作者:三浦雅士
出版社:岩波新書
内容(「BOOK」データベースより)
漱石が生涯抱え続けた苦悩。それは母の愛を疑うという、ありふれた、しかし人間にとって根源的な苦悩であった。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』から『明暗』まで、この「心の癖」との格闘に貫かれた漱石作品は、今なお自己への、人間への鮮烈な問いとして我々の前にある―現代を代表する文芸評論家が、批評の新たな地平をしめす一書。
自分は母に愛されていないのではないかという疑いは、子供にとっては死を意味する。無を意味する。親の庇護なしに生きていくことはできないからです。傍から見て、およそ子供のことなど何も考えていないのではないかと思えるような母親のことでさえ、子供は無条件に信じている。
清は何を言っても褒めてくれると坊ちゃんは述べているが、人間はそういう存在を必要とするのだ。
評価に全然こだわっていないとことさらに言うわけだが、これはもちろん全く逆である。評価にこだわりすぎているからこそ、いつだって消えてやるという逃げ道を作って、評価そのものを無効にしようとしているのだ。
いかに愛情豊かとしか思えない母親が、じつは自己愛の延長でしか子を考えていないなどということはざらにあることだ。
人の心の中には底のない三角形もあれば二辺の平行する三角形もある、これをどうすればいいのか。
人間が拷問を発明したのは、不思議に思うかもしれませんが、逆説的にも、拷問される身になることができるからなのだ。
出版社:岩波新書
内容(「BOOK」データベースより)
漱石が生涯抱え続けた苦悩。それは母の愛を疑うという、ありふれた、しかし人間にとって根源的な苦悩であった。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』から『明暗』まで、この「心の癖」との格闘に貫かれた漱石作品は、今なお自己への、人間への鮮烈な問いとして我々の前にある―現代を代表する文芸評論家が、批評の新たな地平をしめす一書。
自分は母に愛されていないのではないかという疑いは、子供にとっては死を意味する。無を意味する。親の庇護なしに生きていくことはできないからです。傍から見て、およそ子供のことなど何も考えていないのではないかと思えるような母親のことでさえ、子供は無条件に信じている。
清は何を言っても褒めてくれると坊ちゃんは述べているが、人間はそういう存在を必要とするのだ。
評価に全然こだわっていないとことさらに言うわけだが、これはもちろん全く逆である。評価にこだわりすぎているからこそ、いつだって消えてやるという逃げ道を作って、評価そのものを無効にしようとしているのだ。
いかに愛情豊かとしか思えない母親が、じつは自己愛の延長でしか子を考えていないなどということはざらにあることだ。
人の心の中には底のない三角形もあれば二辺の平行する三角形もある、これをどうすればいいのか。
人間が拷問を発明したのは、不思議に思うかもしれませんが、逆説的にも、拷問される身になることができるからなのだ。