上顎臼歯部に歯科インプラントを埋入する場合、そこに十分な骨がないケースが多い。副鼻腔(サイナス)の存在です。そこで、海外の歯科医師が最初に提唱したサイナスリフトテクニックという手術術式を行うことで、そこに骨を作ることができ、インプラントの埋入が可能になった。
しかし、副鼻腔(サイナス)に手術を行うに当たり、効果的な抗生剤が必要になる。かねてからマクロライド系の抗生剤は、サイナスメンブレンに高濃度に薬剤の移行が見られることが知られていた。
また、同部に手術をする前に副鼻腔炎などの炎症が見られる場合には、あらかじめ炎症を抑えてから手術すべきであるといわれている。
歯科医師は、マクロライド系の抗生剤を少量にして1ヶ月間の長期投与を行っていた。
本来、薬を服用する場合、体重に比例し十分な量を投与すべきであるが、歯科医師は、マクロライド系の抗生剤の少量・長期投与で効果を感じ、実際に副鼻腔炎はしっかり治ることがわかっていました。
歯科分野でなく、医科分野で、この投与法の有用性がしめされました。
スペインの国立インフルエンザセンターは、2009年に重症のインフルエンザに感染した患者の全身の炎症を抑える目的でマクロライド療法を併用することを提唱した。
その作用について、
水分の分泌抑制や活性酸素の生成抑制、サイトカインの分泌抑制などの抗炎症効果、さらに、菌の付着の抑制、バイオフィルムを抑える効果があることがわかっている。
COPDにも有効と言われ、日本の薬剤療法を海外が見習っているという話も聞く。