当時の小学生の“本箱”に必ず入っていたもの、それが学研発行の「ジュニア チャンピオン コース」だ!このコース名にピンとこなくても、「あなたは名探偵」とか「ONの野球コーチ」とか聞けば、「あー、読んだことある。」と思い出す人がほとんどだと思う。なにせシリーズで20冊以上発行されていて、かくいう私も12冊揃えていた・・・ほどの人気シリーズだった。最初のころは3冊買って、表紙カバーに付いていた応募券を切って送ると、もれなく特製チャンピオンフラッグがもらえた。そして、次の期間には特製キーホルダーをと、プレゼント付きだったのもこのシリーズを買うことにはずみをつけさせたのだった。

  

 一冊一冊の中身も濃かった。野球入門「ONの野球コーチ」ではルールに始まり投球ホーム変化球の投げ方、バッティング・守備のコツ、プロ野球の記録などなど野球少年にとっては興味津々、何回も読み返したものだった。絵ときSF「もしもの世界」ではまだ見ぬ未来に思いをはせ、恐怖したのだった。

なぜ恐怖したのかは目次を読めば一目瞭然だと思う。“もしも太陽が燃えつきたら”“もしも地球の自転が止まったら”“もしも富士山が爆発したら”などなど、なんだか本当に起こりそうで、自分は本当に大人になるまで生きられるのだろうか・・・なんて本気で思ったりした(実際、この後「ノストラダムスの大予言」がはやったが、この時は自分は35歳で死ぬんだ!なんて思っていた・・・)。


  

 そして驚異の記録「あの事件を追え」。“桜木町国電火災 火だるまになった国電”“三億円強奪事件 おそわれた現金輸送車”“浅沼委員長暗殺事件 白昼の暗殺”などどれも迫真の読み物で時間も忘れて読み耽ったものだった。まだ新聞やテレビニュースなんかほとんど関心がなかったがこの本から徐々に社会面に関心が行き始めたのかもしれない。


  

 そしてそして自分が一番好きだったのが推理クイズ「あなたは名探偵」。犯人さがしクイズや絵ときアリバイくずしなど、どれも探偵好き少年の心を捕らえてはなさなかった。一問間違えると悔しくて、最初からまた挑戦なんてこともやったりしていた。この本と同時進行で怪盗ルパンやシャーロック・ホームズのシリーズを読みはじめたのはいうまでもない。


 

 本の内容を紹介し始めると止まらなくなってしまうので、あとは題名のみにしていこう・・・科学捜査「あの犯人を追え」、犬から虫まで「ペットを飼おう」、日本一世界一「世界びっくり情報」、遊びの百科「あなたはゲームチャンピオン」、なぞ驚異「世界のなぞ世界のふしぎ」などどれも、当時の子供たちの好奇心をそそらずにはいられないものだった。当時はテレビゲームなんてもちろんなかったので、一人で暇なときは読書、というのがあたりまえだったと思う。そして手にしていたのがこのジュニア チャンピオン コースというわけだった。もちろん学校の学級文庫にもあったし、あれば人気のシリーズだった。

 

 最近、書店で子供の本のコーナーを見てみても、このシリーズはないし類似のものもなかった。やはり寂しい気がした。自分が子供のころにあんなに夢中になったのだから今の子供たちだってきっと夢中になるはず。「大人の科学」に続いて是非考えてくださいね、学研さん!