本日午前10時より、第8・9講となる講義を行いました。まず前半は文献『基礎からわかる社会学研究法』第7章を取り上げての輪読を行いました。この章では公文書によって形成される社会規範という、その資料が持つ多面的な性格について取り上げています。話し合いでは国による既存の制度を事例として、国の説明とその実施にあたる地方自治体の説明を対比し、その前提となる「望ましさ」や背景にある含意について考えました。公文書に接する際、内容を無前提に正統なものとして受け入れている場面はよくあります。資料が持つ多面的な性格を考えることで、より豊かなその活用を図っていきましょう。

 後半は各自の修士論文における社会調査のとりくみについて、「問いの解明を一つ試行する」と題して報告と意見交換を行いました。前々回の修士論文関連の報告では、その基本的な問いを考えてきました。しかし、その先で検証が可能なかたちにすることが調査を進めて行く上では重要です。今回はその問いを一つ取り上げ、概念を調査に馴染むよう操作化するとともに、収集可能なデータによってその問いの妥当性まで考えてきて話し合いました。今回の意見交換をふまえて、問いが深まるよう改めて考えてみましょう。

  *  *  *

 次回は7月4日(木)午前10時より行います。内容は文献第8章・第9章を取り上げての輪読です。