CLKがデビューしたのは平成10年ぐらいだったと記憶している。Eクラスと共通したフェイスとCクラスと共通したシャーシを持つこの優雅なクーペはすぐに新しい層のユーザーを次々と獲得していった。
新車価格は700万円以上と高額でかつクーペスタイルと言う贅沢さから成功者の象徴と言うイメージが個人的にはある。
今回ご紹介するCLKは2代目にあたる最終モデルということで古さを感じさせないというのも大きな魅力だと思う。
日本車の場合モデルスパンが短く、どうしても10年も経てばかなり古い車という印象を与えがちだ。
確かにそれが買い替えの事業と直結するということは間違いないのだがその辺がヨーロッパと日本との大きな車に対する考え方の違いとも言える。
まずこのCLKのスタイリングだが文句なくかっこよくエレガントな印象がある。
右斜め後ろから見た曲線はスポーツカーとしての美しさもありまたエレガントさを感じさせるものだ。
メルセデスのレーシングマシンでこのCLKをベースにしたマシンがあったがそのベース車として採用されたということを考えてもこのスポーツ性能等も含め機能美に似たものを持っていると感じる。
ドアを開けると窓が少し下がり閉めると窓が上がると言う機能が装備されている。
これは密閉性の高いメルセデスベンツドアの開閉に置いて圧を逃がすという1つの役割を担っていると言うことを聞いたことがある。
高級車というのはこういった小さな心遣いや機能などを盛り込んでいることも魅力の1つと言える。
運転席に座ってみると着座位置がそれほど低くないことや座席も余裕のある大きさがあり前方の視界もかなり広く取れるところから運転しやすいと言うのは座ってすぐにわかった。
インパネもアルミのシルバー三連メーターが採用されており、飽きのこないものである。
年式をさかのぼることで古さを感じる部分というのは実はメーター等ではなく多くの場合はナビゲーションとかAV機器の古さに起因するものがほとんどであると思う。
このCLKの場合は平成20年式と言うことで後期型のものでも比較的新しいものではあるがそれでも10年前のナビゲーションと言うのはやはり古さを感じるものだ。
個人的にはこのナビゲーションに関しては安いものでもいいので最新式のものを装備することによって車の魅力がぐっと高まると思う。
内装のシートは本革シートで当然シートヒーターも装備される。ファブリックシートにもそれなりの魅力はあるがやはり高級感と言う側面においては本革シートがあるのは嬉しい。
またこの年式のメルセデスベンツの本革シートは質感が高く劣化を感じにくい。
この車においても革シートのスレや破れ等、気になるところが見当たらない。中古の外車に割と多いのは天井の剥がれが見られるものだ。
これは割と厄介でいちど天井のライナーを外して、古い布を全てはがし、固着した糊をハケで剥ぎ落として、新しく布を接着して再度ライナーを取り付けなければならない。
弊社ではこのような作業を自社でやっている。ただ今回のCLKに関しては全く剥がれもないのでこの作業する必要は無い。
さてエンジンをかけて走ってみる。走り出すとスポーツカーとは全く違う性質の柔らかい足回りとしなやかなシフトチェンジで非常にスムーズに走ってくれる。
サスペンションもしなやかに動き、ミッションに関してはもちろんこの時代ではCVTは無いのだがオートマチックのスムーズなシフトチェンジがまるでCVTのようなしなやかな走りを実現している。1800ccのコンプレッサーということで過給器がストレスのない加速をしてくれる。
実用域においてストレスを感じると言う事はほぼないと思う。またメルセデスの特徴として高速での沈み込むような走りというのはぜひ体験していただきたいと思う。
これはレクサスであってもまったく比にならないというドライビングプレジャーがあると個人的には感じる。
次に実用性。先述した通りベンツのCクラスとシャーシを共通すると言うところから室内のスペースは割と広い。
トランクスペースもしっかりとした容量が確保されておりこれも実用性において不満を感じる事はおそらくないだろうと思う。
クーペスタイルと言うことでリアスペースがどの程度あるかと言うのが気になるところではあるが大人4人が普通に乗って移動できるだけの広さが確保されている。
しかもトランクスペースからのバックレストスイッチを押すことによってリアのシートが倒れて1部ハッチバックのような使い方も可能になる。
こうすれば尺の長いものも入れれるし実用性の行きは非常に広がると思う。
不具合があるとすればリアにドアがないことによって乗り降りがひと手間かかってしまうということになるが、それでもほとんどの場合が1人ないし2人で乗ることが多く、後の席に乗せることの機会が少ない人にとってはそれほど大きな問題では無いのではないだろうか。
このレベルの車をこの価格帯で乗れると言うのは非常にメリットがあると思う。
確かに軽自動車は経済的でコストもかからない手軽に乗れると言う良さもあるが、それでもやはり高速での危険度の高さは相変わらずあり、そういった安全性においてもメルセデスの魅力というのは見た目や格好やブランドだけではないところにあると思うしそういった価値をわかる方にとっては非常に費用対効果の高いものであると思う。
ベンツのSクラスもそうだが、もともとすべての層の人に受け入れられる車ではないのでユーザ層を選ぶと言う部分もあるが、ピタリとはまる人にとってはこんなに魅力的な車はそうそうないと思う。
私も妻が免許を取って初めての車に何を選ぼうかと考えたときに即答でこのCLKを選んだと言う経緯もある。
もともとは700万円以上したこういった車を100万円程度で乗ることができるということ自体に当時のことを思い返すと中古車としての醍醐味というのを感じる。
こういった記事や動画での紹介を通じて今までになかったベンツやBMWの魅力を感じていただき、新しい層のユーザの方との縁つなぎができればこれほど嬉しい事は無い。
私自身も26歳でメルセデスベンツに出会いそれほど興味のなかった外車と言うカテゴリーに興味が持てたと言うのもちょっとした出会いからだった。
クルマも人と一緒で、出会いは偶然であり、そこに必然性を感じることからドラマチックな時の変化を感じることができる。
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