当院では即時機能インプラントに取り組んでおり、その数は800本以上になります。

即時機能は、Immediate Functionーインプラントを入れたその日に歯を入れて機能させるものです。



これは、ノーベルバイオケア社の商標登録の言い方です。

インプラントを入れたその日に歯を入れて、噛ませたり噛ませなかったりしますが、歯を入れるというところがミソです。


基本的には、力は加えないほうがいいのです。

(文献的には、すぐに噛ませるのと噛ませないのでは大差ないというデータがでています。)

しかしながら歯が一本もない口のなかでは、噛ませないわけにはいきません。

ですので、オールオンフォーなど歯が一本もない場合は噛ませることになります。

当院の即時機能の大部分がオールオンフォーですので、噛ませていることになります。


では、なぜ力を加えない方がいいのでしょうか。

それは、微小振動というキーワードに関係があります。


そもそも、インプラントを骨の中に入れる手術の時、だいたい35Ncmというトルク値で固定します。

これは、厚めのベニア板にネジ釘をしっかりとねじこんだ状態です。

これで安定していますので、少々噛んでもびくともしません。

これがずっとそのままだったらいいのですが、残念ながらこのインプラントを支えている骨はいったん溶けてしまいインプラントは緩んでしまいます。


この緩みが始まるのが、だいたいインプラントをいれて1週間くらいから。

一方、新しい骨がインプラント周囲に着いてきます。

新しい骨がしっかりとするには時間がかかり、初めに支えていた骨は溶けてしまうので、インプラントを入れてだいたい2ヶ月くらいが一番緩んだ状態になります。

そしておおむね4ヶ月くらいには新しい骨がインプラントと結合し(ぴったりとチタンの表面にはりついて)歯と同じように噛めるようになります。


インプラントが骨に着かない=失敗インプラントとなるのは、いろいろな理由がありますが、

すべてがうまくいったとしても微小振動がかかり続けると骨に着かないと言われています。

これが実際のお口の中で起こるのは、

「インプラントのところでしっかり食事をする」「食いしばっている」「歯ぎしりしている」

などのことです。

インプラントを入れてすぐ噛めるようにした歯で上に挙げた3つのことをし続けるとインプラントが骨に着くことができません。

ですから、4ヶ月くらいまでは、恐る恐る柔らかいものを食べるようにお願いしています。


ところが、患者さまは1カ月くらい経ったころから慣れてきていろいろな物を食べるようになり、歯があったときと同じような食事をするようになります。

これは、いけないことなのです。

私は母にオールオンフォーをして、自分の家で一緒に暮らしていて観察しました。

そして、いかに注意しても歯が入った喜び、なんでも食べれる喜びに、あれも食べたいの欲求が抑えられずにチャレンジする姿を目の当たりにしました。


気持ちはわかります。しかし危険です!

幸い母のインプラントは大丈夫でしたが、これで失敗インプラントになることもあります。

これについては注意を!


当院では2年間は再手術を100%こちらの負担で行いますし、即時機能のインプラントの失敗はほぼ100%がインプラント埋入5カ月以内に起こると言われています。当院の成功率は99%以上です。


とはいえ、短期間我慢したほうが、結局は早くよい結果にたどり着くことが出来ますので、ご注意を!