変わらない日々が続いていると思うのは錯覚で、少しずつ変わりゆく日々の中で積み重なった変化に耐えきれなくなった反動が急に現れるだけなんだ、何事も。


まだ午前中だというのに空がとても暗い。
予報ではあまり天気は良くないということだったけれども風が強いとは言っていなかった。
キャスターの説明は概ね当たったけれども実際に必要な部分については届かなかった感がある。
黒雲は刻一刻と濃さを増して風が時折窓を強く揺さぶる。
この分だと幾らも待たずに雨が降り始めるのは想像に難くなかった。

急激に悪化してきた空を見て洗濯物が溜まっていることを思い出したがこの分では仕方がない。思わず舌打ちが出る。
溜め息と共に重い腰を上げるとまた風が窓を大きく鳴らした。
味のしない朝食を胃袋に流し込んで眉間に皺を寄せながら歯を磨く。
こんな酷い気分の時は寝所で横になってじっと目を瞑ったまま大人しくしているのが一番なのだ。
時間が経てば多少は良くなると思う。
そう考えながら昼に友人と会う約束をしていたことを思い出す。
こちらから少し無理を言って取り付けた約束だから変更すると後々面倒なことになる。

また窓が二度、三度と強く揺れた。
遠くで野良犬の唸り声が聞こえる。
ベランダの手摺を打ち付ける音が断続的に鳴り、そして滝のような雨が降り始めた。