君は俺に憑き合っている #4-5 | 春慈穏-ハルジオン-

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基本的にアニメに関心のない人やマンガを読んだことのない人にでも楽しんでいってもらえる自信はなし!!
けど、マンガ紹介とかしてるから見ていってね~

 紗愛さんはそんな私の一言で、ぐしゃっと心をどうやらおられたようで少し肩を揺らしていました。
 ざまぁですよ。
 これが我が兄を誘惑しそうになった罰ですよ。
 体罰ではなく心罰(しんばつ)をうけるといいですよ。

「それよりも、今日のお連れさんは真清ちゃんじゃないのね」
「はい。クラスメイトなんですよ」
「あら、そうなの」

 我が兄はさらっと、店長さんに紗愛さんを紹介して見せました。
 さすがは、我が兄。天性の女たらし。
 妹の私でさえ、我が兄を前にしては一人の女になってしまいます。
 ……そうですね。ここは、一つネタつくりをしましょうか。

『ごめんね。ちょっと意識かりる』
「え? ちょっ」

 突然の紗愛さんの大根役者さながらの緊迫感を醸し出す、一人芝居に我が兄と店長さんはクエスチョンマークを頭の上に浮かべさせます。
 紗愛先輩、私。今からちょっとネタに走りますね。

「さ、紗愛? 大丈夫」
「う、うん。平気よ。いつもの通りの私よ」
「そ、そうか。なら、いいけど」

 私は完全に紗愛先輩になりました。
 意識をかりると言うことは、紗愛先輩の総てを支配すると言うことになります。今までは、干渉。そして今は、支配。
 つまり言えば、本来のオリジナル紗愛は心の奥深くで眠らせています。…的なことはできないので私の体に移しました。
 なので、今の紗愛先輩の意識はどこかの時系列の私の中に居ると言うことになります。
 きっと、驚いているんでしょうね。
 どこかの時間の私の中にいる紗愛さんは。

「あ、そうそう。この人は店長さん。俺と真清の事を小さいころから知ってる第三の母さんみたいな人」
「初めまして」
「こちらこそ初めまして」
「なるほど~。この子が涼真ちゃんの」
「だから、違うって。そもそも、俺には」
「こら、めっ」

 店長さんは、我が兄の唇に人差し指を当てながら言いました。
 さすがは店長。さりげなく他の女子への気遣いをしながらもボディタッチをさく裂させ、男のポイントをごっそりと持っていく。
 これが、過去幾度となく戦場を生き抜いてきた女のなせる技なのか!

「それ以上は言っちゃ駄目よ」
「……はい」
「あっ、ちょっとー。指に息が当たってくすぐったい」

 さすがはババァ。とか思いながら私はそんな二人を見ていました。
 なんか、私。ネタつくりと言うかむしろ紗愛さんを助けている形になっていませんかね。
 なんでしょう。のっとりぞんとでも言いましょうか。

「ところで、涼真。私、飽きてきたんだけど」
「そ、そうか。ちょっと待ってろ」

 なんかもうやる気も無くなった私は、我が兄に対して紗愛さんの体のままわがままを言います。
 ドヤッ。これで、紗愛さんのイメージが深層心理レベルで悪くなったはずです。
 さすがは私。シスターゴットな私だけあります。

「ちょっと、店長さーん! こっち来てください―」
「今行くわ―。…ごめんね。また今度お話しましょ」
「えぇ、ゆっくりと」

 あえて挑発的に意味ありげな視線をしつつ店長さんへ返事をしました。
 これで、今度会った時店長さんから、あの時の私の事……。的なことを聞かれて精々迷うがいいですよ。今はいずこの紗愛さん。

「悪いな。今会計済ましてくるから」
「大丈夫よ」

 そう言って我が兄は早めに会計を済ませました。
 それでもまた、レジのいるすこしボーイッシュで乙女心を隠し持っている中々の美少女と少しの談笑をしていました。
 因みにそのレジの人は完全に惚れていましたね。きっと、これが初めての会話ではないのでしょう。
 なんでしょう。これじゃ、本当に紗愛さんを助けてる感じのいい奴になってしまいますね私。
 褒め殺されるのは慣れていないのでここで、本人にこの体をお返しといきましょう。

「お、行こうぜ。紗愛」
「…………へ。あれ」
「紗愛。さっきからどうした?」
「あれ、涼真。いつのまに買い物が終わってたの」
「…は? 今、紗愛もみてたろ?」
「そ、そうだったかしら」

 意識を急に戻された紗愛さんは困惑する一方です。
 さてさて、ここはひとつ手助けをしますか。

『ちょっと、私。しっかりしなさいよー。なに? 幸せすぎて意識とんじゃいましたってやつ? もし、違くてもここはまず涼真と話しあわせなきゃでしょ。今日だけでどれだけの心配させるつもりよ』

 その心の言葉を聞いて紗愛さんは我が兄の話に合わせ始めます。

「そ、そうだったわね。つい、ボーっとしてたわ」
「大丈夫か? 今日はもう帰った方が」
「いやいや、本屋に行くまでは絶対に帰れないわよ」
「お、どこの本屋か思い出したのか」
「……え、えぇ。勿論」
「んじゃ、今からそこに行くか」
「えぇ、行きましょう」

 紗愛さんはたじろいながら我が兄と一緒にお店を出ました。
 さてはて、紗愛さんの行きたい本屋とはいったいどこなのでしょうか?