームページで公開し、生活改善をアピールしたところ、同じダイエットを始める市民のフォロワーも生んだ。谷畑市長といえば、ネコ市長の「こにゃん市」を広めたことで有名だが、現在は「コスプレ」にも挑戦。一歩間違えば“悪乗り”と陰口もたたかれそうだが、今のところアイデアマン市長としてあの手この手の市のPRぶりが評判を呼んでいる。(浜田慎太郎)
■脱メタボの過程を公開
20代のころは体重が70キロ台だったという谷畑市長。しかし、年を重ねるごとにおなかがぽっこりし、「人間ドックの検査でも中性脂肪の多さが指摘されるようになった」という。そこで昨年6月にダイエットを決意。自らのモチベーションに加え市民の健康意識も高めようと、毎月、体重とウエストを計測し、市HPで公開することにした。
ウエストが男性は85センチ以上、女性は90センチ以上で、血圧や血糖値などが一定以上であれば、日本肥満学会などが定めているメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の基準を満たす。谷畑市長の場合、1回目の測定では体重88・4キロ、ウエスト93センチ。血圧も基準値以上で、メタボの基準を十分に満たしていた。
メタボ脱却を掲げ、市長が取り組んだのがキャベツダイエット。食事の前に生のキャベツを大量に食べ、おなかを満たしてから、ご飯やおかずを食べるというもので、自宅から毎日、市役所や仕事先にキャベツを持参、市長室などでぽりぽり食べるのが日課となった。
日本ダイエット健康協会(東京都)によると、キャベツは食物繊維が豊富なため満腹感を感じやすい。ダイエットに適し、食事前に、キャベツを食べて空腹を満たすだけで、脂肪を減らすことができるという。
キャベツダイエットが功を奏し、昨年7月の2回目の測定で体重は2・3キロ、ウエストは1センチ減。昨年10月の5回目の測定では、ウエストが84・5センチとなり、ついにメタボ脱却に成功した。その後も数値は減り、今年2月の最終測定では、体重が76・4キロ(1回目測定比12キロ減)、ウエストが80・4センチ(同12・6センチ減)にまで落ちた。
さらにダイエットだけでなく、劇的な体の若返りにも成功した。
谷畑市長は、毎月の体重とウエストの計測のほか、昨年8月と今年2月の計2回、握力や柔軟性、バランス感覚などを測る体力測定にも臨んでいた。
その結果は驚くべきもので、最初は42歳だった体力年齢が次の計測で25歳になっていた。実際の年齢は45歳だから、20歳も若い体になったのだ。
体力増強の秘訣は食事管理とともに、家庭用ゲーム機を使った地道な運動にあった。画面の動きに合わせて、筋トレや有酸素運動を行うこのゲーム機を使い、日々自宅で汗を流していたのだ。計測した市保健センターの担当者も「これだけ若返る人は少ない。よくがんばってこられたということです」と称賛を惜しまない。
■市民もダイエット
メタボは急性心筋梗塞(こうそく)の原因の一つとされるが、湖南市は平成20年度、男性の死因に占める急性心筋梗塞の割合が県内でワースト1、女性も2番目に高かった。市長自らダイエットに取り組み、市民に生活改善を呼びかけた背景にはこんな事情があった。
ダイエット中は市のHPに「市長の脱メタボ宣言!」というコーナーを新設。谷畑市長は毎月の体重とウエストの測定結果のほか、おなかを見せてウエストを計測する写真も掲載し、徐々に腹部がスリムになる様子を伝えた。
また市民に「一緒にダイエットに取り組みましょう」と呼びかけたところ、30~70代の男女20人がを賛同。昨年9月に「チーム湖南」という団体を結成し、市長と同じく今年2月までをダイエット期間として、運動や食生活の改善に努めた。
途中でダイエットを断念した人もおり、結局、半年間で5キロ以上やせた人は2人だけだったが、谷畑市長は「『健康を意識する』という考えは、メンバー全員で共有できたのでは」と話す。
市長の体を張った訴えは共感を呼び、市保健センターには、市長を見習いキャベツダイエットを始めたという市民からの報告も入っている。
■次は「コナン」のコスプレ
谷畑市長は、架空のネコ都市「こにゃん市」を立ち上げるなど、ユニークなアイデア施策で知られる。
市名の湖南(こなん)をもじった「こにゃん市」では昨年4月、市内の飼いネコ17匹が公約「ニャニフェスト」を掲げて立候補した「こにゃん市長選」が行われ、オスネコの「ぎん」が初代市長に選ばれた。ぎんは市内外のイベントに引っ張りだこで、湖南市の知名度アップに大きく貢献。任期は1年のため、間もなく2回目の市長選が計画されている。
市内ではこにゃん市関連グッズの販売も行われており、同市下田地区のまちづくり協議会が作った、ぎん市長のイラストなどを描いた「こにゃんせんべい」も人気だ。「こにゃん市をきっかけに地域が活性化しているのを感じる。もっとこにゃん市には頑張ってもらいたい」と協議会の角島啓一会長(68)。
昨年11月にはイヌの架空都市「こわん市」の市長選も行われ、オスイヌのゴンが市長に就任。「湖南市が動物の聖地になればいい」とひそかな“野望”を抱く谷畑市長が次にねらうのは、なんと自身の「コスプレ」で、まちおこしをすることだ。
目をつけたのは、湖南市と発音が同じ人気漫画の「名探偵コナン」。ダイエットを始めた昨年夏ごろから、ズボンをつるサスペンダーを愛用し、ちょうネクタイを結ぶなどして、漫画の主人公の小学生「江戸川コナン」のスタイルで公務に励んでいる。ウエストが細くなり、サスペンダーが欠かせなくなったため、コナンのコスプレは無理なく続けられるようだ。
湖南市は昨年7月、「名探偵コナン」の作者・青山剛昌さんの出身地で、「コナンの里」としてまちおこしに取り組んでいる鳥取県北栄町と友好交流提携も締結している。
谷畑市長は「コナン君のように半ズボンにもしようかなとも思ったけど…それはさすがにできなかった」と苦笑いするが、今後どのような方法で、「コナン」に引っかけたまちおこしを展開するか思案中だ。
今年2月には滋賀県市長会長に過去最年少で就任。今や湖南市だけでなく、県内13市の代表として、「コスプレ」衣装で多忙な日々を送っている。
湖南市は滋賀県南部に位置し、平成16年に甲西町と石部町が合併し誕生。「湖」が名前についているが、琵琶湖には面していない。人口は5万数千人の小都市だ。
谷畑市長は初代市長で、働き盛りの45歳。20歳も若い体力と、アイデアで、この湖南市を全国にどうPRしていくのか目が離せない。
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