作者:フィリップ・クローデル
訳者:高橋啓
出版社:みすず書房(横浜市立図書館)

内容紹介
『灰色の魂』で読書界を驚かせ、
『リンさんの小さな子』で多くの人の心を震わせた
クローデルによる、待望の長編小説。

「僕はブロデック、
この件にはまったく関わりがない。僕は何もしなかったし、何が起こったのかを知ったときでも、できればいっさい語らず、自分の記憶に縄をかけ、金網の罠にはまった貂のようにおとなしくさせるためにきっちり縛り上げておきたかったのだ。」

戦争が終わって間もない小さな村の住民による「よそ者」の集団殺人。
事件を記録するように命じられたのは、強制収容所を生き延びるためにした人間の尊厳を賭けた体験のトラウマから今も逃れられないでいるブロデックであった。彼自身と村の人々の傷ついた記憶と現在が巧みに入り交じるこの物語は、人間心理の深部に潜り込み、強い印象を残す挿話を語り継ぎながら、謎めいたラストに向かって力強く突き進んで行く。

文学の底力を見せた、2007年高校生ゴンクール賞受賞作。
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とても深い深い小説。

恐怖は生と切り離せない。生が恐怖を養い、育てる。

僕は言おう、お前は僕の子供だ、愛していると.僕は言おう、時として憎しみから美が、純潔が、優雅が生まれることもあると.僕は永遠にお前の父親だと言おう.血膿の大地に時としてこの上なく美しい薔薇が咲くこともあると言おう.お前は夜明けであり、明日であり、全ての明日であり、お前の中で唯一大切なものは約束だと言おう.おまえは僕の幸運であり、僕の赦しなのだと言おう.僕のプップシェットよ、おまえは僕の全人生なのだと言おう.

僕は自分の日常を悪夢の非現実の中に打ち捨て、エメリアの思い出と彼女の現在の中で生きることを選んだのではなかったか?大きな歴史はひょっとしたら、無数の個人的な嘘を縫い合わせてできた大きな真実というべきものではないだろうか?
作者:ジェイムズ・ジョイス
訳者:丸谷才一
出版社:集英社

内容(「BOOK」データベースより)
『ユリシーズ』へとつながる、ジョイスの半自伝的小説。彼の主人公は神話の発明家ダイダロスの末裔である。あるいはすくなくともダイダロスの末裔であらうとする。鳥でも天使でもない者が飛ぶことができるのは、言葉によつて思考し、表現するからである。ジョイスはイギリスの属国アイルランドの一人の男の子が言葉に執着しながら育ち、やがてキリスト教の信仰から離反し、イギリスの帝国主義からもアイルランドのナショナリズムからも独立し、言葉によつて立つ文学者にならうと決意するまでを、言葉をめぐる問題を中心に言葉で書いた。自由と脱出は飛びかける者の特性である(訳者解説「空を飛ぶのは血筋のせいさ」より)。


仕事が忙しく、読むのに時間がかかった。落ち着いて読まないとなかなか体に入ってこない。
作者:アナトール・フランス
訳者:大塚幸男
出版社:岩波文庫(横浜市立図書館)

内容(「BOOK」データベースより)
作家アナトール・フランスは思想的には懐疑主義の流れを継ぐ自由思想家といわれる。本書はその随想集。宇宙全体がはしばみの実くらいに縮んだとしても、人類はそれに気づくことはないだろうという「星」をはじめ、さまざまな題材を用いて洒脱にその人生観を述べている。