「AI戦争を生き残るには、日韓が一つにならなければならない」
チェ・テウォン SK会長の国会特別講演、大韓民国の生存戦略を語る
韓国は今、島のような状況だ。北が閉ざされ、米中覇権争いの中に挟まれている。
大韓民国最大のグループ総帥の一人が国会の壇上に立って発した言葉としては、あまりにも率直だった。去る4月28日、国会議員会館で開催された「米中AI技術覇権競争の中における大韓民国の成長戦略」政策セミナーで、チェ・テウォンSKグループ会長兼大韓商工会議所会長が特別講演の演者として登壇した。
彼が提示した議題は、単なる企業戦略ではなかった。AI時代のボトルネック現象、国家生存戦略、そして新たな資本主義の設計図だった。
なぜAIは「記憶」を糧に成長するのか
チェ・テウォン会長はAIの本質についてこう説明した。AIはパラメータを増やすことで賢くなり始め、その賢さはどれだけ多くの知識と経験を記憶しているかにかかっている。人間の知性が記憶に基づくように、AIもメモリに蓄積された記憶を通じて知性を発揮する。結局、多くを記憶するほどAIはより正確な結果を出せる。
問題は、その記憶を保存するために膨大なコストがかかるということだ。すべてを記憶することが最善ではない。必要な情報を圧縮して保存することが効率的だが、圧縮しすぎると深みのある回答が難しくなる。不要な記憶を削減してコストを抑えながらも、十分な記憶を維持するバランスが核心だ。
この構造の中でチェ会長は大韓民国の機会を見出した。AIの発展がメモリ需要の爆発的増加を意味し、その中心にサムスン電子とSKハイニックスがあるからだ。AI用メモリ需要の急増は、エネルギー関連企業の成長も同時に牽引している。
AI時代を阻む4つのボトルネック
チェ会長はAIの発展を阻む4つの核心的なボトルネック現象を一つひとつ指摘した。
第一のボトルネック — 資金(AIデータセンター)
AI専用データセンターは単なるサーバーの倉庫ではない。知性を生産する「工場」だ。1ギガワット(GW)規模のAIデータセンターを建設するには約500億ドル、日本円で約7兆円以上が必要となる。その大部分が設備費だ。
現在、大韓民国のAI専用データセンター容量は全データセンター容量の5%未満にとどまっている。世界では毎年10〜20GW規模のAIデータセンターが新たに建設されており、主に米国と中国が主導している。マレーシア、インドなどの後発国でさえ、法律や制度を整備しながら誘致競争に参入している。
第二のボトルネック — エネルギー(電力)
1GW規模のAIデータセンター一棟が消費する電力は、原子力発電所1基(1.4GW)に匹敵する。チェ会長は中国が米国よりも速く電力を生産していると指摘し、エネルギーの確保がAI覇権競争のもう一つの戦線であることを強調した。ただし中国は電力生産量は多いものの、効率的な半導体の不足によりAIの知性水準では米国に後れを取っているとも付け加えた。
韓国は30%以上の電力予備率を保有しており、当面の余裕はある。しかし発電所が地方に集中しているため首都圏への送電効率が低く、既存の中央集中型電力供給方式ではAIデータセンターの急変する電力需要に対応することが難しいという構造的な限界が存在する。このため発電所とデータセンターを一体的に建設する統合モデルが世界的に登場している。
第三のボトルネック — GPU
エヌビディアがGPU市場で独占的な地位を保有しているが、チェ会長はこのボトルネックは数年以内に緩和されるだろうと見通した。AI市場が学習(Training)から推論(Inferencing)中心へと転換する中で、グーグルのTPUなど多様な代替プロセッサーが急速に台頭しているからだ。
第四のボトルネック — メモリ
最も長く続くボトルネックがメモリだ。AI演算装置のすぐ隣に配置され、速度と効率を最大化する高帯域幅メモリ(HBM)は、世界で供給できる企業がわずか3社しかない。AI用メモリ需要の急増により、一般電子機器向けメモリの供給まで不足するという連鎖現象が起きている。
チェ会長はメモリの生産量を増やすには電力、土地、水、設備など膨大な資源が必要で、短期間での解決は不可能だと指摘した。SKハイニックスとサムスン電子が継続的に投資を拡大している理由だ。
大韓民国のAI戦略: スピード、スケール、市場形成
チェ会長は大韓民国がAI強国へと飛躍するための3つの核心戦略を提示した。
第一はスピードだ。完璧な製品を待たない。素早く作り、世に出して人々を引きつけることが先決だ。エヌビディアが迅速な新製品投入で競合他社が追いつけないようにした戦略と同じ文脈だ。
第二はスケールだ。小さな規模では効果がない。最低限の規模を確保しなければならない。チェ会長が示した目標値は具体的だ。最低10〜30GW規模のAIデータセンターインフラを国内に構築する必要がある。SKはすでにアマゾンと共に100MW規模のデータセンターを建設中であり、さらに900MWを増設して合計1GWを目標としている。
第三は市場形成だ。インフラだけでは不十分だ。モーターを回し続ける初期需要が必要だ。チェ会長はその役割を公共部門が担うべきだと強調した。政府がAIを活用した国民の健康管理、住民行政サービスなどの公共需要をまず創出し、その仕事を民間が受けて投資し、その成果物を海外へ輸出する好循環構造を作るべきだというのだ。
韓国型ヘルスケアAI、韓国型行政AIをまず作り、世界に販売するソブリンAI(Sovereign AI)戦略だ。商品を輸出する国から「知性」を輸出する国への転換。チェ・テウォン会長が描く未来だ。
AIショックと新たな資本主義の設計
AIが仕事を奪うという恐怖はすでに現実となりつつある。チェ会長はこの問題を企業レベルではなく、国家システムの問題として捉えた。AIは既存の雇用を消滅させ新たな雇用を生み出すが、人間の適応速度は技術の速度についていけない。国家がこの衝撃を緩和しなければ、社会全体に大きな衝撃波が来る可能性があるということだ。
彼が提案する解決策は新たな資本主義(New Capitalism)だ。既存の資本主義はお金がお金を生むことだけに集中してきた。雇用、環境、コミュニティといった社会的価値は測定されず、したがって報われることもなかった。
チェ会長は10年以上にわたり社会的価値の測定方法論を研究してきた。NGO活動、企業の社会貢献、地域ケアサービスなど「善い行い」に正確な価値を付け、これを市場化して参加者に正当な報酬を提供するシステムだ。彼は政府が多くの利益を上げた企業から税金を徴収し、社会的価値を多く生み出した個人に報酬を支払う「審判」の役割を担うべきだと強調した。このような新たな経済モデルを通じてAIによる雇用減少の衝撃を和らげ、AIネイティブ国家として発展できるというのが彼の構想だ。
最も大胆な提案: 日韓が一つの経済圏にならなければならない
講演のハイライトは最後に訪れた。
チェ会長は韓国のGDPが中国の10分の1、米国の15〜20分の1の水準だと指摘した。WTO体制は事実上終わり、今は力こそがルールとなる時代だ。韓国一国では国際社会でルールメーカーになることは難しいということだ。
彼が提示した解決策は日韓経済統合だった。韓国と日本の経済が緊密に連携すれば、約6兆ドル規模の経済圏が形成される。これは中国の経済規模の約3分の1の水準であり、国際社会でようやく発言権を持てる規模だ。
彼はドイツとフランスがEUを通じて国際的な影響力を確保した事例を挙げ、日韓協力が単なる交流を超えて、外部から「一つの経済圏」として認識される水準でなければならないと強調した。あまりにも多くの国が一度に集まると意思決定が非効率になるため、日韓がまず主導権を握り、効率的な経済ブロックを作るべきだという点も指摘した。日本もまた米国だけに依存できないという事実を認識しており、協力の条件は熟しつつあると彼は付け加えた。
南方モデル — アジア連合(A.U.)
日韓が約6兆ドルの経済圏を形成すれば、東南アジア諸国が自発的にこの経済圏への参入を望むようになる。これにより中国や米国に匹敵するアジア連合(Asian Union)を作ることができ、韓国がその中心国家になれるというのがチェ会長の構想だ。
北方モデル — 大陸との連結
チェ会長は経済的連携の深化が北朝鮮の段階的な開放を促し、さらには中国の東北三省、山東省、江蘇省、ロシア沿海州との連結につながり得ると展望した。北が閉ざされ島のような状況にある韓国が、ようやく大陸と繋がるシナリオだ。
具体的な方策として、日韓間の海底電力線と天然ガスパイプラインの連結を提示した。エネルギーコスト削減という直接的なシナジーとともに、物理的な連結が経済協力を加速させる基盤になるという論理だ。チェ会長はこの構想を過去5年間にわたり学者たちと共に検証してきており、大韓商工会議所と日本商工会議所の間でも定期的な協議が進行中であることを明らかにした。
「AI工場なくしてAI強国なし」
講演を貫く一つのメッセージがあるとすれば、これだ。インフラなくしてAIを生産することはできず、AIを生産できなければ輸出できず、輸出できなければ大韓民国の次の成長はない。
かつて大韓民国が重化学工業に、そして超高速インターネット網に果敢に投資して世界を驚かせたように、今こそAIインフラに同様の決断を下すべき時だというのが、チェ・テウォン会長の核心メッセージだった。
米中AI覇権戦争はすでに始まっている。傍観者にとどまるのか、それともルールメーカーとして飛び込むのか。チェ・テウォン会長の問いかけは、結局、大韓民国全体に向けられたものだった。
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