作者:三浦雅士
出版社:岩波新書

内容(「BOOK」データベースより)
漱石が生涯抱え続けた苦悩。それは母の愛を疑うという、ありふれた、しかし人間にとって根源的な苦悩であった。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』から『明暗』まで、この「心の癖」との格闘に貫かれた漱石作品は、今なお自己への、人間への鮮烈な問いとして我々の前にある―現代を代表する文芸評論家が、批評の新たな地平をしめす一書。

自分は母に愛されていないのではないかという疑いは、子供にとっては死を意味する。無を意味する。親の庇護なしに生きていくことはできないからです。傍から見て、およそ子供のことなど何も考えていないのではないかと思えるような母親のことでさえ、子供は無条件に信じている。

清は何を言っても褒めてくれると坊ちゃんは述べているが、人間はそういう存在を必要とするのだ。

評価に全然こだわっていないとことさらに言うわけだが、これはもちろん全く逆である。評価にこだわりすぎているからこそ、いつだって消えてやるという逃げ道を作って、評価そのものを無効にしようとしているのだ。

いかに愛情豊かとしか思えない母親が、じつは自己愛の延長でしか子を考えていないなどということはざらにあることだ。

人の心の中には底のない三角形もあれば二辺の平行する三角形もある、これをどうすればいいのか。

人間が拷問を発明したのは、不思議に思うかもしれませんが、逆説的にも、拷問される身になることができるからなのだ。
作者:小岸昭
出版社:岩波新書

内容(「BOOK」データベースより)
一四九二年にスペインを追われたユダヤ人の足跡をたどる、モロッコ、エジプト、イスラエルへの旅は、追放と交通の路であった地中海の五百年を歩くことであった。二十世紀の悲劇にも通じる、ユダヤ人のながい離散の歴史が、旅の発見と重ねられて様々に呼び起こされ、思想史、文化史の隠れた系譜とともに、ヨーロッパ近代が再検討される。

ユダヤ人は、すべてを明るい光の下に見るという、砂漠で培ったもう一つの能力、すなわち文学的・哲学的な思考や貨幣経済などの分野で発揮される、そのずば抜けた抽象能力を携えて、世界各地に離散していったのである。

五百年前彼らの祖先を追放したスペインの恐怖政治に対する恨みというより、マラーノの引き裂かれた意識を、逆に生きることへの精神的なバックボーンに転換していったユダヤ人の強靭さが浮かんでいるように思われた。

神以外のいかなるものにも仕えないという垂直信仰を貫いて、水平的な離散という異邦の「非・場」に生きる道を選ばなかったユダヤ人のこれが最後であった。
作者:佐川光晴
出版社:文藝春秋(横浜市立図書館)

内容(「BOOK」データベースより)
「痛み」と共に生きる人びと…。主人公が選んだのは、ある女性を全面的に受け入れる「肯定の愛」だった。頭痛に苦しみながら生きている男が、長い時間をかけて、かたくなに過去を隠す妻との愛にたどりつくまで…。リアリズムを徹底的に突きつめた、真実の小説。


前半の銀色の翼は、まだ良いが、後半の青いけむりは、読後感は私は悪かった。
中年の哀愁??(私には理解できない)