※※※トレパクは他人の作品のドロボーです。※※※
近頃イラストや絵画界隈で繰り返される【トレパク事件】。
それの何がいけないのか、私なりに説明します。
まず、これは法的な問題だけではなく、
【絵描きとしての私の感覚】がかなり含まれています。
▪️用語の説明としては…
・トレパクの「トレ」は、トレースのトレです。
・トレパクの「パク」は、パクリのパクです。
で、どちらも悪いのか?という問いがありますが、
一般的にはトレースという技法はOKとされています。
一番問題になるのが「パクリ」の方です。
しかし私はトレース自体も▲微妙だと思っています。
それは何故か?
【トレースは小学生でも簡単に綺麗に描ける手法であり、絵が上達しないから】です。
また、トレースを利用する人はパクリをするハードルも低くなると思います。
なので、トレースしてるな…といった作品は私は興味無いです。
基本下手くそしかいないです。
(漫画などかなり時間が限られた制作環境の場合は自分で資料を準備してのトレースはありだと思いますが、今回はイラストや絵画について語ります。)
「パクリ」は完全にダメです。
人の作品をドロボーしているからです。
お店で盗んだ商品を転売している人と同じです。
生成AIより酷いレベルで迷惑なのです。
そもそも、絵を描きたい、作品を作りたいという人がトレパクする意味が有りません。
自分が表現したいものがあるから作品を作るのに、盗んでどうするのでしょうか?
もう作家でもアーティストでもありません。
世に出してはいけないものです。ゴミ以下です。
最初から絵を上手く描ける人はほとんど居ません。
なので絵をより上手く描けるようになりたいと思ったら、
デッサンを習ったり、美術大学の受験をしたり、絵の師匠に直接指導してもらうなど、
どこかで必ず勉強しないといけません。
時間はかかるし、才能無ければ上手くならないかもしれません。
(学生の時代はマネをして学ぶのは良いでしょう。
しかしその時でもトレパクはダメだと肝に銘じましょう。)
そこの努力をすっ飛ばしてすぐに褒められたい、評価されたい、お金儲けがしたい、
という人が多すぎなのです。
世の中にはそんな作品が溢れ返っています。
作品を購入していたり、購入したいと思う人たちの殆どが、
【絵画の素人で知識も経験も無い人】だと思います。
なので騙されてというか、良いと思った作品がトレパクだったりします。
もし高額なお金を出して購入した作品が、トレパク作品だったとしたら、かなりのショックでしょう。
▪️トレパク作品の見分けかた
現在特定班がいっぱいいるので、話題になった怪しいものは特定してくれたり、
画像検索などでヒットしたり、トレパクが判明すると思います。
しかしヒットしない微妙なラインのものも多いです。
が、とても簡単な見方として、
・【シルエットが合っているのにその他が見合った仕上がりになっていない作品】
は、トレースです。
・【絵描きとして取材(スケッチや写真撮影)するのが難しいものを描いている作品】
は、ほぼパクリだと思っています。
まず
▪️トレース作品の見分けかた
・空間性や形の理解がおかしいのに、シルエットだけは合っている。
・部分によって光の当たり方がおかしい。(シルエットは合っている。)
・パーツのシルエットは合っているのに骨格自体がおかしい。(トレースをつぎはぎすると人間の骨格とかおかしくなりがち。)
・画面構成(形の重なりや配置)や構図のバランスが悪いのに、シルエットは合っている。
(デッサンしてたらそのシルエットの重なりかたはさせないよねっていうのがある。)
↑
これらは、デッサンを学び絵画やデザインを学んだ場合、基本的なことなのにそこが出来ない実力の者が、シルエットだけ合わせられるということはありえないので分かります。
(藝大出身でもシルエットを合わせるのは難しいし、むしろ独自の形にしたりします。)
デッサンを学んだ者からすると気持ち悪いのですが、知らない人は気が付かないのでしょうね。
他には写真特有の歪みがあったり。
▪️パクリ作品の可能性が高いもの
例を挙げますと…
・海の生き物をさまざまある程度リアルに描いている。(クジラ、深海魚などレアな生物、珊瑚など)
・日本で見られないレアな植物をリアルめに描いている。(どこで取材したのか?)
・飛んでいる鳥をリアルに描いている。(自分が高性能のカメラを持って撮影しているなら良いが、大抵遠くまでその機材を持って取材している絵描きはなかなか居ない。)
・シマエナガは北海道の鳥だが、何故か北海道以外の作家が描いている。(なかなか取材出来ないはずなので、どうやって取材したか聞くべき。)
・蝶を描いている作品で、蝶のサイズ感がめちゃくちゃ、国内海外ごちゃ混ぜの蝶や蛾を描いている。(完全に蝶の知識が無いのは明らかなので、ネットから拾っている。大きい蝶と小さい蝶はかなり大きさが違うので、画面に描こうと思うとかなりの差が出るはず。)
・蝶と花を描いている作品で、蝶と花の季節、地域が合っていない。(春の花の桜に夏の蝶とか、冬の花に初夏の蝶とか、空想の世界なら良いけどタイトルが季節のものになってるのおかしくない?)
・モデルが居ないのに外国人の顔をリアルめに描いている。(ちゃんとモデルを雇っている作家もいるので、モデルはどうしているのか聞く。)
・狼の遠吠え系作品。(動物園でスケッチするにも、遠吠えしている姿を見られるのか?どこで取材したのか聞くべき。)
・動物、魚を片っ端からリアルめに描いている系作品。(実際動物園や水族館で取材している作家もいるだろうが、怪しい作家も多い。動物園や水族館でスケッチしまくっている絵描きやイラストレーターいますか?なかなか居ないと思います。しかし今、動物系作家が多すぎる謎。)
・地球全体や衛星からの画像っぽいものをリアルに描いている。(地球を外から撮影するのは個人では難しい。)
・海外に行ってないのに海外の風景、日本国内もあちこち行かないと描けない建物、風景がリアルめに描いてある。(取材にどれだけお金かけられるのか?聞いてみてください。)
・オッサンがオシャレファッション系女子、女子を覗き込んだアングルで作品を描いている。(今回の)
などなど、いっぱいありますね。
………………
作家は人気が出て、評価されたい、売れたい、いっぱい展示に参加したい、
と思うと楽に見栄えが良く、買ってくれる人が多そうな作品を生産し始めるのだと思います。
そこには作家本人の体験やものの見方、独自の発想や世界観、作品との向き合い、
などとは掛け離れていることに気がつくべきなのに、
楽に結果が出る方へと流れて行くのでしょう。
そのような作品を有り難がる鑑賞者や消費者の方も少し学んでいかないと、
またトレパク騒動は繰り返されるでしょう。
まあ、そんな作家は生成AIに淘汰されれば良いと思うのですが。
どうなんでしょうか。
今回のトレパク事件で少しはまともな評価をする目が増えると良いですね。
下手でもデッサンが狂っていても、汚い絵になっても良いんです。
それのほうが個性があって面白いじゃないですか。
みんな自分の形で勝負しましょうよ!
以上、私のトレパク事件についての解説でした。