RCEPの原産地証明方法について条文に沿って解説していく。
(赤字が筆者のコメント。黒字は協定仮訳)
第三・十六条原産地証明
1 産品が原産品であることについての利用可能な情報に基づく次のいずれかの文書を原産地証明とする。
(a)次条(原産地証明書)の規定に基づく発給機関により発給された原産地証明書
→「第三者証明」
(b) 第三・十八条(原産地申告)1(a)の規定に基づく認定された輸出者による原産地申告
→「認定輸出者の自己証明」
(c)2及び3の規定に従うことを条件として、第三・十八条(原産地申告)1(b)の規定に基づく輸出者又は生産者による原産地申告
→「輸出者または生産者による自己証明」
→→つまり、RCEPは、第三者証明を含む上記三つの方法による証明方法が可能と明記されている協定となっています。これは自己証明しか許されていない日EU EPAとは異なりますね。ただし、次の2項に書かれているように、「輸出者または生産者による自己証明」は発効当初から利用できる訳ではないようです。
2 オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、中国、インドネシア、日本国、韓国、マレーシア、ニュー ジーランド、フィリピン、シンガポール、タイ及びベトナムは、この協定がそれぞれ自国について効力を 生ずる日の後十年以内に1(c)の規定を実施する。カンボジア、ラオス及びミャンマーは、この協定がそれぞれ自国について効力を生ずる日の後二十年以内に1(c)の規定を実施する。
3 2の規定にかかわらず、締約国は、物品に関する委員会に対してその決定を通報することにより、1(c) の規定を実施するためのより長い延長期間(十年を限度とする。)を求めることを選択することができる。
→2項と3項は「輸出者または生産者による自己証明」は発効時に導入しなくても、発効後、一定の期間内に導入すれば良いということを言っています。そのため、「輸出者または生産者による自己証明」がいつから利用できるのかよく分かりません。
4 締約国は、この協定が全ての署名国について効力を生ずる日に、この条の規定の見直しを開始する。こ の見直しにおいては、原産地証明として輸入者による原産地申告を導入することを検討する。締約国は、 別段の合意をする場合を除くほか、当該見直しの開始の日から五年以内に当該見直しを終了する。
(注) この4の規定にかかわらず、日本国は、この協定が同国について効力を生ずる日から、1の規定に基づく原産地証明と同様の 方法により、輸入者による原産地申告を原産地証明とみなすことができる。この場合において、同国は、輸入者による原産地申告に関し、第三・二十四条(原産品であることの確認)1(b)から(d)までに規定する手段による確認手続を行ってはならない。輸入者は、産品が原産品であることを証明するための十分な情報を有している場合に限り、原産地申告を作成するものとする
→4項は、協定が発効したら「輸入者による自己証明」について検討を始めようということを規定しています。日EU EPAで可能な証明方法ですね。そして、日本は輸入者による自己証明に前のめりであり、発行当初から「輸入者による自己証明」導入してもよいと規定しています。
5 原産地証明については、次のとおりとする。
(a)書面又はその他の媒体(輸入締約国が通報した電子的様式を含む。)によるものとする。
(b)産品が原産品であり、かつ、この章に定める要件を満たすものであることを記載する。
(c)附属書三B(必要的記載事項)に定める必要的記載事項を満たす情報を記載する。
→原産地証明書の形式について規定している。ただそれだけ。
6 各締約国は、原産地証明について、その発給又は作成の日から一年間有効なものであることを定める。
→原産地証明書が1年間有効と規定している。ただそれだけ。
まとめると?→RCEPは過去のEPAに登場した証明方法全てを使えるようになる書きぶりになっている。しかし、最初から全てを使える訳では無いので、どれが使えるかは要確認。「第三者証明」と「認定輸出者の自己証明」は輸出国・輸入国を問わず発効時から利用できると思われます。「輸出者または生産者による自己証明」は発効後、各国で徐々に導入されると思われます。「輸入者による自己証明」については各国で導入されるか不明ですが、日本への輸入だけは発効時から利用できるかもしれません。税関のサイトを注視しましょう。