絶妙な距離感 | スキップカウズ・イマヤスオフィシャルブログ『イマヤスの「モンデバイソン」』by Ameba

絶妙な距離感

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スキエンティア

戸田誠二


俺はこの人の作品 全く読んだ事無かったのだがうちのお客様からこのマンガ頂きまして。


で読んで……物凄く良い。ハマってしまいました……他の本も今 探して見付けると購入。


ちょっと近未来の話で街の中心にはその街の象徴となっているスキエンティアタワーがあり自由の女神みたいな像が街を見守っている訳。でも主役はそのスキエンティアタワーの周りに住む普通の人々。近未来と言う設定であるので小道具としてのSFチックなモノは登場するのだが…SFではあるけど人情もんであり…いや人情もんと言うと誤解があって!居場所と言うか何かを見付けたい人々の…この表現も陳腐だな…不器用な人々の小さい物語…ピタッと来ない…うーん説明が非常に難しい(笑)


まあとにかく何処にでも居そうな普通の人々が抱える様々な事情が1話完結で描かれる。


身体が動かない老女が家庭に問題あり生きる実感が沸かない女性にある装置によってその若い身体を借りて昔の身体が動いていた頃の感覚を取り戻した事により身体を貸していた女性もまた自分自身の生きていく力を取り戻す【ボディレンタル】とか本気で恋愛とか人を愛する気持ちになった事が無い男が変わりたいと願いある薬を飲む事によって恋に落ち…【媚薬】とか。


ちなみに【ボディレンタル】は世にも奇妙な物語にてドラマ化されたそうな。


とにかくねーこう出てくる人達と作者の距離感が絶妙で嫌味じゃなくて全くしつこくない感動がじわじわと襲ってくるのだ。淡々と描写してるから出てくる登場人物の誰に感情移入しても良い。正解や答えが1つでないからどういう風にも読める。


押し付けがましくない感動。押し付けがましい感動に慣れると人は考えなくなるし馬鹿になってしまう。


小説で言えば 上原隆の街の普通の人々を描いたシリーズ連作の様な感じ。もう脱帽ですがな!


この感じ、この距離感なんだよなー細かく描かれていない所にも意味が沢山あるというか……俺もこんな感じの感動ってもんを伝えたくて七転八倒して歌詞を書いてるのだよ。

創作意欲も刺激されるし。良いのを頂きましたわ本当に。そしてコレを素晴らしいと思って俺にプレゼントしてくれた訳でしょ?良いお客様であたくし幸せ(笑)有難いですわ!ありがとう。


今 他の本も買って読んでますが……裏切らんなー期待。


何か纏めて紹介したくない(笑)


このスキエンティアの1冊の深さは貴重。


じわじわとゆっくりと涙が出る感じ。


詩的だし。心で良く噛んで咀嚼するべき本。