製造業でもサービス業でも顧客がいる限り、なんらかの選ばれる理由があるというのは、何度もこのブログに書いてきました。
しかし、今は、それが選ばれる理由であっても、将来もそうかと言えばそれは分かりません。
選ばれている理由を長く継続し続けるためには、自社しか出来ないことを強化していくことが大切になります。
大企業なんかでは、研究員を用意して技術に磨きをかけたり、技術を応用して新商品を開発したりしていますが、こんな大掛かりでなくても自分たちのやり方で選ばれている理由をレベルアップしていける方法を考えていくと、それが継続性に繋がっていきます。
新しく始める事業については、近い将来、顧客から選ばれるために今から出来ることを考えみると良いかもしれません。
それがどのような方法でどう行動していけば良いかは十人十色ですが、やはり顧客にどう喜んで貰えるかを意識して将来の姿を想像していくと良い行動に繋がるように感じます。
行動に移す前段階では、社員にその考えが理解してもらえるように働きかけることも忘れてはなりません。また、社員を闇雲に行動させると持続できませんので、ある一定の制約を掛けた中で目標数値を皆で共有できるよう仕組みを考えていく必要も出てきます。
例えば、アパレルショップで考えてみましょう。
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アパレルショップを経営している小太郎さん。店名は「スタイル」。
小太郎さんは、仕入れには自信をもっていて、今までは、仕入れた服が順調に売れていましたが、ある時を境に売れる数が減ってきました。
みるみる内に在庫の山が出来上がり、次の仕入れが出来ない状態に。
しかしそれでも、売上がゼロではなく、まだ買ってくださるお客様はいらっしゃいます。
お客様が買わなくなった理由を考えていましたが、結局何も思いつきませんでした。
そこで、逆に考えて、なぜお客様は買ってくださるのかを勇気を絞って5人のお客様に直接聞いてみることにしました。
「話を聞いてダメなら、仕方ないが、在庫をたたき売るしかないな・・・」
と、最悪の覚悟を決めた小太郎さん。
(内心ドキドキしながら・・・)
「お客様、いつもご来店ありがとうございます。お洋服をお選び中のところ大変失礼いたしますが、お客様が弊店をご利用されていて、ここが気に入っているから、という理由がもしございましたらサービス向上の為にもお聞かせいただきたいのですが、いかかでしょうか?」
顧客A
「急にそんなこと聞かないでくださる、すぐにパッと出てこないわよ、なんとなくよ。なんとなく。」
顧客B
「このお店で扱っている服は、着心地が良いのよね。それが気に入っている点かしら。」
顧客C
「私の体に合っている感じがするから、かしら」
顧客D
「デザイン?と言っても色とかは地味よね、なんでかしら、外に出かけるときは着易いのよね」
顧客E
「今日はちょっと立ち寄っただけですから。これから友達と食事にいくので。(そそくさと立ち去る)」
小太郎
「う~ん、これだけじゃ分からないな。
でも待てよ、着心地が良いっていう褒め言葉がいくつかあったな。
確かに、話を聞いたお客様の中に今日もウチの服を着ていた人も何人かいたな。
最後の人は、友達と食事に行くって言ってたよな。
きっと美味い飯でも食べてくるんだろうな、こっちがこんなに悩んでるってのにさ。」
「ん、今なんで美味い飯って決め付けたんだろう。」小太郎さんは、何かに気づきました。
小太郎さんの扱っている服は、それなりのお店に行ったり人前に出ても恥ずかしくないモノだったのです。また、先ほどまでのお客様全員が、アゴのラインは少しぽっちゃりしていたのですが、体全体では痩せて見えました。
実は、シルエットを気にする方に選ばれていたのです。
また、食事をする前と後とも見栄えも変わらない服でもありました。
在庫の山を確認してみると、売れていない服にも理由があったのです。
実は、小太郎さんには、仕入れを教育している社員もいました。
その社員が仕入れたものは、デザインもカラーも悪くないのでしたが自分が仕入れるモノと決定的な違いがありました。
それが「シルエット」とわかったのです。
実は、この社員は痩せていてとてもスタイルの良い女性だったのです、少しぽっちゃりしている人の気持ちは分からなかったんです。
小太郎さんは、すぐさまこの仕入れ担当者を店舗スタッフに代えて、少しぽっちゃり目の社員をあたらしい仕入れ担当者にしました。
すると、先日話を聞かせてくれたお客様からこんな言葉をいただきました。
顧客A
「先日は、なんとなくって答えたんだけど、実はここの服を着てると皆から少し痩せた?って聞かれることが増えたのよね。あら、今日並んでいるこの服いいわね。」
小太郎さんは、それを聞いてニコっと笑顔がこぼれました。
選ばれている理由が分かった小太郎さんが次に取った行動は、
試着室に全身映りこむ三面鏡を取り付けて、お客様自身でスタイルの確認が出来るようにしてみました。すると、それが痩せた気分が感じられるとのことで、お客様から好評を得ることに繋がり、社員には、お客様が自他共に「痩せたかも」と思ってもらえる為には、他にどういうアイデアがあるのか皆でアイデアコンテストをやろうと提案をして、出てきたアイデアをどんどん採用し、秀逸なアイデアには表彰すると誓いました。
アイデアコンテストというくらいなので、1つや2つでは話になりません。
社員には、「痩せたかも」を合言葉として、アイデア数を意識させて・・・・
お客様の「痩せたかも」の言葉の数を増やす努力をし続けた結果、
今では、店舗拡張も視野に入れるくらいのV字回復に成功しました。
(この内容は、フィクションです。 )
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少し長くなってしまいましたが、マーケティングでは数字を追いかけるなと良く言われますが、それは売上のことを指していて、求める数字がお客様の喜びの数であれば是非意識していっても問題ないはずです。
社員みんなでそれを意識できる会社にしていくのも経営者の努めでありますよね。