<プロローグ>
私の彼氏は時々宇宙人で、時々マンガにでてくるような絵に描いたような主人公だ。
雨が降ると、彼の車にある笠は、減ってゆく
そうやって彼が私の補充した笠を手渡してゆくので、笠を補充している私って一体……なんなんだろう……。
だけども、彼が『ええかっこしぃ』ではないことは私が一番知っている。
なので例え老若男女、んーん世界中の人が彼の優しさに触れてもいい。
黒髪でミディアムショートより少し短くて、あのクシャッと顔が歪む笑顔で、
「はい」
なんて笠を手渡されたら、赤ん坊からお年寄りまで心をときめかせるに違いない。
いやいや飛躍しすぎか、んーん。
彼は綿菓子のようなフワフワとした物が好き、いやいやジョーンズの日記のような言い回しになっていた。
私は彼の好きな物で埋めつくされたい。
それって依存っていうけれど、未来の自分に待ったをかけたに過ぎない。
私はお世辞にも可愛くもないし、スタイルだってよくない。
中学の頃なんて、男子におかめって言われてた。
二十代になって彼と付き合うように変わったけれども、それって全部後付けで蟻の群れの一番最後にいたから、最前列は遠い遠い。
今でもその可愛いやオシャレだとかの距離を縮めようと努力をしている。
でも巷で流行る。『女子力アップ』って言葉は大嫌い。
それって実は自分を遠ざけてるんだよねぇ……みんな裸の王様だけど、それ以上離れちゃうとみえなくなっちゃうよ、んーん。これって私の主観かな。
とにかく私は、この世の中でたった一人理解不能な彼氏のトリセツを作ろうと、机に向かった。
これから書き殴ろうと思う。んーん。きちんと書こう。
<本編>
新宿にあるとある飛行場に私たちはいた。
飛行場といっても、緊急ヘリポートなのだけれどね。
夏一歩手前の時期、私は、こんな所にこんな開けた場所があるなんて思ってもみなかった。 彼は大きな公園に私を連れてきた。
駐車場から少し歩くと左手に慰霊碑の丘へと続く階段があって、かなり奥まった場所にはローラー式の長い滑り台があった。
彼に背中を押されて、
「斑鳩! 何する?」
と、彼を引きつった顔で見上げてしまった。
「大丈夫だから」
何がこれのどこが、私のポーチの中はおそらく、ぶちまけられ、百均で買った、リップの大きさくらいの容器に入ったファブリーズが……。
このダウニーの臭いは間違いない。