「忘れてならないのは」ようやく楓がいった。「根拠のない憶測を口にしても何の意味もないってことです。それが悲観的なものである場合には余計に。だって誰も勇気づけられないじゃないですか。」
(東野圭吾 『危険なビーナス』 P203 講談社)
グッときた言葉を引用しました。
小説の中のキャラクターやこのセリフまでの経緯は書けませんので、その辺は想像にお任せしますが、この言葉はいいなと思いました。
根拠のない憶測を語れるのは人間だからとも言えます。それは「想像」です。
想像は時には希望になりますが、この表現のとおり傷つけることもあります。根拠をさぐり事実だけを口にするというのは中々できることではありませんが。ただ僕の仕事柄、特に気をつけないといけないことだとハッとしました。
つい言ってしまいそうな発言を飲み込むことがワタクシには足りていません。それは根拠があるなし限らずに何でも話せばよいものではありません。
なるほど、勇気づけられる根拠ある発言に価値があるということなんですね。
この一行に出会えただけで読んでよかった本と言えるでしょう。
そうそう東野圭吾氏の本は久々に読みました。彼の本の中では『秘密』『白夜行』『幻夜』が僕の中の最高峰です。もちろん好みの話ですが、それは今も変わりありません。
加賀恭一郎やガリレオなどシリーズ物も読んできていますが、やはり単発の方が面白い。単発の場合は、そのキャラクターとはもう会えない寂しさも残ります。その余韻が僕は好きなんだと思います。
もしよかったら本屋で手にとって読んでみてくださいね。あと3ページ、いや、あと3行でいいから続きが読みたい!そんな本に感じました(逆にいうととても良い終わり方ということです)。