モナコでカッパが釣れた。 | ウチューのトチュー ~  池田モノリス

モナコでカッパが釣れた。

モナコでカッパが釣れた。

~四畳半モニター、パネルの下張り。

 

多分30年位前、モナコ政府観光局のパンフを作った。

モナコには行ったことがない。

フルカラー16ページ。パンフ現物が見つからなかったのでイマイチ記憶が…

とか思ってたら、段ボールの底に。
筋肉少女帯のライブは見たことあるけど、

モナコの方は資料を読み倒したけど行ったことないので、

どっちがカッコイイのか判断はむずかしい。

 

 

モナコのヨットハーバーで、カッパが釣れた。

 

「今夜は、アッツアツのカッパ鍋だ!」

 

グツグツグツ

 

「ねぇねぇ、モノリス。海って、どうして青いの?」 
 

カッパのサラちゃんが鍋の中から僕に尋ねる。

 

「そ、それはね…、 あ、サラちゃん。

太陽がいっぱい…て知ってる?」 
 

「知らない!」 
 

「冒険者たち…とかは?」 
 

「聞いたことない!」 
 

「キュウリは?」 
 

「大好き!」

 

グツグツグツ

 

 

「ずっとずうっと昔、僕が中学生の頃の話なんだけど、 
海や風がいっぱいつまったヨーロッパの映画があって」 

 

サラちゃん、潜水服着ると…よく煮えないよ。

 

「僕はそれまで、そんなに青い海があるなんて 
知らなかったから、本当に驚いたんだ」 

 

「江ノ島だって、オーイソだって青いよ」 

 

グツグツグツ

 

「ほ、本当は…どこだって、お、同じ色なんだけど」 
 

サラちゃんてば着グルミみたいで、

何かヘンだし、食べづらい。

 

 

「多分ね、セカイの中には、たとえば 
中学生の時にしか見ることのできない特別な青があってさ、 
たまたま映画の中で、僕はそんな青に出会った…っていうか」

 

カリっ!…何か、お皿のカケラみたいなやつ? 

 

「あんな、この世のもとは思えないブルーをスクリーンに描き出す。 
それが表現ていうコトなのかなぁ…て、その時思ったんだ」 

「海って、表現しなくても、もともと青だし」 

「そ、そうなんだけどね。何かのハズミでさ、 
真っ青な風みたいな時間が

見えた気がしたんだよね、その時は。 
プール掃除とか期末テストとか終わったトコだったから」 

「ただのカン違いじゃない?」 

「あ、サラちゃん。星をナマでカジっちゃダメ。

オナカをこわすからね」

 

 

「モナコの観光パンフ作ったんだけど、 
あの宝石みたいな国の海や風の青い色を 
本当に表わせたのかなぁ。全然自信がない」 

「大使館系は、あーせい校正と細かいんでしょ」 

「あの辺の海の色って 
シアン100%以上のブルーなんだよ。 
僕の将来は、フアン100%以上だけど」 

「言葉とか絵とか、モノリスったら、ホントじれったい。 
ダジャレのキレもイマイチだし。 
え~いってさ、地中海に飛び込めば、それでいいじゃん!」 

「だって泳げないし、現世じゃ僕はまだカッパじゃないから。 
たしかに頭のてっぺんは少し…あ、ここは削除だよ」 

 

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