「貴方…浮気してるのね…」

晩酌にビールを呑んでいる時に妻から発せられた言葉に俺は驚いた。

何故なら、その言葉は事実だからだ。

しかし、俺は妻が休日出勤など絶対に帰ってこない時にしか浮気相手を呼んでいないし、携帯・パソコンには一切証拠を残していない。

何故分かったのかが分からない。

俺「…スマナイ…本当に君には悪いことをしたと思っている。…だが、どうして気付いたんだ?」

浮気相手は、たまたまネットで知り合った女だし妻が浮気相手と知り合いというのもないはずだ。

妻「娘に教えてもらったのよ」

俺「…!そんな…!」

それこそあり得ない話だ。

妻「…本当よ。ねぇ貴方、私達のたった一人の娘に悪いと思わないの?父親としてきちんと話さなくちゃならないんじゃないかしら?」

俺「……そうだな。話してくるよ、娘にも君にも本当に悪いことをしたと思っているよ。スマナイ。」

妻「…」

ガチャ…

扉を開けると笑顔の娘が出迎えてくれた。

その笑顔に罪悪感がこみ上げ目も合わせられず、項垂れたまま娘へと話しかける。

娘「…」

俺「…母さんから話は聞いたよ…、最低な父さんでゴメンな。
…母さん、すごく落ち込んでたよ。
当たり前…だよな。
父さんが全部悪いんだから…。
でも、お前にも母さんにも今ここで誓うよ。
浮気相手とは、もう会わない。
お前や母さんを悲しませることは、もう二度としない。
父さんを許してくれるか…?」

娘「…」

恐る恐る顔をあげると、先ほどと同じ笑顔の娘がいた。

心なしかさっきより柔らかい笑顔に見える。

許して…くれたのか?

ホッとため息をつき、立ち上がろうとした時、娘の笑顔の下にキラリと光るモノを見つけた。

俺「?なんだ?…」

そう呟いた瞬間、背後から声がした。

「そんなことで本当に許されると思ったの?」

グサッ

紅く染まる視界の中、光っていたモノの正体が分かった。

そうか…、だから分かったのか…

…ガチャン