本日3・4限、第11・12講となる講義を行いました。まず前半は社会調査協会が発行する『社会と調査』所収の論文を取り上げての意見交換を行いました。今回は海外調査をめぐる「失敗」の経験から、その容易さと難しさについて考える内容でした。社会調査の問題設定では、対象に対する「あやしさ」を持つことが出発点にあると言えます。自明さを持たない海外の事象は、そうした「あやしさ」を感じる機会になることを論文では指摘しています。一方、海外調査の実際については当事者との問題の捉え方の違いや、調査をめぐる文化の違いなど難しさにも満ちています。そうした研究者の体験を元に話し合いを行いました。

 後半は各自の修士論文における社会調査に関連する、「データ収集の試行結果報告」を行いました。この間の講義ではデータの収集過程やその説明といった課題にとりくんできました。そして今回は冬季休業期間も挟み、実際に企画したデータ収集を試してみて、その実施のあり方や研究の方針そのものに関する課題を確認しようとしました。各自、試行してみての発見も多くあったようです。間もなくM1からM2への進級の時期で、修士論文の研究もより本格化します。この間のデータ収集に関する一連の検討を活かしていきましょう。

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 次回は1月31日(水)3・4限です。内容は、まず『社会と調査』所収の別の論文を取り上げての輪読を行います。次に修士論文関連は「社会調査に関するM1のまとめとM2の計画」と題して、今期行った本講のまとめとなる報告を行います。