作者:ジェームズ・モーガン
訳者:山岡万里子
出版社:アスペクト(横浜市立図書館)

マティスに魅せられた、五十歳を過ぎた夫婦が、画家の人生を見る旅に出た。美しい街々は色彩と光と出逢う日々だった。この書には人生の宝物がある。(伊集院静)

芸術を生み出す原動力になるような生活とは、考えぬくのに十分な時間と、行動するために十分な孤独と、妥協しないために十分な物資によって、もたらされるものだった。

ここでのリズムはすべてを心地よく満たしている。ひさびさに味わう、食事を作る楽しみ。新しい料理に挑戦し、夜遅くまでかかって食し、音楽に耳を傾け、仕事をし、読書をし、絵を書く。まるで天国にいるような日々--うーん、人生の宝物だな。

ヨーロッパは何百年という戦いの歴史をくりかえしてきたのだ。機能の敵は今日の友、おたがいにそれぞれ一度は戦火を交えてきているはず。ときは移り、地図は塗りかえられ、同盟関係も変化していく。民衆は政府ではないし政府は民衆ではない。だがアメリカ人であるわたしたちには、それを理解するのは難しい。
--今のアメリカの大統領は、判っているのだろうか。

「きみたちの国は、まだまだみんなあわただしすぎる」マティスがアメリカ人の記者のインタビューにそう答えた。