6月末に、マドリードで開かれたノーベルバイオケア社のシンポジウムに参加してきました。
今回の目玉は新しいコンセプトのインプラント。表面性状がこれまでと変わったツートンカラーになっています。
インプラントの一番上の形も変わりました。
正円からおにぎり型になりました。
これほどの変化は久しぶりです。
まだ日本やアメリカで認可されていないので、写真が
今後20年生き残れるインプラントであることを祈ります。

パウロ マロ先生の4時間の講義も聞いてきました。毎回シンポジウムであるのでもう七、八回は、最低でも聞いています。それだけでも32時間ですね。
個人的に話すより、講義を聴く方が、考えや治療の変化を確実に知ることができるので毎回楽しみにしています。
今回強調されていたのは、インプラントにまつわるコンセプトやエビデンスと言われたものが20年経ったら正しいままなものが半分、否定されたのが半分だということ。

その時には正しいと教えられたことが、その後否定されたことが沢山あります。例えば、

1 インプラントは、埋入した後、縫合して六ヶ月間治癒期間を経てから口腔内に露出させなければいけない。
➡︎現在では、埋入して即日に荷重しても、このやり方でやってもインプラントの生存率に変わりはないことが分かっています。

2.  インプラント軸は咬合平面に垂直でなければならない。インプラント軸が傾いていると生存率が下がる。
➡︎これも否定されています。傾いていても生存率に変化はない。
まだ、色々あり、消えていった新しいコンセプトのインプラントも、沢山あります。

以前、オール・オン・フォーは上記 1、2 の理由からとんでもない治療法だと否定されてきましたが、否定していたチームも、オール・オン・フォーのコンセプトのインプラントシステムを発表した途端、この治療法の利点を説くにいたっています。
現在では、数多くのインプラントメーカーがオール・オン・フォーコンセプトを売り出しています。
歴史が、このオール・オン・フォーの治療法の正しさを証明したわけです。
しかし、今まで否定してきて、カスタマーを誘導してきたメーカーがオール・オン・フォー的なものを売り出すことに自己矛盾を感じないのか、という疑問があります。
正しいと言われていることも、変化するということを肝に命じて、真摯に取り組んでいきたいと思います。

患者様の喜びだけは、その瞬間に真実です。これが私の生きる糧です。