ウレハ二章 ep14 プリン | 長編物語ブログ

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 うんざりするほど長い物語です。
 でも不思議と中毒性があるかもしれません。
 
 
<チームイミタン>
イラスト担当:t2 文章担当:イミタン

 隆は慣れない環境に歩き回ったり、窓を開けたりとしていた、そのたびに椿は叱っていたが次第に疲れて来て隆の好きにさせていた。県営住宅からすぐ下は歩道があって道路になっている。何が面白いのかよくわからない椿だった。
 しかしさすがにカップ麺を食べ上げ、午後も音楽の話しに花を咲かせている頃にはいくら頭の悪い隆でも落ち着いていた。
「バンドは二人じゃできないわよ、どうするのよ」
「大丈夫大丈夫、いざとなったら老人たちがいるから」
「フルハウスの?」
「そうそう、すげぇぞ椿絶対気に入るって」
「会ってみないとわからないわよ」
「俺が保証するってライブもできるしな」
 椿は腕を組んで考えた。
「しばらくは問題なさそうね」
 隆は立ち上がり、椿の机に座った。
「おまえこんな本読んでるんだ。マスターと話しが合いそうだな」
「マスターってあの髭の人よね? 雰囲気滲みでてたわよ」
「あの人がうちの親と仲がいい。涼子なんてクソジジィって呼ぶぞ」
 隆がそう言って笑ったときだった、扉がノックされた。椿は眉を寄せて、
「今、友達来てるから入って来ないで」
「あらそう、椿ちゃんの好きなプリン買ってきたのに、お母さんの分と合わせてお友達と食べたら?」
 椿は顔を真っ赤にした。
「もういいから!」
「はいはい」
 隆はへらへら笑いながら、
「別にいいじゃねぇか、プリンプリン」
 部屋の主の椿を差し置いて襖を開けた。すると椿の母は驚いて、
「えっと、お邪魔します。お邪魔してます?」
「あら、男の子だったんだ――隆君ね電話の」
「はい、俺隆です」
「お母さん早くプリン置いて出てって」
「別にいいだろ、おばちゃんも中に入って話そう」
 母は椿を見て気まずそうにしたが、隆が腕を引っ張って中に引き入れてしまった。
「最悪だわ」
「おまえ口わりぃな」
「隆に言われたくない!」
 母は二人のやりとりを見て腹を抱えて笑った。
「仲いいのね二人とも」
「よくない!」
「よくなんかないわよ!」
 二人の声は重なった。
「さぁ食べて」
 椿は早速プリンを取って食べ始めた。隆も同じように食べる。
「うめぇ! これうめぇ!」
 椿はプリンを食べているときは無防備になってしまうので、とても柔らかい表情だった。
「椿ちゃんはね、プリンを食べているときはああなるの、女の子っぽぃでしょう」
「聞こえてるわよ……もう話しかけないで」
 隆は椿の頬をつついた。びしっとその手を叩かれ、
「おもしれぇ、俺喧嘩したとき用にプリン買っておく」
「プリンに罪はないから、いつでも食べるわよ」
「じゃあ二人ともゆっくりね」
 母はそう言って部屋から出ていった。
「椿の弱みを握ったぜ!」
「うるさいわよ隆」
「別にさ仲いいじゃん」
「あなたが知らないだけよ、あの人には色々な問題があるのよ」
「そっか……」
 隆は腕を組んで考えていたが、すぐに飽きてプリンを食べ始めた。